Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

VirtualSkySlideShow v0.1.1 (IE11対応)

VirtualSkySlideShow (VSSS) ですが、IE11 で動作しないことが判明しました。というか、画面が固まってしまうという…

IE11 で画面が固まるのは大元の VirtualSky も同様で、VirtualSky 同梱の stuquery.js のバグっぽいです。とりあえず処理を一部削って動くようにはしましたが、VirtualSky のフル機能が動くかどうかは不明です。たぶんいらない処理だとは思うのですが…

また、VSSS 本体の方も IE11 がサポートしないメソッドを使ってしまっていたので修正しました。

以上を修正したものを v0.1.1 として公開します。

追記: IE11で固まる理由

直接的には lang ファイル en.json の読み込みが無限に繰り返されるのが原因。

IEXMLHttpRequest は responseType: 'json' に対応しないため、en.json の読み込みの際に応答がJSONパース済みのオブジェクトではなく文字列で帰ってくる。stuquery.js ではそのような場合を想定して、文字列の応答なら応答を JSON.parse() するように実装されているが、応答の前処理の不具合でJSON内の文字列値に括弧が入っているものを読み込むとJSON文字列を破壊してしまう。en.json 内には括弧を含む文字列値があるので、読み込み時にパースに失敗する。

JSONのパースに失敗すると文字列値がそのまま virtualsky.js に渡されるが、loadLanguage() はこれをオブジェクトだと思ってプロパティ loaded を追加してロード済みのフラグに使用しようとするが、相手は文字列なので失敗。続く changeLanguage() には、このフラグが立ってなければ loadLanguage() を呼び出す処理があるため、無限に loadLanguage() が呼び出されてしまう。

問題の「応答の前処理」だが、どうも JSONP 形式の応答から正規表現JSON を抽出しようとしている模様。でもクォーテーションとか考慮していないのでまともに機能しない。ここで JSONP を読めるようにする必要はなさそうなので前処理を丸ごと削除することで対応した。

VirtualSkySlideShow のソースコード

昨日紹介した星図がグリグリ動くスライドショースクリプト VirtualSkySlideShow (VSSS) のソースコードgithub で公開しました。

また、デモで利用している改造版の VirtualSky も公開しました。

これは日付表示が米国式表示に固定だったのをロケールを指定できるようにしたものです。

要望・バグ報告等は github で issue を上げてくれると助かります。雑多な相談事はブログのコメント欄でも構いません。

このブログ上での VSSS に関する話題は vsss カテゴリから一覧できます。

VirtualSkySlideShow の使用方法

お知らせ(2019-11-19): VirtualSkySlideShow (VSSS) の使用方法の最新版は、以下を参照してください。

ここから先の内容は VSSS v0.1.2 時点のもので最新版にはあてはまらない場合があります。


昨日のエントリで紹介したスライドショーですが、

使ってみたいという声もありましたのでスクリプトの使用方法を以下にまとめました。

概要

VirtualSkySlideShow (VSSS) は、JSON または JavaScript 形式で記述したスライドデータから写真のURLと被写体の座標等を読み込んでスライドショーを再生します。

JavaScript のセキュリティの関係でスクリプトの設置方法とスクリプトを読み込むページの設置場所、スライドデータの記述方法によって制限や注意点があります。

条件によっては正常に動作させることができないので、最初に「スクリプトの設置方法」「スライドデータの設置方法」「スクリプトの使用方法」を確認してから使用するかどうかを決めてください。

スクリプトの設置方法

スクリプトを自分で設置しない場合

僕のサーバー*1 に置いてあるスクリプトを直接利用する場合です。簡単ですがおすすめはしません。理由は、以下の通り。

  • 僕に悪意があれば忘れた頃に悪意あるコードを紛れこませることができる。
  • サーバーが負荷に弱いので大勢が使うと読み込めなくなる。
  • 予告なくスクリプトの提供を停止する場合がある。
  • 予告なくスクリプトをバージョンアップする場合がある。

以上を了承した上であまり負荷をかけない範囲で使用したい場合は、スクリプトの読み込み先に以下のURLを使用してください。

自分のサーバーにスクリプトを設置する場合

VirtualSky を含む一式を zip に固めたものを以下の場所に置きました。これをサーバー上の一か所のディレクトリ内に展開してください。

vsss.js/vsss.min.js がスライドショー実行プログラムです。その他は VSSS が利用しているプラネタリウム表示ソフト VirtualSky (https://github.com/slowe/VirtualSky) v0.7.4 のファイルです(virtualsky.js/virtualsky.min.js のみ少し手を加えています)。

