Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

火星 (2020/10/18)

日曜日はうっかり夕方から20時過ぎまで昼寝(?)してしまって、あわててベランダに出ると南の空はほぼ快晴。SCW では22時頃に少し晴れ間が出る以外は曇りという予報だったのでびっくり。すぐ曇ってしまう可能性も高かったのですがダメ元でベランダに望遠鏡を出しました。

重いものを扱うのであわてずに… と安全第一で設置作業をしていたら案の定ドリフトアライメント中に雲が出てきて作業中断。極軸の高度調整が追い込めなかったのですが南の空は雲が薄かったので方位調整だけ最後に詰めてそのまま火星を導入したもののすぐ一面に雲が広がり火星はほとんど見えなくなってしまいました。

今回は空振りかなと思いつつも諦めきれず30分ほど待っていたら、あれほどあった雲がすっかり消えて晴れてきたので急いでピントを合わせて撮影開始。シーイングは間欠的に大きく乱れるものの安定しているタイミングでは悪くはない、という感じでしたが、いつまた曇るかわからなかったのでシーイングの安定を待たずに連続で4セット撮影。その後休憩を挟んで、と思ったらまた雲が広がってきたし、翌日仕事もあるので0時前に撤収しました。

が、結局寝れなくて朝方から始業前まで画像処理をやっていました。仕事が終わってから画像を見直すとちょっと物足りなかったので再処理。あとリムの二重化がやっぱり気になって、どうにかならないかとネットを検索すると A’s balcony というサイトにこんな記事が。

ちょうど『月刊 天文ガイド』11月号の連載記事「「月・惑星」画像高解像度撮影法」で火星のリムの二重化の原因と対策を扱っているとか。さっそく Kindle 版を購入して読んでみました。原因は光学的なもので画像処理でもいまいちいい対策がない、RegiStax の de-ringing は極冠が削れてしまってよくない、観賞用なら強調を弱めた画像と合成してごまかす、としてPhotoshopでごまかす方法が書いてありました。

というわけで、今回は同記事の手法を少しアレンジしたやり方で処理してみました。

火星 (2020/10/18 22:56)
火星 (2020/10/18 22:56)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM (Gain 244), RGB: ZWO ASI290MC (Gain 302) / 露出 1/125s x 1250/5000コマをスタック処理 x6 (L:3, RGB:3) を de-rotation してLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 11.3.0, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC 2020, Lightroom Classic CC で画像処理

火星 (2020/10/18 23:05)
火星 (2020/10/18 23:05)
撮影データは上に同じ。

火星 (2020/10/18 23:13)
火星 (2020/10/18 23:13)
撮影データは上に同じ。

火星 (2020/10/18 23:23)
火星 (2020/10/18 23:23)
撮影データは上に同じ。

子午線の湾からサバ人の湾にかけての大きな模様が正面を向くタイミングでした。12日の写真から60度程東に回った形です。サバ人の湾の丸く抉れたところの東側から北西方向に棘のように伸びる細い模様もギリギリ写っています。

北極付近と南半球の中緯度地域の西の端、赤道地域の東の端に白く雲が見えています。南西部にヘラス盆地が写っていますが、少し黒ずんでパッとしません。2018年の大接近の際には妙に明るく輝いていたのですが何が違うのでしょう?

というわけで、毎回雲に邪魔されて一晩ではあまり広い領域が見れないのが残念ですが、次は大シルチスが見たいです。火星があまり離れないうちにチャンスがあるといいのですが。