Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

木星と火星の接近 (2018/1/7)

7日の夜明け前、木星と火星が接近するというので撮ってみました。距離は30分以内で月の直径よりも小さい距離です。12:40には13分まで近づきますが日本からは見えません。

まずガリレオ衛星も写るように1/2秒で撮った写真。

木星と火星の接近 (2018/1/7 05:34)
木星と火星の接近 (2018/1/7 05:34)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/2s / Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 2600mm 相当にトリミング

ガリレオ衛星は全部木星の西側に来ていて、内側からイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。イオとエウロパはほとんど重なっていて拡大しないとわかりませんが、北(上)がイオ、南(下)がエウロパです。

木星面に露出を合わせた写真も撮りましたが、高度が低くシーイングも良くないので、縞模様はライブビューでもほとんど見えず、写真の上でもごく薄くしか見えませんでした。

木星と火星の接近 (2018/1/7 05:33)
木星と火星の接近 (2018/1/7 05:33)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1/2s / Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 2600mm 相当にトリミング

このあと6:00頃まで眼視でも観察しました。150倍(2.5倍バーロー + 8mm)の視野内に木星と火星が両方見えていました。眼視だと木星の縞模様が二本、うっすらとですが見えました。

火星の方はというと、ほとんどただの赤い星にしか見えず、表面が観察できる大きさではありませんでした。まだ視直径が4.9秒なのでしかたがありません(木星は33.5秒)。7月31日の大接近時には24.3秒まで大きくなります。

CMOSカメラで木星を撮影 (2018/1/3)

夜明け前に年賀状の返事を出しに行った帰り、南東の空に木星と火星を見つけました。高度は30度くらいでそろそろ撮影できそうだなと思い、帰宅後ベランダに望遠鏡を出して撮影の準備。

CMOSカメラでの惑星撮影は初めてです。モノクロCMOSカメラなので面白みは少ないのですが、何事もまずは経験ということで。昨年秋から月面撮影で経験は積んできたのですが、月面と違ってピント合わせが難しいです。というかシンチレーションがひどくて木星の縞模様が全然見えません。

SharpCapにはバーティノフマスクによるピント合わせを支援する機能があるので、ガニメデの像で試してみましたが、そこそこ追い込んだつもりでもやはり縞模様は見えません。結局ピントをずらしながら何度も撮影してはスタックということを繰り返しました。320x240ピクセルにクロップしてキャプチャーしたのでスタック処理はあっという間に終わります。

結果一番よく撮れたのがこれです。

木星 (2017/1/3 06:24)
木星 (2017/1/3 06:24)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 2ms x 500コマをスタック処理 / AutoStakkert!2 2.6.8, Photoshop CC で画像処理

ギリギリ縞模様が二本見えるだけ、という残念な結果に。大赤斑も見えていたはずなのですが全然わかりません。条件も悪いしこんなものなんでしょうか… とはいえシンチレーションでぐちゃぐちゃにしか見えない動画からそれっぽい画像が出てくるのはびっくりです。

とにかくピント合わせはなんとかしたいところ。バーティノフマスクを使ってもっと高度の高い恒星で合わせればいいのかな?「木星面の模様と友達になってこそ、高解像の木星が撮影できるようになる」*1 という話もありますが、模様見えないし…

最近の満月(2018/1/1)

あけましておめでとうございます。

昨年の2月にこのブログを開設してから初めての新年を迎えました。街なかからポータブル赤道儀(スカイメモS)で直焦撮影というわけのわからないテーマのブログですが、昨年は 8cm F6 直焦での DSO の撮影に挑戦しました。一定の成果は上げたものの限界も見えてきた一年でした。悩みごともたくさんありましたが皆様のコメントやスターに励まされました。ありがとうございます。

今年は火星大接近の年ですが、8cm では力不足なので新しい望遠鏡を買うかどうか悩んでいるところです。品不足も予想されるので早く決心しないといけないのですが…

火星に備えて、昨年の秋からCMOSカメラを使った月面撮影も初めました。元旦の今日も早速月面のモザイク撮影をしていました。

月齢14.2 (2018/1/1 21:28-22:35)
月齢14.2 (2018/1/1 21:28-22:35)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.5ms x 200コマをスタック処理 x 19枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

2018年の最近の満月(スーパームーン)です、と言いたいところですが、今夜は満月のちょと手前で、ちょうど満月になるのは明日1月2日の昼前(11:24)です。なので厳密には「今年のスーパームーンは日本からは見えない」ということになりますが、近地点の通過が明日早朝(6:49)で明日の夜よりは今夜の方が近いということで、一応今夜の月が最近の満月ということにしておきます…

そういうわけで、今年もよろしくおねがいします。

追記: 最初に貼っていた写真の左上の部分にモザイク合成処理で発生したノイズが出ていたのでレタッチして貼り直しました。

星に追われて

12月の新月期はずっと体調を崩していて、晴天の夜は何度もあったのに全くといっていいほど星を見ることができませんでした。

正直ここ1ヶ月ほど星を見るのが苦痛というか、今夜は晴れるから星を見なくてはならないという気持ちに気力が全くついてこなくて、それで星が見れないのがますます辛くて、さらに気分が落ち込み気力が削られるという悪循環。曇りの日には「今日は星を見なくていいんだ」と思って心が安らぐありさまで、本当にダメでした。

仕事納めが終わってやっと少し気力が戻ってきて、28日に久しぶりに望遠鏡をベランダに出して月面モザイクを撮りました。

月齢10.2 (2017/12/28 20:48-21:27)
月齢10.2 (2017/12/28 20:48-21:27)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.5ms x 200コマをスタック処理 x 11枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

前回極軸の誤差で危うくモザイクが欠けるところだったので今回はドリフト法で極軸を追い込んでから撮影しました。おかげでモザイクが欠けることはなかったのですが、出来上がりがイマイチというか、像が斜めに流れたような写りになっています。ブレてるんですかね?