使用方法が「ブログ等で使用する場合」に該当する場合は設置サーバーに後述のCORS設定が必要です(「自分のサーバー上のページで使用する場合」なら不要)。

CORS設定

VSSS および VirtualSky にはユーザーの作成したスライドデータやスクリプトに同梱された星図のデータを外部ファイルから読み込む処理があります。この種の JavaScript は、スクリプトを使用するページが置いてあるサーバーと、データの置いてあるサーバーが異なる場合、セキュリティ上の理由でデータの読み込みに失敗して正常に動作しなくなります。

これを回避するためには、データ(あるいはデータを含んだスクリプト一式)を設置するサーバーにCORS(Cross-Origin Resource Sharing: オリジン間リソース共有)設定が必要です。ただし、レンタルサーバーの場合、この設定ができない環境もあります。

サーバーの Web サーバーが Apache の場合、VSSS のスクリプト一式およびJSON形式のスライドデータファイルが設置されたディレクトリ(またはその親ディレクトリ)の .htaccess ファイルに以下の設定を追加します。

Header set Access-Control-Allow-Origin: "*"

特定のサーバー上のページからのみ読み込みを許可したい場合は以下のように設定します。

Header set Access-Control-Allow-Origin: "https://your-blog-site.example.com"

レンタルサーバーでは .htaccess で Header 設定が使用が許可されていないためにCORS設定ができない場合があります。

CORS設定はスクリプトを設置する前に済ませておくことをおすすめします。設定前にブラウザがスクリプトが読み込んでしまうと、ブラウザのキャッシュを消さないとCORS設定が反映されないため面倒なことになります。

スクリプトの使用方法

ブログ等で使用する場合

まず、ブログ等のWebサービス上で VSSS を利用する場合は、まずそのサービスで任意の JavaScript が実行が可能かどうか確認してください。

ブログ等で使用する場合は、スクリプトの設置サーバーと使用するサーバー(スクリプトを読み込むページのあるサーバー=ブログサービスのサーバー)が異なるため設置サーバー側でCORS設定が必要になります。*2

スライドデータは JavaScript 形式のものを埋め込むか、やはりCORS設定したサーバー(通常はスクリプトの設置サーバーと同じサーバー)に設置します。

自分のサーバー上のページで使用する場合

自分のサーバー上のページで VSSS を使用する場合は、同じサーバーにスクリプトを設置すればCORS設定なしで動作します。

スクリプトの読み込み方

スクリプトの設置先が https://your-server.example.com/vsss/ である場合、スクリプトを読み込む HTML コードは以下のようになります。

<script src="https://your-server.example.com/vsss/stuquery.min.js" type="text/javascript"></script>
<script src="https://your-server.example.com/vsss/virtualsky.min.js" type="text/javascript"></script>
<script src="https://your-server.example.com/vsss/vsss.min.js" type="text/javascript"></script>

スクリプト実行コードの書き方

スライドショーを実行するコードはスライドデータの形式によって異なります。

JSON形式のスライドデータを使用する場合

以下は 800x800 の表示領域に、https://your-server.example.com/data/your-slide.json に置いたJSON形式のスライドデータを表示するコードです。

<div id="starmap" style="width:800px;height:800px;"></div>
<script type="text/javascript">
  var ss;
  S(document).ready(function() {
    ss = new VirtualSkySlideShow({
      id: 'starmap',
      url: 'https://your-server.example.com/data/your-slide.json',
      latitude: 35.4943963,
      longitude: 139.525167,
      datelocale: 'ja-JP'
    });
  });
</script>
  • 表示領域用の div 要素に id を振ります(ここでは starmap)。
  • 表示領域のサイズは div 要素の style 属性で指定します。
  • VirtualSkySlideShow() の引数のオブジェクトに以下のプロパティを指定します。
    • id: 表示領域用の div 要素の id を指定します。
    • url: JSON形式のスライドデータのURLを指定します。
    • latitude: 観測地の緯度を指定します(初期表示用)。
    • longitude: 観測地の経度を指定します(初期表示用)。
    • datelocale: 日時表示のロケール(言語・地域名)を指定します。

