4月22日は昼の太陽の撮影の後、ベランダに出した機材をそのままにしておいて、夜から M60 と NGC4647 の銀河のペアを撮りました。
というか、狙いはもちろん4月16日に板垣公一さんが発見した超新星 SN 2022hrs 狙いです。
発見当時は15等ということで透明度次第ではどこまで写るか?という心配はありましたが、とにかく撮らなきゃわからんということで。機材は BLANCA-80EDT と ASI294MM Pro です。実は μ-180C でオフアキやるための機材は既に届いていたのですが、超新星がいつまで撮れるかわからないので、ここはまず確実に撮っておきたいと思って。
結果はこうなりました。
SN 2022hrs 撮れました!超新星を撮ったのは初めてです。超新星出現前の M60 と NGC4647 の写真は昨年2月に撮ったものがあったのでスケールを合わせて重ねた比較動画を作りました。動画の最後にアノテーションを入れてあります。
NGC4647 の南東方向に去年はなかった星があるのがわかります。明るさは周りの恒星と比較すると13等台前半ぐらいでしょうか?発見時の15等から随分増光しているようです。
よく見ると他にも前後で明るさが異なる星があるのですが、これは昨年の写真は赤外(IRパスフィルター)で、今年の写真はRGBフィルターで撮ったため、写っている波長が異なるためだと思われます。
昨年の写真の撮影データ等はこちらを参照してください。
なお銀河のアノテーションには昨年作った Galaxy Annotator を使っています。
超新星のアノテーションはこのツールの出力の SVG を手動で編集して(Inkscapeで編集したものをテキストエディタで手直し)追加しました。
上の写真は中心部をクロップしたもので、全体はこんな感じです。
西側に M59 も写っています。背景のカブリの色むらがかなり出て暗い銀河をあまり炙り出せなかったのですが、15.5等までの銀河のアノテーションを加えたものを以下に。
写真をクリックすると flickr に飛ぶので拡大して見てみてください。ギリギリの写りですが15億光年先の銀河も写っているのがわかります。
さて、撮影データを見て気付いた方もいらっしゃるかと思いますが、今回は LRGB 合成ではなく RGB 合成になっています。実は途中まで L も撮っていたのですが、L だけ星像が流れる現象が発生して RGB のみにしました。
LRGBの各画像を露出を揃えてレベル調整したものをアルバム形式にしました。矢印ボタンでL,R,G,Bの順に切り替わります。
明らかにLの星像が流れたように伸びています。RとBもわずかに伸びていますがGはほぼ真円です。たまたまLだけガイドが悪かったわけではありません。
Lは4コマずつ、R,G,Bはそれぞれ2コマずつ、順にフィルターを切り替えて撮っているので、ガイドのせいならLに切り替えた3回のタイミングでだけガイドが悪かったことになり、不自然すぎます。そもそも15秒露出のプレビューでも星像が伸びていたのでガイドのせいとは考えにくいです。
ということは光学系の問題と考えられます。Lフィルターが傾いてる?あるいは露出中に揺れているとか?しかし撮影前のフィルター清掃の時には異常はなかったですし、今チェックしても問題は見当たりませんでした。
となると、ひょっとして以前からあった BLANCA-80EDT の色ズレ問題のせい?購入時からそうなのですが、この鏡筒、RGBの像がわずかにズレる問題があって、惑星撮影では ADC を利用して色ズレを補正したり、DSO のカラー撮影ではスタックの際に RGB Align を ON にしたりという工夫でしのいでいました。
色ズレがあるということは、L で撮れば星像は色ズレの方向に伸びるはずです。ZWO の RGB フィルターのデータを見ると透過帯域が G は狭く B と R は広めなので、B と R の星像が僅かに伸びるという結果とも整合的です。
太陽の撮影で L だけ像がブレたようになったのも同じ原因?
しかし昨年の春の銀河祭りで ASI290MM でフィルターレス撮影していた時にはここまで星像は伸びてなかったんですよね。ピクセルサイズは2割しか違わないし不可解。色ズレの原因は3枚玉の対物レンズの玉ズレと思われるのですが、この一年の間にズレが大きくなった?
このあたりはいずれ検証してみたいところですが、接眼部がいまいちヤワなところも含めて冷却CMOSで使うには辛い部分が多いので、新しい鏡筒が欲しいなとも思ったり…
というわけで、一応超新星撮れました。間に合えば μ-180C でも撮ってみたいところだけど、果たしてオフアキは機能するのかどうか…