Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

木星と土星の接近 (2020/12/22)

12月22日もまだまだ接近している木星土星を撮りました。最接近は21日とはいえ22日も負けないくらい近いです。星ナビさんによると、木星土星の間隔は21日が0.11度、22日が0.12度だそうです。

今回は21日の撮影にあたって検討していたプランBの撮影方法、8cm屈折と惑星用CMOSカメラを使った撮影にトライしました。体調が悪く夕方まで寝ていたのですが、16:00頃から昨日から出しっぱなしの赤道儀に鏡筒(BLANCA-80EDT)を載せて月面でピント合わせ。

シーイングも悪くなくこれは期待できそう?と思いつつ16:30に木星を導入したのですが、1/2.8インチセンサーの横位置に木星土星が収まるように選んだ1.6倍のバローレンズでは惑星像が思いの外小さくて見栄えがしない事が判明。

しばし悩んだのですが、「本番」は昨日済ませたので失敗してもいいやと2.5倍バローに組み換えて、木星土星がフレームに入るようにカメラを斜め向きに取り付けました。ピントが大きく変わるので改めて月面でピントを大まかに合わせてから木星でピントを追い込むと、縞模様がくっきり見えてきました。

17:30頃まで露出を変えながら動画を撮り続けてベストショットがこれでした。

木星と土星の接近 (2020/12/22 16:55)
木星土星の接近 (2020/12/22 16:55)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15), ZWO ADC 1.25", ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 201) / 露出 1/60秒 x 2500/5000コマをスタック処理(1.5倍 Drizzle) / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2021, Lightroom Classic で画像処理。

木星の縞模様の濃淡と色合いがちゃんと解像しています。南赤道縞の東の端には隠れる直前の大赤斑が見えています。

木星と土星の接近 (拡大: 木星) (2020/12/22 16:55)
木星土星の接近 (拡大: 木星) (2020/12/22 16:55)

土星も縞模様が見えており、ぎりぎりながらカッシーニの間隙も見えています。

木星と土星の接近 (拡大: 土星) (2020/12/22 16:55)
木星土星の接近 (拡大: 土星) (2020/12/22 16:55)

2500コマスタックが効いたのか、筒内気流の影響が少ない屈折式の勝利なのか、21日の18cm反射+デジカメで撮ったものより解像してるような…

衛星が写るように2秒露出で撮ったものがこちら。

木星と土星の接近 (2020/12/22 17:21)
木星土星の接近 (2020/12/22 17:21)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F15), ZWO ADC 1.25", ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC (Gain 201) / 露出 2秒 x 20/40コマをスタック処理(1.5倍 Drizzle) / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2021, Lightroom Classic で画像処理。

木星の衛星は、左斜め上の離れたところに見えるのがカリスト木星の光芒の左斜め上に出っ張っているのがイオ、左斜め下がガニメデです。エウロパ木星の後ろに隠れて見えていません。

木星と土星の接近 (拡大: 土星) (2020/12/22 17:21)
木星土星の接近 (拡大: 土星) (2020/12/22 17:21)

土星の衛星は、左斜め下に見えるのがレア、土星のすぐそばの左斜め上に二つ並んでいるのが上からディオネ、テティス、右斜め上に離れて見えるのがタイタンです。エンケラドゥスとミマスは土星に近すぎて写りませんでした。

こんな感じで撮影していました。

IMG_0225

イメージングトレインはこんな感じ。

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まあ普通ですね。対物側から、ビクセンフリップミラー(接眼筒は BORG [7423] + [7317]に交換)、笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー、ZWO ADC 1.25" の組み合わせです。

ちなみに21日の μ-180C での撮影風景がこちら。

IMG_0203

イメージングトレインはこうです。

IMG_0210

IMG_0213

対物側から、AstroStreet T2ネジ付き 2インチ31.7mm変換アダプター、ZWO ADC 1.25" (プリズム本体)、ZWO 両側Tマウントオスアダプター、ビクセン 42T→50.8AD、笠井トレーディング CNC2インチLP直焦点アダプター、Tリング(フォーサーズ用)です。

42T→50.8AD を噛ませているのはカメラの回転のためです。2インチ31.7mm変換アダプターの方を回転するとADCが回転してしまう(プリズムの向きのが合わなくなる)のでこうしています。

というわけで今年最後の天文イベントは無事終わりました。

16日に試し撮りした時はちょうど寒気が入ってきた時期のせいかシーイングがめちゃくちゃ悪くて土星の輪すらギリギリな感じでまともに撮れるのか不安でしたが、21日、22日共にそこそこのシーイングに恵まれてラッキーでした。3日間快晴が続いたので極軸調整済みの赤道儀をベランダに出しっぱなしにできたのもラッキーでした。

まあ、ただ木星土星が地球から同じ向きに見えるだけという宇宙的な観点からはどうってことのないイベントですが、実際に撮ったり見たりするとなかなか見応えのあるものでした。正直最初は条件が悪くて無理ゲーだと思ってパスしようとしていたくらいですが、諦めずに頑張った甲斐はあったと思います。