ペルセウス座流星群が極大を迎えた8月12日の夜、ベランダから流星を撮影しました。台風5号の東日本への接近・上陸で当日は撮影は無理だと思っていたので、実は前日の11日に撮影していたのですが、予想外の快晴で極大日も撮影できました。前日の分の処理はまだなのですが、12日の分をダイジェスト動画にまとめましたので取り急ぎアップします。
リザルト
こちらがその動画。暗い場所で全画面表示で是非。音声は入ってません。
フルサイズ換算画角34mmの写野で約7時間の撮影データから68個67個の流星を確認しました。画面左上に流れた流星の数とタイムスタンプ(UTC)を表示しています。タイムスタンプに下線が入るタイミングでカット編集が入っています。
下線が出てから2秒後に流星が流れるように調整しています。ただし、撮影開始から2秒経たないうちに流星が出た場合は手前に余白が取れないのでそのタイミングで流れます(21個目)。
一番明るい流星はプレアデス星団の側を流れた65個目64個目(日本時間03:26:57)*1でした。残念ながら眼視では見られなかったのですがマイナス等級なのは間違いなく、火球クラスではないかと思うのですが見られた方はいますでしょうか?
この流星を含む58個目から68個目57個目から67個目までの11個の流星が写ったフレームを比較明合成したものを以下に。
ペルセウス座は画面の外の左斜め上方です。ペルセ群のものと思われるものとその他のものとで半々くらいでしょうか。
散在流星の他に、左上から右下に流れるペルセ群とは逆向きに、右下から左上に流れるような流星が複数見られました。みずがめ座ι(イオタ)北流星群、あるいはみずがめ座δ(デルタ)南流星群の流星でしょうか?
色んな流星を比較するとペルセ群の流星って赤っぽいのが多い?逆方向に流れる流星はもっと青っぽいのが多いんですよね。マイクロフォーサーズのデジカメと Voigtlander Nokton 17.5mm F0.95 で撮っていた時は色の滲みが強くてよくわからなかったのですが、流星毎にこんなに色の違いがあるものなんですね。
撮影
撮影方法は以前よりテストを繰り返してきましたが、冷却CMOSカメラで PC の SharpCap から非圧縮動画撮影を行うというもの。カメラは ZWO ASI294MC Pro、レンズは Nikon Ai AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm F2.8D IF-ED です。
本番撮影は今回が初めてです。約7時間分撮影して撮影データの合計は 1TB を超えました。ハードウェアあるいはソフトウェアのトラブルでデータが全損するのを避けるのと後の画像処理の都合で20分毎に区切って撮影していましたが、予期せぬ撮影停止やデータ損失はありませんでした。
カメラは赤道儀に載せて恒星時追尾して撮影しました。これは比較明合成で流星検出しやすいようにという理由です。追尾していくうちにベランダの天井に空が遮られるようになるのですが、そのたびにフレーミングを東の方に調整しています。
暗い流星も写るようにとペガサス座が入るくらいの高度高めを狙っていたのですが、肉眼で低空に大きな流星が流れたのを見て、途中からフォーマルハウトが入るくらいの低めの空も狙いました。
以前心配していた 17mm での恒星の写りですが、やはり 35mm と比べると暗い星が写りません。ですが、ギリギリ5等星くらいまでは写るので明るい星の少ない星座の形もだいたいわかります。
ちなみに眼視でもトータル1時間弱眺めていましたが2つしか見えませんでした。
1つは23:57頃で、フォーマルハウトの北を上から下に流れるかなり明るい流星でした。1等よりは明るかったと思います。2つ目は撤収作業中の3:55頃に南の空に上から下に流れる明るい流星で、1つ目よりは明るく長く流れたと思います。場所がはっきりしませんがうお座とくじら座をまたがる感じで流れていたと思います。
たった2つでも肉眼で流星が見れてよかったです。カメラのプレビューでしか見てないというのもなんか悲しいので…
動画編集・画像処理
動画編集ですが、以前作成した SimpleMeteorDetector では SER ファイルをうまく扱えません(フレームは取れるがメタデータが取れない)。また7時間撮っていて背景光の変化やら雲やらなにやらで流星検出パラメータの調整も大変です。
そんなわけで別の方法を考えてスクリプトを自作したりしてダイジェスト動画をまとめました。詳細は後日公開しますが、おおまかには以下の手順です。
- 比較明合成動画の作成
- 流星の写ったフレームの特定
- フレーム番号を記録したテキストファイルからダイジェスト動画を作成
なんか連休中ずっとスクリプト書いてました。同じ時間かければ手作業で動画編集できたかもしれませんが、そんなの全然つまんないので…
というわけで…
冷却CMOSカメラでの流星撮影、なんとかなりました。一晩で1TBはなかなか厳しいですが、ガチの流星観測をするのでなければ年に2,3回といったところなので、なんとかなるでしょう。
マイクロフォーサーズ一眼での撮影に比べれば F2.8 のレンズでもずっとよく写りますし(フレームレートは16FPSまで落としてますが)、連続撮影の制約もありません。ただ、音声はカメラでは録れないので、やるなら別途マイクで録音するしかありません。火球と同時に発生する謎の音とか録りたいですよね…
あと、ここまでやっても α7S にはかなわないような… この日は天文リフレクションズのライブ配信を流しながら撮っていたのですが、α7S + SIGMA 15mm F1.4 対角魚眼の写りがすごいんですよね。ISO 20万、シャッタースピード 1/20s でライブビューを HDMI キャプチャしてたようですが、あれを見ると果たしてアドバンテージはどこに、という…
とはいえ、あるもので工夫するのが楽しいというのもあるので、これからも色々試していこうと思います。
追記: 流星のカウントの誤りについて (2024/8/17 12:45)
上の動画で32個目の流星が流れたところでカウントが31から33に飛んでいることがわかりました。そのためトータルの流星の数は68個ではなく67個でした。お詫びして訂正します。
動画編集の工程では、流星の写っているフレームナンバーを記録したデータファイルを手書きして、それを自作の動画編集スクリプトに読み込ませるのですが、このテキストファイルの編集ミスで流星が写っているフレームナンバーを記録した行に重複が発生していたのが原因です。
動画の生成では、入力動画を頭からスキャンしてデータ上の流星のあるフレーム範囲(と前後のマージン)に一致するかどうかで出力可否を決める仕組みなので、映像自体の重複は発生していないのですが、カウントはデータに書かれた流星出現開始フレームの数を見てカウントしているので(そうしないと同時に出現した流星のカウントが漏れる)こうなってしまいました…
動画の方の修正は時間がかかるのでまた後日…
*1:動画の表示では65個目ですが、表示の間違いで実際のカウントは64個目です。