VirtualSkySlideShow() の引数のオブジェクトには他にも VirtualSky() の引数と共通するプロパティを指定できます。ただし projection プロパティだけは指定しないでください。詳細は https://github.com/slowe/VirtualSky/blob/gh-pages/virtualsky.js の冒頭のコメントの OPTIONS を参照してください。

同じページに複数のスライドショーを貼る場合は、上のようなコードをスライドショー毎に貼ります。表示領域用の div 要素の id (と、それを指定するプロパティ)は、スライドショー毎にユニークな値に変更します。

JavaScript形式のスライドデータを使用する場合

https://your-server.example.com/data/your-slide.js に置いたJavaScript形式のスライドデータを表示するコードは以下のようになります。

<div id="starmap" style="width:800px;height:800px;"></div>
<script type="text/javascript">
  var ss;
  var data;
  function callback(obj) {
    data = obj;
  }
  S(document).ready(function() {
    ss = new VirtualSkySlideShow({
      id: 'starmap',
      data: data,
      latitude: 35.4943963,
      longitude: 139.525167,
      datelocale: 'ja-JP'
    });
  });
</script>
<script src="https://your-server.example.com/data/your-slide.js" type="text/javascript"></script>

スクリプトに callback 関数が追加され、コードの最後でスライドデータをJavaScriptとして読み込んでいます。VirtualSkySlideShow() の引数のオブジェクトのプロパティは、url がなくなってかわりに data が指定されています。他はJSON形式と同様です。

注意: 他人のスライドデータを利用する場合

自分の作ったスライドデータではなく他人の作ったスライドデータを他人の管理するサーバーから読み込んで利用する場合は JavaScript 形式のスライドデータは使用しないでください。

JavaScript 形式のスライドデータはスライドショーを表示するサイト上で JavaScript として実行されるため、後からスライドデータが悪意のあるコードに書き換えられると危険です。

スライドデータをページ内に埋め込む場合

スクリプトやデータを置くサーバーがない場合は、僕のサーバーからスクリプトを読み込むことになりますが、スライドデータはページ内のコードに埋め込むことになります。その場合のスライド表示コードは以下のようになります

<div id="starmap" style="width:800px;height:800px;"></div>
<script type="text/javascript">
  var ss;
  var data = {
    "config" : {
      "date": "2017-10-01T00:00:00+09:00",
      "latitude": 35.4943963,
      "longitude": 139.525167,
      "az": 180,
      "spin_duration" : 1500,
      "pan_duration" : 500,
      "stop_duration" : 1000,
      "image_duration" : 5000
    },
    "slides" : [
      {
        "date": "2017-10-26T01:40:00+09:00",
        "ra": "05h 35m 17.3s",
        "dec": "-05° 23′ 28″",
        "image": "https://live.staticflickr.com/4505/24115433588_a9612b9b3c_c.jpg",
        "label": "M42"
      },
      {
        "date": "2017-11-01T18:24:00+09:00",
        "planet": "Moon",
        "image": "https://live.staticflickr.com/4493/37379606344_25889b7a72_c.jpg",
        "label": "月齢12.6"
      }
    ]
  };
  S(document).ready(function() {
    ss = new VirtualSkySlideShow({
      id: 'starmap',
      data: data,
      latitude: 35.4943963,
      longitude: 139.525167,
      datelocale: 'ja-JP'
    });
  });
</script>

変数 data に JavaScript のオブジェクトとしてデータを記述しています。データの書式はJSON形式と同様です。

スライドデータの書き方

JSON 形式

以下はJSON形式のスライドデータの例です。

{
  "config" : {
    "date": "2017-10-01T00:00:00+09:00",
    "latitude": 35.4943963,
    "longitude": 139.525167,
    "az": 180,
    "spin_duration" : 1500,
    "pan_duration" : 500,
    "stop_duration" : 1000,
    "image_duration" : 5000
  },
  "slides" : [
    {
      "date": "2017-10-26T01:40:00+09:00",
      "ra": "05h 35m 17.3s",
      "dec": "-05° 23′ 28″",
      "image": "https://live.staticflickr.com/4505/24115433588_a9612b9b3c_c.jpg",
      "label": "M42"
    },
    {
      "date": "2017-11-01T18:24:00+09:00",
      "planet": "Moon",
      "image": "https://live.staticflickr.com/4493/37379606344_25889b7a72_c.jpg",
      "label": "月齢12.6"
    }
  ]
}

