12月30日は夕方にレナード彗星を撮った後、夜からは「二重赤緯体方式」で3つの天体を撮りました。最初に IC405 勾玉星雲(曲玉星雲とも)、次に M35、最後にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星です。
勾玉星雲は大晦日にHαだけ仮に処理して勝利を確信していたのですが、年が明けてから LRGB を処理して崩れ落ちました…
まずは撮影の記録から。29日のテストで二重赤緯体方式で載せた RedCat 51 なら、20時過ぎから22時過ぎまではベランダの壁に邪魔されずに勾玉星雲を撮れることがわかっていました。
レナード彗星撮影後、画像処理して19:21に速報をツイートした後、ドリフトアライメントで極軸を合わせてHαでピントを合わせた後、勾玉星雲を導入し、東側の IC417 と IC410 が一緒入るように構図を決めて、20:40頃からHαの撮影開始。
少し出遅れたのでHαだけで終わるかなと思っていましたが、Hαの写りが良さそうなので欲が出て残り少ない時間でLRGBも撮影。Hαは2分露出24コマでしたが、LRGBは1分露出を各8コマとしました。さすがに短すぎるかとは思ったものの、とりあえずのカラー化ができればと。
どこでベランダの天井にぶつかるかわからなかったので、Bだけ1コマも撮れませんでしたみたいな事態を回避するためL,R,G,Bの順番で3コマずつ撮影を繰り返しました。各8コマの予定だったので最後は2コマずつ。
Rを撮った時点では気付かなかったのですが、Bを撮った時点で星像がピンぼけなのに気付きました。微光星の光に芯がなく星像も肥大しています。ピントはHαで合わせたきりだったのですが、Lでピントを合わせるとここまではならないので再調整は不要と思っていました。Hαで合焦するとBはLで合焦した中間位置からの倍ぐらいズレるはずなのでその差が表れたということでしょうか。
しかしとにかく時間がないので、そのまま撮影を続行して22:00過ぎにベランダの天井が見えてきて撮影終了。プレビューを見る限りは各8コマ撮れたつもりでしたが、後で画像をストレッチするとRのラスト1コマとG,Bのラスト2コマは天井が写り込んでいてボツに。
最初に処理したHαを仕上げたものはこんな感じになりました。
なかなかいいのでは?勾玉星雲の頭の部分のトゲトゲしたディテールがかっこいい!でも、勾玉星雲の左斜め上のあたりってこんなにモクモクしてたっけ?それともカブリ?まあ、なんとか処理できるでしょ。というのが最初の感想でした。
そして今日、RGBを処理したのですが…
星雲なんも写ってへん… いや、微かに写ってはいるか?ていうか、上から真ん中までせり出してる赤いのは何!?
いくらなんでも曲玉星雲より明るい赤い星雲がこんなところにあるわけないので何らかのカブリなんでしょうけど、なぜ赤いのか。ベランダの天井は白いので天井からの照り返しにしても不自然なような…
とはいえ、この後撮ったチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星でも、同じ機材で撮ったかもめ星雲でもこんなカブリはでていないので、ベランダの天井以外に要因は思い当たりません。*1
σクリップでスタックしているのでたまたま強烈な迷光を拾ったコマの影響というわけではありません。実際Rのコマを確認するとどのコマにもそれらしきカブリがありました。GとBにも同じ位置にカブリはありますがRに比べると僅かです。
このRは捨てるしかないな、とRチャンネルをHαに差し替えてみました。
今度は黄色っぽいカブリが… 黄色ということはRとGにカブリ成分があるということで、Hαにもカブリが少し乗ってたってことですね。
しかし単純に天井からの照り返しならもっと平行なグラデーションになると思うのですが、なぜこんな形になっているのでしょう。フードや鏡筒の内面に反射したものが写っている?
フードは植毛紙を内側に貼った巻き付けフードで10cm以上延長してあるのでフォーサーズサイズの外側はケラれてるはずなんですが、それでもある程度は入射光があるのでパーツからの反射はありうるかも。
もうこの時点で萎え萎えでふて寝してたんですが、一応最後まで仕上げたのがこちら。輝度成分はL+Hα。円形フィルターとか使ってかなりデタラメなカブリ補正をしています。
なんとなくそれっぽくなってますが、星雲の明るさは全く不正確なので、これは失敗です。残念。
ただ、おそらくベランダの天井がなければ問題なさそうではあるので野外で撮影すればちゃんと撮れそう… でも、天井の照り返し程度でここまでカブるのなら公園のLED照明がフードの内側を直射したらヤバいのでは?どこかもっと暗い場所を探さないといけないかも…
*1:EFWmini の光線漏れもこの時点では既に対策済です。