10月24日の夜は快晴。予報でも一晩中晴れで、久しぶりに雲に邪魔されずに撮れそうと気合も入っていたのですが…
今回狙っていたのは火星のキンメリア人の海。20:30頃までに撮れれば正面に捉えることができるはずでした。18:30から機材の設置を開始、順調に作業を進めて20:00頃に火星を導入。しかしシーイングが最悪。ピントもろくに合わせられません。
鏡筒は作業開始前にベランダに出して温度順応は万全なはずなのですが… ここで部屋の換気扇を回していないことに気付きました。いつもベランダでの惑星撮影の際は部屋からベランダに暖気が漏れないように換気扇を回してベランダから室内に空気が流れるようにしていたのですが、それを怠って暖気がベランダに滞留していたとか?
ということで換気扇を全開で1時間程回してみたものの、シーイングはほとんど改善せず。スタックして wavelet をかけても模様が全然浮き出てこず縁に煎餅のひび割れのようなノイズが浮き出すばかり。例の「おせんべいノイズ」です。
22:00前、火星は南中間近でしたが一向にシーイングが改善しないので諦めて撤収しました。この快晴でまさかのボウズ。せっかく極軸を追い込んだので赤道儀は撤収せずに月没後に何か撮ることも考えたのですが、集中力も切れてしまったし撮りたい対象も思い浮かばなかったのでやめにしました…
翌朝モノクロカメラでテスト撮影した動画を改めて処理してみました。「おせんべいノイズ」ですが、これだけ像が荒れているならAS!3のアライメントがうまくいかず継ぎ目破綻してるのでは?と思いサイズ 360 の1点APでスタックしてみたところノイズがでなくなりました。また全然浮き出さない火星面の模様は以前の「こってり」用の wavelet パラメータをベースに攻めるとある程度浮き出してきました。
ボケボケですがキンメリア人の海、チュレニーの海、大シルチスの存在はわかります。南極冠も見えています。プレビューでは像が不安定過ぎてほとんど視認できなかったのですが、一応写っているんですね…
参考までに同じ元データからAS!3のAPサイズ・配置だけ変えて処理した画像を以下に。
これはシーイングが良い時と同じパラメータでスタックしたもの。AP は Size 64 を Min Bright 5 で自動配置です。縁の割れたような模様が目立ちますが、内側の火星の模様も偽の模様が混じっている怪しいものになっています。
「おせんべいノイズ」は縁だけ荒れるから継ぎ目破綻とは別の現象なのかと思っていましたが、気付いてなかっただけで実際には内部もおかしくなっていて、1点APでは発生しないことからも、やはり継ぎ目破綻によるものと考えてよさそうです。
よく言われる、惑星の縁にAPを配置すると継ぎ目破綻が出やすいので縁を外して内側だけにAPを置くと良い、というセオリーにしたがって、Min Bright 60 で自動配置して縁にAPが来ないようにしてみたものが以下。
縁のひび割れ模様は目立たなくなりましたが、内部の模様が怪しいのは替わりませんでした。
というわけで、このところ好調だった火星の撮影も、悪シーイングの前に撃沈です。かなりショックだったのですが、「おせんべいノイズ」の正体がわかったのは収穫でしょうか…
昼に WinJUPOS で火星の地図の作成の予行演習をして、あとはキンメリア人の海がちゃんと撮れれば完成というところまでいっていたのですが、完成はおあずけです。今夜も晴れそうですがシーイングはどうでしょうか…