JavaScript 形式

以下はJavaScript形式のスライドデータの例です。

callback({
  "config" : {
    "date": "2017-10-01T00:00:00+09:00",
    "latitude: 35.4943963,
    "longitude": 139.525167,
    "az": 180,
    "spin_duration" : 1500,
    "pan_duration" : 500,
    "stop_duration" : 1000,
    "image_duration" : 5000
  },
  "slides" : [
    {
      "date": "2017-10-26T01:40:00+09:00",
      "ra": "05h 35m 17.3s",
      "dec": "-05° 23′ 28″",
      "image": "https://live.staticflickr.com/4505/24115433588_a9612b9b3c_c.jpg",
      "label": "M42"
    },
    {
      "date": "2017-11-01T18:24:00+09:00",
      "planet": "Moon",
      "image": "https://live.staticflickr.com/4493/37379606344_25889b7a72_c.jpg",
      "label": "月齢12.6"
    }
  ]
})

全体を "callback(" と ")" で括る以外はJSON形式と同じです。

スライドデータの書式

n 個のスライドを含むスライドデータの全体構造は以下のようになっています。

{
  "config" : {
    (スライドショーの設定)
  },
  "slides" : [
    {
      (スライド1の設定)
    },
    {
      (スライド2の設定)
    },
    ...
    {
      (スライドnの設定)
    }
  ]
}
スライドショーの設定

"config" オブジェクトにはスライドショー全体の設定を記述します。

例:

"config" : {
  "date": "2017-10-01T00:00:00+09:00",
  "latitude: 35.4943963,
  "longitude": 139.525167,
  "az": 180,
  "spin_duration" : 1500,
  "pan_duration" : 500,
  "stop_duration" : 1000,
  "image_duration" : 5000
}

各設定値の意味と書式は以下の通りです。

  • "date" : スライド開始時に最初にプラネタリウムに表示する星空の日付時刻です。ISO形式で指定します。例: 2017-10-01T00:00:00+09:00 は日本時間(標準時から+9時間差)の2017年10月1日0時0分0秒。
  • "latitude" : 観測地の緯度です。数値で指定します。
  • "longitude" : 観測地の経度です。数値で指定します。
  • "az" : スライド開始時に最初にプラネタリウムに表示する星空の方位です。数値で指定します。0 は北、90 が東、180 が南、270 が西です。
  • "spin_duration" : 次のスライドを表示する前にプラネタリウムの表示時刻を変化させるのにかかる時間(星空が日周運動で回転する時間)です。ミリ秒単位の数値を指定します。
  • "pan_duration" : 次のスライドを表示する前にプラネタリウムに表示する星空の方位を変化させるのにかかる時間です。ミリ秒単位の数値を指定します。
  • "stop_duration" : spin と pan が終わった後スライドを表示するまでの待ち時間です。ミリ秒単位の数値を指定します。
  • "image_duration" : スライド画像を表示する時間です。ミリ秒単位の数値を指定します。
スライドの設定

スライドオブジェクト("slides" 配列の要素)には各スライドの設定を記述します。

以下は被写体が月、太陽、惑星の場合の記述例です。

{
  "date": "2017-11-01T18:24:00+09:00",
  "planet": "Moon",
  "image": "https://live.staticflickr.com/4493/37379606344_25889b7a72_c.jpg",
  "label": "月齢12.6"
}

各設定値の意味と書式は以下の通りです。

  • "date" : 撮影日時です。書式は "config" の "date" と共通です。
  • "planet" : 太陽系の天体の名前です。太陽は "Sun"、月は "Moon"、水星は "Mercury"、金星は "Venus"、火星は "Mars"、木星は "Jupiter"、土星は "Saturn"、天王星は "Uranus"、海王星は "Neptune" を指定します(大文字小文字を区別します)。
  • "image" : 写真の画像ファイルのURLです。文字列で指定します。
  • "label" : プラネタリウム上のマークに表示するラベル文字列です。

以下は被写体が月、太陽、惑星以外の天体の場合の記述例です。

{
  "date": "2017-10-26T01:40:00+09:00",
  "ra": "05h 35m 17.3s",
  "dec": "-05° 23′ 28″",
  "image": "https://live.staticflickr.com/4505/24115433588_a9612b9b3c_c.jpg",
  "label": "M42"
}

