Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

Galaxy Annotator v0.9.1 をリリースしました

銀河専用アノテーションツール Galaxy Annotator について、去年だいこもんさん(id:snct-astro)から頂いた不具合報告への対応、一見して謎過ぎたので後回しにしていたのを一年以上忘れて放置してたのを思い出して対応しました… 原因がわかったので不具合修正版のバーション(v0.9.1)をリリースしました。

スクリプトの修正は leda-votable-to-galaxy.py のみです。

不具合というのはこれなんですが、

問題の wcs.fit で WARNING が出たというのは実は関係なくて、leda-get-votable.py の方は正常にデータを取得できていました。leda-votable-to-galaxy.py のエラーは直接的にはマイナスの z (赤方偏移)の対数を取ろうとしたのが原因でした。log(z) は z が負の値だと未定義でエラーになります。

そもそも赤方偏移が負ということは銀河が地球に近付いているわけで、宇宙の膨張の速度が十分に小さい場所、つまり地球から近いところにある銀河ということになりますが、そのような銀河は別の方法で距離が測定されていれば HyperLeda に光度距離の情報(mod0)が登録されています。Galaxy Annotator は mod0 があればそれで距離を計算して近い銀河の距離表示の精度を上げています。

しかし、近い銀河でも距離が測定されていない(もしくは十分なデータがない)場合は mod0 が未登録で、赤方偏移で測定された視線速度(v)だけ登録されていることがあり、その場合 z もマイナスになるため上のエラーになります。

こういう天体については z から距離を計算することはできないので距離を出力せずに警告のみコンソールに表示するようにしました。おまけの機能で --show-negative-redshift オプションを指定すると z かマイナスの銀河について距離のかわりに z を出力するようにしました。