FS-60CBX のデジカメでのテスト撮影の後、接続リングをバラして CMOS カメラ用のセットアップに戻そうとしたところ、ASTROLABE の接続リング「M52メス-M48オスAD」がフラットナー用の延長筒「マルチCAリング60C」から外れなくなりました。
これがどうやっても外れなくて、ドライヤーであたためたり冷蔵庫で冷やしたりしてもダメ。せめてカニ目レンチの穴でもあれば… リングの外側の凸凹のところをカニ目レンチで挟み込んで回してみたりもしたのですが、レンチが外れてリングに傷が入っただけで終わりました。
握力がもっとあれば違うのかもしれませんが、ないものはしょうがないし、そもそも全力で握って回してたら親指の筋を傷めてしまった、というか、元々傷めてたのが悪化してしまい…
ということで、何かいい道具はないかと探していたのですが、最終的にはコレでいけました。
ベルトレンチという道具で自動車のオイルフィルターの交換などに使うものだそうです。ゴムベルトでリング状のパーツを締め付けて固定して回す仕組みです。
二つセットで届くので、こうやってそれぞれをリングと延長筒に装着して、
グイッとひねると一撃で外れました。外した後の記念写真。
ちなみに最初は ASTROLABE のリングだけにベルトを巻いて回そうとしたのですが、延長筒を握る手が滑ってしまって無理でした。この場合二つ使うのが正解のようです。
これを使う前にカメラレンズのフィルター用のフィルターレンチというプラスチック製の道具も試したのですがグリップ力が全然足りませんでした。まあ、あまり強くグリップするとフィルターが割れてしまうでしょうからそういう設計なのでしょう。
実はベルトレンチはフィルターレンチで検索してたらうっかりひっかかったものだったんですが、以外にもそっちが正解だったという…
というわけで、次に使うのがいつになるのかわからない道具ですが、メーカーの違う色んなリングを組み合わせて使っていると、微妙な寸法の違いでキツく嵌り過ぎて外れなくなるリスクは常にありますから、一家に一組常備しておくのも悪くないと思います!
追記(2023/12/30): 結構前から使われてたみたい
あれから「ベルトレンチ 天文」とか「ベルトレンチ BORG」とかで検索したら、結構前からベルトレンチをオススメしてる天文家が複数いることがわかりました。
直近だと2021年に「天体写真の世界」の吉田隆行さんが紹介しています。やはり二つ使ってうまくいったとのこと。
最初は一つ購入したのですが、ベルトをかけていない方が回ってしまうので、もう一つ追加購入しました。
ベルトレンチを2つ使うと、ゴム手袋ではびくともしなかったアダプターのネジが見事に緩み、すんなり外すことができました。ベルトレンチの威力には驚きました。
2018年には「天体写真はじめるよ」のにゃあさんがあぷらなーとさんがオススメしていたので購入したとのこと。
M42パーツにラバーを巻いてキュッ!と回したら、「なんだよ、これまでの苦労は!」って感じで一瞬ではずれました。こんなに簡単にはずれるものなの?
「ラバーベルトレンチ」を買ってしもうたが悔い無し。むしろ必需品 – 天体写真はじめるよ
そのあぷらなーとさんが紹介していたのが2017年の記事。BORGのリング同士が「噛み込み」で外れなくなって途方にくれてアマゾンを彷徨っていて見つけたのがベルトレンチだったそうです。ベルトレンチを二つ使って BORG [7457] と [7901] の分離に成功。
今までの苦労がウソのように、たった1回の試行で外れちゃいました!!
ああ、なんていうこと。この件で2~3ヶ月間も悩んでたのにぃー。
最初から、こんな道具を使えば良かった・・・・。
リング『噛み込み地獄』からのサルベージ : あぷらなーと
さらに遡ると、2015年にひろしさんが、ゴム手袋 + ベルトレンチで薄型のリングアダプターを外すことに成功。
2014年には龍之介さんが「なくてはならない"天体用機材"」としてベルトレンチを紹介しています。寒いところでレデューサーの取り付けのためにタカハシ FSQ-85ED の接眼部のリングを外すのに必要とのこと。
こちらもベルトレンチ一つですが、反対側が重い鏡筒なのでこれでイケるのかもしれません。
ということで、使っている製品はバラバラですが、みなさんうまくいって満足度も高いようです。逆にうまくいかなかった例はみつけられませんでした。
この様子だと製品の当たり外れもあまりなさそうで、アマゾンなりモノタロウなりで適当に買っても大丈夫なんじゃないかと。とはいえ、ここまで便利なら天文ショップでも確かな製品を選んで取り扱って欲しいかも…