今までに比べて特別風が強かったわけでもないし、1/2000秒でこんなにブレるものでしょうか。でもローリングシャッターだからブレというか像の歪みは出てもおかしくないか…

そんなわけでイマイチの写真で気分もイマイチもりあがらず、29日は晴れていましたが撮影せず、今夜は曇りで安心して部屋にこもってこれを書いています。ダメじゃん…

月と木星 (2017/12/15)

早朝、月齢26.3の細い月を撮ろうと思ったのですがあいにくの曇り空。でも雲越しに月と、そしてその西に明るい星が見えています。金星かな?と思って雲の切れ間にツーショットで撮っていたのですが木星でした。

月と木星 (2017/12/15 04:46)
月と木星 (2017/12/15 04:46)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0, OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (f146mm 絞りF4.0) / 固定撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO400, RAW) / 露出 2秒 / Lightroom CC で画像処理

薄雲がソフトフィルターになってくれるのはいいのですが、あまり露出がかせげません。100mm(フルサイズ換算200mm)以上で2秒の固定撮影だと星が少し流れます。

こういうのは雲も一緒に写ると風情が出るのですがなかなかいい感じの雲になりませんでした。残念。

月と木星 (2017/12/15 04:48)
月と木星 (2017/12/15 04:48)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0, OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (f146mm 絞りF4.0) / 固定撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO1600, RAW) / 露出 1秒 / Lightroom CC で画像処理

月と木星 (2017/12/15 04:49)
月と木星 (2017/12/15 04:49)
ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0, OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (f146mm 絞りF4.0) / 固定撮影 / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO1600, RAW) / 露出 1秒 / Lightroom CC で画像処理

ふたご座流星群、撮影失敗 (2017/12/13)

13日はずっと体調が悪かったのでふたご座流星群はパスするつもりだったんですが、深夜少し具合が良くなったのでベランダから撮影しながら夜空を眺めることに。

流星の撮影は、固定撮影時代にはやってたのですが、スカイメモSを買ってからはやってませんでした。固定撮影の頃は ISO1600, f2.8, 5s とかの露出で連写していたのですが、明るい流星はちゃんと写るものの星空の写りが寂しいのです。そこで今回は追尾撮影を試してみたのですが、結果から言うと失敗でした。

ISO200, f2.8, 120s で撮ってみたのですが、肉眼では見えた2〜3等くらいの流星が光害の背景光に埋もれてまるで写りません。RAW現像でなんとかなると思っていたのですが全然ダメでした。ピントが少し甘かったせいもあるのかもしれませんが写っているはずのコマを等倍で見ても流星らしきものが何も見えません。

撮って出しの写真がこれです。この時、2等より少し暗いくらいの流星が冬の大三角の中を垂直に流れたはずなのですが。

ベランダから見た冬の大三角 (2017/12/14 02:42)
ベランダから見た冬の大三角 (2017/12/14 02:42)
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO (f21mm F2.8) / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 2分 / Lightroom CC で現像

ここまで何も写らないものなんですかね?ちなみに右上隅に見えるのは宿敵ベランダの天井です。部屋の明かりは消していますが外の明かりだけで真っ白に写っています。

肉眼では延べ30分ほどの間に5つの流星が見えました。一番明るかったのは3:09頃にプロキオンのすぐ東に流れた1等くらいの流星ですが、これはぎりぎり写野外だったようで撮れませんでした。

ということで撮影は失敗ですが、流星そのものはそこそこ見えたのであまり不満はないです。でも残念。というか、光害地で流星ってどうやって撮ったらいいんですかね。短時間露出と長時間露出を合成するしかない?

月面モザイク成功! (2017/12/5)

昨夜は月齢17の「居待月」でしたが、深夜にまた月面のモザイク撮影をやりました。今度はベランダの天井に邪魔されないように南中前の24時前に撮影開始。月の南西部からジグザグに写野を移動して13枚を撮影して合成。今度はうまくいきました。

月 (2017/12/5 23:56-24:34)
月 (2017/12/5 23:56-24:34)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15) / Kenko-Tokina スカイメモS / QHY5L-II-M / 露出 0.5ms x 200コマをスタック処理 x 13枚をモザイク合成 / AutoStakkert!2 2.6.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

風が少しあり、時折望遠鏡がかなり揺れましたが200/2000フレームのスタックなのであまり影響はなかった模様。でも途中で風が強すぎて撮り直しのカットがあったのが原因で結構ギリギリなことになっていました。

月の撮影の時は極軸をあまりきちんと合わせていません。そのため撮影中に写野が南北方向に少しずつずれていくのですが、一枚撮る分にはあまり影響はありません。しかし、モザイク撮影で東西に写野を振って何枚も撮っているとずれが累積してしまいます。

今回の場合、極軸の誤差で月が南に流れていたのですが、南東部から西部に写野を振って、折り返して東部に写野を振る途中で撮り直しで余計に時間がかかっていたため、東部を撮った時点で月が想定より南に流れていました。

そのため東部のカットの下の部分が、その下の南東部のカットの上の部分とほとんど重ならなくなっていました。撮影時点ではそのことに気付いてなくて、スタックした画像を見て初めて気付いてずいぶん焦りました。幸い10ピクセル幅くらいは重なっていたためモザイク合成しても破綻はしなかったのですが、なかなかきわどいところでした。

そんなわけで、月面撮影といえども時間をかけてモザイク撮影する際は極軸をちゃんと合わせておきましょう、というのが今回の教訓。