各設定値の意味と書式は以下の通りです。

  • "ra" : 対象天体の赤経です。時分秒形式の文字列で指定します。例: "05h 35m 17.3s" は赤経5時35分17.3秒。
  • "dec" : 対象天体の赤緯です。度分秒形式の文字列で指定します。例: "-05° 23′ 28″" は赤緯マイナス5度23分28秒。*3

その他は月、太陽、惑星の場合と同様です。

Q&A

  • Q: 星座線が表示されません。
    • A: 星座線データが読み込めていません。スクリプトの設置サーバーにCORS設定が必要です。
  • Q: スライドショーが始まりません。
    • A: 以下を確認してください。
      • JSON形式のスライドデータの場合、スライドデータの設置サーバーにCORS設定が必要です。
      • スライドデータの書式がJSONまたはJavaScriptの文法を違反している場合はスライドショーは実行されません。カンマの抜けや余分なカンマ等でエラーになりやすいので注意してください。
  • Q: プラネタリウム上に被写体のマークが表示されません。
    • A: スライドの時刻("date")または座標("ra", "dec")が間違っていると被写体の天体が地平線以下に位置してしまい画面上にマークが表示されない場合があります。

*1:さくらインターネットレンタルサーバーです。

*2:スクリプトを自分で設置しない場合」はCORS設定済みの僕のサーバーからスクリプトを読み込むのでそのまま使えます。

*3:「°」は「º」でもOK。「′」は半角の「'」でもOK。「″」は半角の「"」でもOKですが、JSONの文字列なのでエスケープして「\"」と書く必要があります。

こんなスライドショーはどうでしょう?

天体写真をスライドショーで見せるのに、星図を見せながら写真を表示して天球のどこを撮ったかわかるように見せたいなと思って、JavaScript で頑張ってみました。

クリックするとスライドショーが開始します。2018年に撮った主な写真を表示するスライドショーです。

開始後はクリックする度に一時停止/再開が切り替わります。ダブルクリックで全画面表示のON/OFFします(ただし表示される画像は低解像度のままです…)。

プラネタリウム表示には VirtualSky (https://github.com/slowe/VirtualSky)というフリーの JavaScript ソフトウェアを利用しています。フリーと言ってもライセンスがはっきりしないのですが… とりあえず教育用途と非営利目的の使用はOKのようです。

自動でグリグリ動くところとか画像の表示とかは自分で実装しました。内部の変数に結構依存しているので VirtualSky のバージョンが変わると動かなくなるかも。v0.7.4 に少しだけ手を加えたもので動いています。

スライドショーのデータは JSON で記述します(例: vsss-2018.json)。赤経/赤緯の指定はかなりロバストに作ってあって、Wikipedia からのコピペで大抵大丈夫です。

追記: スマホではたぶん動きません… とりあえず PC から見てください。
追記: iPhone で動くようになりました。PC では FirefoxChromeSafari で動作することを確認しました。

2017年の火星と海王星の接近 (2017/1/1)

海王星と言えばこのブログを始める少し前、2017年1月1日に火星と海王星の接近がありました。海王星を見たのはこの時が初めてです。

火星と海王星の接近 (2017/1/1 17:42)
火星と海王星の接近 (2017/1/1 17:42)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), OLYMPUS EC-20 2x TELECONVERTER (合成F12) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO400, RAW) / 露出 4s / Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 7373mm 相当にトリミング

左の明るく赤い星が火星で、右の暗く青緑色の星が海王星です。

この手の接近って、望遠鏡で見るレベルだと言うほど近くなかったりするのですが、この時はものすごく接近していて、月が画面いっぱいに写る画角まで拡大してもまだ物足りないぐらいの近さでした。上の写真の画角はフルサイズ換算で7373mm相当です。

といっても火星の模様が見えるほどでもなく、写真に撮っても赤と青緑の色の対比くらいしか表現できないのですが、それでも記念にと撮っておいたのでした。

海王星は小さすぎて望遠鏡で撮ってもパッとしないし、8等星と暗いので星野写真でも目立たないし、かといって撮れば普通に撮れる程度には明るいので冥王星みたいなレア感もないし、被写体としては難しい対象ですね。

海王星、天王星 (2019/11/6)

