先月のエントリで2013年の春に撮ったパンスターズ彗星について書きましたが、今回は同年秋に撮ったアイソン彗星の思い出を振り返ります。
パンスターズ彗星のエントリの最後に紹介したアトラス彗星(C/2019 Y4 (ATLAS))ですが、その後なんと核が崩壊、まだ彗星らしい形は保っているものの、このまま散り散りになってゆく運命のようです。
彗星の崩壊・消滅と言えば2013年に接近したアイソン彗星(C/2012 S1 (ISON))を思い出します。大彗星が期待された点も共通していますね。
パンスターズ彗星(C/2011 L4 (PANSTARRS))を撮影して天文熱がぶり返した当時の僕ですが、当然アイソン彗星も撮りました。相変わらず固定撮影ですが、それでも彗星らしい姿がちゃんと写りました。
これは2013年11月21日未明に撮ったものです。これがベストショットとなりました。*1
アイソン彗星の撮影は10月28日未明から始めて何度か試みたのですが失敗。最初にその姿を捉えたのは4度目の撮影で、11月8日未明でした。アイソン彗星はおとめ座β星ザヴィヤヴァの近くに位置していました。
低空の光害に埋もれかけていて実に頼りない写りですがいくばくかの彗星らしさはあります。
翌9日未明にも撮影しました。
写りはあまり変わらないのですが、前日の位置から随分動いています。そこでこんな画像を作ってみました。
光害のカブリを取ってなくて継ぎ目が目立ちますが… 一晩でこれだけ動く、というのはわかると思います。
次に撮れたのは11月13日未明。
画角はフルサイズ換算で350mm相当です。かすかに尾のようなものがあるような… といったところ。
ちなみにこの日はしし座の北に位置していたラブジョイ彗星も撮りました。
こちらは尾は写っていませんが彗星らしい緑色が印象的です。彗星がこういう色に写るというのをこの時始めて知りました。光度は6等前後だったと思います。
翌11月14日未明にも撮りました。
前日の写真より拡大して画角はフルサイズ換算700mm相当。コンポジットで尾がうっすら見えてきました。
次に撮ったのは翌々日の11月16日未明。
尾がだいぶはっきりしてきました。画角はフルサイズ換算350mm相当。だんだん太陽に近づいて条件が悪くなっているのですが、増光の勢いの方が強いようで、薄明の空に負けない姿を撮ることができました。
翌11月17日未明、アイソン彗星はスピカの近くまで来ていました。
アイソン彗星を拡大(フルサイズ換算700mm相当)するとこうなります。
前日より写りが悪いのですが、低空なので(この日は高度20度)空の状態に左右されやすいのです。
翌11月19日にはスピカの横を通り抜けました。
次に撮影したのは11月21日未明。これがエントリ冒頭のベストショットになりました。以下はそれをフルサイズ換算700mm相当に拡大したものです。
尾がかなりはっきり見えてきました。コマも随分明るくなっています。
翌11月22日未明には水星に近づきます。
そして翌11月23日に撮影したこの写真が最後になりました。
電線が写り込んでしまっていますが… 水星、土星、アイソン彗星のスリーショットです。土星はわかりにくいですが左下隅に写っています。この条件でも尾がはっきり見えているアイソン彗星の姿に近日点通過後の勇姿を期待したものでした。
ほんと三十分くらいだったかな、アイソン彗星まともに見れたの。明日以降は厳しそう。まあ、一応見てみるけど。
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 23, 2013
というわけで、翌11月24日も撮影はしたのですが、アイソン彗星は朝焼けの光の中に飲み込まれてその姿を確認できませんでした。この先は近日点通過後までおあずけ、そう思っていました。
近日点通過は11月29日早朝。その日の昼に衝撃的なニュースが。
あわわわわ… > アイソン彗星の核が太陽最接近でほぼ消滅 http://t.co/ECNKH4xo1C
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 29, 2013
29日朝（日本時間）に太陽に最接近したアイソン彗星は、太陽からの強烈な熱を受け、彗星の核の部分がほぼ消えてしまったとみられている。12月以降に明け方の空で長い尾を見ることは、かなり難しくなった。
AstroArts 天文ニュース「アイソン彗星の核が太陽最接近でほぼ消滅」
前々から太陽に近づきすぎるので崩壊の危険性があるとは言われていたアイソン彗星ですが、本当に崩壊してしまうとは…
宇宙天気ニュースさんは10:30のニュースで「太陽を通過した後のアイソン彗星は、SOHO衛星ではとても淡くなっていて心配でしたが、STEREO Behindの最後の写真では明るく輝いて写っています。」って言ってたので準備してたのに。。
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 29, 2013
日没まであきらめない(´･ω･`) けど、質量大幅に減らしたようだとどこに飛んでくのかわからんぞ？ >アイソン彗星だったやつ
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 29, 2013
一応夕方の西の空のアイソン彗星が無事だったら来たはずの位置の周辺を撮ってはみたのですが何も写りませんでした。
太陽 (2013/11/29 10:19) http://t.co/uepoMxihye コイツがアイソン彗星を吹き飛ばした犯人！
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 29, 2013
翌11月30日も…
アイソン彗星が来るはずの位置にカメラを向けましたが… 今回も… くっ… 何の成果も得られませんでしたぁぁ！！
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 30, 2013
下半分に見えてるのがさそり座の右半分なのね。そのへんの星と比べるとアイソン彗星は3等星ぐらいかなぁ。。。ほぼ同じ時間に撮った写真には何も写ってなかった。 > SOHO LASCO-C3 on Nov 30 @ 07:18 UT pic.twitter.com/Y4KtZd5Xlk
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 30, 2013
翌12月1日。
アイソン彗星みえませんでした。。。
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) November 30, 2013
これで完全に諦めました。
おいらの元気はアイソン彗星に支えられていたようです。今はふぬけ状態です。
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) December 4, 2013
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) December 4, 2013
アイソン彗星、「どー見ても砂粒しか残ってない」(´；ω；｀)ﾌﾞﾜｯ
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) December 4, 2013
そしてダメ押し。
アイソン彗星の通った後を来年1月16日に地球が通るけど、流れ星にもならないとか。
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) December 4, 2013
崩壊したのは仕方がないとして、崩壊したアイソン彗星の痕跡を観測できるかどうか？というのをまだ少しは考えていたのですが、HIROPON(id:hp2)さん曰く… *2
11/30朝に崩壊後のアイソン彗星の明るさを見積もってた人がいたのね。最大に見積もっても5等星、崩壊が進むから観測は「一般的にはまず不可能」と。。。 http://t.co/bpuW0MuhPf http://t.co/vY2QpR2ui8
— ﾅょωﾚよ″丶)ょぅすﾚﾅ (@rna) December 8, 2013
(´･ω･`)
というわけでアイソン彗星の思い出はここで終わりです。ずいぶん落ち込みはしましたが、その後もグレずに固定撮影でぼちぼち天文を続けていました。そして2年後の2016年1月、カタリナ彗星(C/2013 US10)の接近に心乱されてついに…
