Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

火星 (2020/10/20)

前回「次は大シルチスが見たいです」と書きましたがさっそくチャンスがやってきました。

10月20日は快晴。疲労がたまって仕事は休むし家事でもミスが多かったので火星の撮影はお休みするつもりだったのですが Stellarium を見ると21時頃に大シルチスが正面に来るということなのでちょっと無理して撮影することにしました。月もまだ細い時期でこの天気なら DSO を撮りたくなるところですが、今月は火星に全集中です…

18:30 頃から機材の設置を開始。ドリフトアライメントに20:00頃までかけて、ピント合わせに苦労しつつ20:20頃に撮影開始。あわてずゆっくり動いて思い付きで余計なことをしないようにして事故防止を心がけましたが、柱に頭をぶつけるなどヒヤリハットが2、3ありました… 幸い機材の落下等の事故はなかったです。

まだ高度が低いせいか*1 シーイングは安定せず時折すっと良く見える瞬間はあるもののかなりぼやけることも多く、写りはどうなるのかなと思ったのですが、いつものように撮影と並行して仮の画像処理を行うことはせず(並行作業をすると注意力が落ちるので)、ただただ撮影。

2セット(12本)撮ったところで雲が出てきて撮影中断。あんなに晴れていたのに南東の空のかなり広い範囲にわたってうろこ雲が延々流れてきて止まりません。Twitter で愚痴ってたら、同じ時間に東京でDSOを撮っていたHIROPON(id:hp2)さんから東京にさっき来て流れていった雲じゃないかとのお返事。空はつながってるんだよなーと実感しました。

時折雲の隙間から見える火星の姿が見えるのですが、その像が妙に安定して見えて悔しい思いをしました。雲の切れ間とか妙にシーイングいいことあるんですよね… 我慢できずに何本か撮影しましたが雲に邪魔されてまともに撮れませんでした。

今日はこれまでかと思ったら21:00頃から晴れ間が多くなったので必死で約4セット分撮影しました。体調のこともあるしSSDもいっぱいになったのでここで撤収。

撤収前に拡大光学系を付けたままフリップミラー越しに眼視で火星を見ました。アイピースはセレストロンの24-8mmズーム。24mmで250倍くらいだと思うのですが、それでも眩しいし模様が薄い… 倍率を上げれば暗くなってちょうど良いかと思ったら飛蚊症(?)なのか目の中のホコリみたいなのが見えるようになってきて淡い模様を落ち着いて見ることができません。

さすがに大シルチスみたいな大きな地形はそれでも視認できたのですが、よく眼視レポートにあるようなあれこれがこんなふうに見える!っていう感じではないですね。アイピースが悪いのか老眼が悪いのか… 眼視観測は若いうちにやっておくべきって話も聞きますがほんとそうかも。

というわけで撮影した写真です。前回同様リムの二重化をごまかす処理をしています。前回はL画像だけその処理をかけたのですが、今回はRGB画像にも同じ処理をしてごまかした部分に色が残る問題に対処しました。

火星 (2020/10/20 20:25)
火星 (2020/10/20 20:25)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 244), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 302) / 露出 1/125s x 1250/5000コマをスタック処理 x6 (L:3, RGB:3) を de-rotation してLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 11.3.0, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

火星 (2020/10/20 20:35)
火星 (2020/10/20 20:35)
撮影データは上に同じ。

大シルチスがほぼ正面に来ています。これが撮りたかったんです。2年前の大黄雲下の火星では見えなかった細かい模様が見えていますね。その下のチュレニーの海と合わせてなんかイモ虫が踊ってるような形に見えますが…

さらにその下のヘラス盆地はやはり黒ずんでいます。黒い模様に塵が積もって明るくなるのはわかるんですが、明るいところが黒くなるのはどういうことなんでしょう?

北極付近と南西の端に雲が見えるのは相変わらずです。いつも西側に雲ということは火星では朝に雲が出やすいということでしょうか?それとも単に角度の関係で見えやすくなっているだけ?今回は西の端にも雲が見えますし。

火星 (2020/10/20 21:02)
火星 (2020/10/20 21:02)
スタック処理 x3 (L:2, RGB:1)。他は上に同じ。

ちょっと荒れてますが雲に邪魔されて Lx2, RGBx1 しか撮れなかった分です。

火星 (2020/10/20 21:30)
火星 (2020/10/20 21:30)
スタック処理 x5 (L:3, RGB:2)。他は上に同じ。

火星 (2020/10/20 21:42)
火星 (2020/10/20 21:42)
スタック処理 x6 (L:3, RGB:3)。他は上に同じ。

火星 (2020/10/20 21:51)
火星 (2020/10/20 21:51)
撮影データは上に同じ。

火星 (2020/10/20 22:02)
火星 (2020/10/20 22:02)
撮影データは上に同じ。

西からサバ人湾が見えてきました。

というわけであとはキンメリア人の海の西の方を撮れば一周分になって WINJUPOS で火星全体の地図も作れます。横浜は週末まで天気が崩れそうですが、土日に期待したいところです。

*1:高度が低いと言っても40度以上あって、2年前の大接近の時の南中高度よりもずっと高いのですが。