11月6日の夜は透明度は悪いもののよく晴れていたので、前々から撮りたかった海王星天王星を撮りました。μ-180C を出すのは久しぶりです。

海王星は20時前に南中なのでゆっくりしていると西に傾いてしまいます。先に鏡筒をベランダに出してドリフト法で極軸を合わせている間に温度順応させます。20時前にまずフォーマルハウトを導入して極軸を回した時に星が水平に移動するようにカメラの向きを調整。

その後ピントを合わせようとしましたが、シンチレーションが激しくて全然ピントが追い込めず、結局月面でピントを合わせました。シーイングはあまり良くなく苦労しましたがなんとか追い込みました。

そして海王星の導入ですが、自動導入では写野に入りませんでした。比較的近い明るい星ということでみずがめ座のα星サダルメリクを導入してアライメントを取り、再度海王星を導入。これも写野には入りませんでしたが、フリップミラー側に付けた20mmのアイピースの視野には入ったのでなんとか導入できました。

ADC は最後に木星を撮った時の調整位置のままでしたが、色ズレは視認できなかったのでとりあえずそのまま。まずは8秒露出でトリトンとのツーショットを撮りました。

海王星とトリトン (2019/11/6 20:54)
海王星トリトン (2019/11/6 20:54)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 501) / 露出 8s x 16/32コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

つづいて露出を1/4秒に落として海王星本体を撮りました。

海王星 (2019/11/6 20:59)
海王星 (2019/11/6 20:59)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 501) / 露出 1/4s x 2000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

予想以上に小さいですね。視直径は2.3秒。シリウスBを撮った時に作ったものさしを当てるとだいたいそのくらいですね。

続いて天王星です。こちらも自動導入では写野に入らなかったので、一度おひつじ座のα星ハマルでアライメントを取ってからなんとか導入しました。高度が結構高いです。ADC の色ズレが目立ったので調整してから8秒露出で衛星と一緒の写真を撮りました。

天王星と衛星 (2019/11/6 21:30)
天王星と衛星 (2019/11/6 21:30)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 501) / 露出 8s x 16/32コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

衛星は右上からオベロン、チタニア、天王星のやや右下がアリエル、左下にかすかに見えるのがウンブリエルです。天王星のやや右上に16等星のミランダがあるはずですが、これは写りませんでした。

天王星と衛星 (2019/11/6 21:30)

最後に天王星本体を撮ります。結構明るいのでゲインと露出を変えて撮りました。

天王星 (2019/11/6 21:36)
天王星 (2019/11/6 21:36)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 465) / 露出 1/15s x 2000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

結構はっきり円盤状に写りますね。視直径は3.7秒。なんとなく表面に模様が見えているような… 画像処理で出てきたアーティファクトですかね?カラーバランスは海王星と同じに揃えてあります。青い海王星と比べて少し緑っぽいのがわかります。

というわけで、導入に少々苦労はしましたが、海王星天王星は割とスムーズに撮れました。μ-180C で撮っていない惑星は、あとは水星だけです。あ、冥王星も?

ボリソフ彗星(2I/Borisov)撮影失敗 (2019/11/6)

11月6日明け方に恒星間天体ボリソフ彗星(2I/Borisov)の撮影にチャレンジしました。快晴とはいえ平日なので撮る予定はなかったのですが、深夜に目がさめてしまったので…

結果から言うと失敗で、写真上にそれらしき天体は確認できませんでした。

2I/Borisov 撮影失敗 (2019/11/6 3:32-4:20)
2I/Borisov 撮影失敗 (2019/11/6 3:32-4:20)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 0.6倍レデューサー (合成F3.6) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1分30秒 x 30コマ 総露出時間 45分 / DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 2615mm 相当にトリミング

F3.6で1分30秒露出を30枚コンポジットです。中央部にボリソフ彗星が移動しているのが写るはずなのですが、全くそれらしきものが見当たりません。コンポジット前の RAW も確認しましたがダメでした。

ボリゾフ彗星の位置は Stellarium 0.19.2 で確認しました。*1 導入はレグルスから星を辿って手動導入です。Stellarium で確認できる範囲では、15.7 等までの恒星が写っているのですが、ボリソフ彗星は16等前後なので厳しかったでしょうか。

ダメ元と思ってチャレンジしたものの、ギリギリ写るかとも思ったのですけどねぇ…

2019/12/2 追記

Stellarium のデータが古くて上で確認したボリソフ彗星の位置が間違っていたので再確認しました。

*1:Stellarium 0.18 ではどうしても 2I/Borisov を追加できなくて最新版にアップデートしました。