Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

M35 (2021/12/30)

12月30日の夜には勾玉星雲とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を撮りましたが、その合間に短めの露出時間でふたご座の散開星団 M35 を撮りました。

特別撮りたかったというわけではないのですが、赤緯が大きくベランダからはギリギリの対象なので、せっかく「二重赤緯体方式」*1にしてるのでついでに撮っておこうというわけです。モノクロ冷却カメラで星団はまだ撮っていなかったのでテスト的な意味もあります。

M35 は過去に2回撮影していて、今回が3回目です。

https://rna.hatenablog.com/entry/20180114/1515894300:ebmed

どちらもスカイメモS時代に撮ったもので、1回目は BLANCA-80EDT + 0.6x レデューサー(焦点距離288mm)、2回目はレデューサーなし(焦点距離480mm)で撮っています。カメラはどちらも OM-D E-M5 (1600万画素)。

今回は RedCat 51 (焦点距離250mm)と ASI294MM Pro (1170万画素)なので今までで一番低解像度で撮ることになります。モノクロでの LRGB 撮影で、ベイヤー配列センサーではないというアドバンテージはありますがどこまで写るか… 特に M35 のすぐそばの小さく密な散開星団 NGC2158 の写りが気になるところです。

M35 (2021/12/30 22:22)
M35 (2021/12/30 22:22)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter 31mm / Vixen SX2, 30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (Binning 2, Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 L:1分 x 12コマ, RGB:1分 x 各4コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

LRGBを合わせた総露出時間は24分というお手軽撮影でしたが、想像以上によく撮れました。LRGB 合成でどうなるか心配だった星の色も綺麗に出ています。

M35 の右下のすぐそばにある黄色い小さな星粒の塊が NGC2158 です。M35 の星の青さとの対比が面白いです。等倍で見ると、さすがに480mmで撮った2回目と比べると解像度は落ちますが、微小な星々がしっかり解像しています。2回目の方が暗い星まで写っていますが、露出時間が短いし、焦点距離も短いのでやむなしでしょうか。

よく見ると左下隅に赤い星雲が見切れています。こんなところに何かあったっけ?と調べてみると IC443 くらげ星雲でした。クラゲの傘の部分の端っこが写っていたのです。名前は聞いたことはありましたが、M35 のすぐそばとは知りませんでした。

くらげ星雲から右下に、M35 と同じくらい離れたところには NGC2174 モンキー星雲があって、縦位置でこの三つを写野に入れる構図が定番のようです。モンキー星雲もクローズアップの写真はみたことがあるのですが、このあたりの位置関係は把握していませんでした。

M35、くらげ星雲、モンキー星雲の3ショットは、RedCat 51 だと APS-C でギリギリ、フルサイズだとちょうどよい感じで、フォーサーズセンサーでは無理ですね。撮るなら4枚モザイクでしょうか。光害地で DSO のモザイク撮影は厳しいんですがどうしようかな…

M35 の方はほとんどカブリはありませんでした。やはりベランダの天井から距離が近すぎるとマズいようです。勾玉星雲が失敗だったので、M35 はちゃんと撮れてよかったです。

*1:参照: