Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

VirtualSkySlideShow v0.4.0 (動画対応)

VirtualSkySlideShow (VSSS) v0.4.0 を公開しました。

rna.sakura.ne.jp に設置してあるスクリプトも v0.4.0 に更新してあります。

v0.4.0 では動画のスライドに対応しました。スライドデータで image のかわりに video に動画ファイルのURLを指定すると動画を表示します。poster にサムネイル画像*1のURLを指定すると動画のロード中の待ち時間にその画像を表示します。

サンプルを以下に。星座が表示されるのを待ってからクリックするとスライドショーが開始します。


詳細は https://github.com/rnanba/VirtualSkySlideShow/blob/master/README.md を参照してください。

video に指定するURLは、mp4 等の動画ファイルそのもののURLです。YouTube 等の動画配信サービスの動画ページのURLではないことに注意してください。

YouTube の場合は、動画ファイルそのものへのリンクが存在しないので今回の動画対応では表示できません。

Flickr に関しては、写真ページの動画の上で右クリックメニューを開くと動画ファイルのURLが得られるのですが、これは期限付きのURLなので、そのまま使うと1時間も経たないうちに使えなくなってしまいます。

たぶん以下のような方法で URL を変換してあげると、ずっと使えるURLになります。

写真ページのURLが

https://www.flickr.com/photos/rnanba/51815873509/...
※ ...の部分は場合によって異なる。

で、動画ファイルのURLが

https://live.staticflickr.com/video/51815873509/431e5c75c6/720p.mp4?s=...
※ ...の部分は場合によって異なる。

なら、写真ページのURLに動画ファイルのURLの一部を足して以下のように変換します。

https://www.flickr.com/photos/rnanba/51815873509/play/720p/431e5c75c6

このURLならいつでも使えます。*2 いずれ VSSS のおまけの Greasemonkey スクリプトの方でこの変換に対応したいと思います。

動画ファイルそのものをレンタルサーバー等に置くのが手っ取り早いのですが、業者によっては転送量の計算方法の関係で予想外の転送量が計上されてしまうことがあるのでご注意ください。

というのは、ブラウザが <video> タグで動画ファイルを読み込みながら再生する際にはサーバーにデータ範囲を指定してファイルを部分的に読み込むことを繰り返すのですが、どういうわけか途中から指定した範囲のデータの読み込みを中断して重複した範囲を指定して新しい読み込みを始めてしまいます。

そのため、アクセスログに残った範囲指定のサイズから転送量を計算する方式だと、計算上の転送量が実際に転送されたデータ量の何倍にもなってしまうのです。さくらインターネットがこの方式で、10分程の動画でもあっという間に計算上の転送量がギガ単位になってしまってアクセス規制がかかることがありました。他の業者でもそういうことがあるかもしれません。

*1:再生前に表示するタイトル画像のこと。「サムネイル」は本来画像の一覧表示等で使われる縮小画像のことですが、最近は YouTube 等でこちらの意味で使われることが多いのでそれにならいます。

*2:このURLにアクセスするとアクセスした時点で期限付きURLが生成されてそこにリダイレクトされるようです。なので、再生を一時停止したまま長時間放置すると、再生を再開した際にエラーになる可能性はあります。

動画からの流星検出 - 2021年ふたご座流星群 (2021/12/13)

去年撮影のネタはこれで最後になります。2021年12月13日の夜、ふたご座流星群を撮影しました。正直流星はあまり興味がないのであまり撮らないのですが、なんとなく気になって動画だけ撮ることにしました。

深夜 0:30 頃、ベランダに適当に南北を合わせたスカイメモSを置いて OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II + Voigtlander Nokton 17.5mm F0.95 で、Full-HD 30fps の動画を撮影開始。60fps にしようかと思ったのですが、それだとシャッタースピードが 1/60s までになるので、さすがに F0.95 といえども星がまるで写らなかったので諦めました。

SDカードがいっぱいになるか電池が切れるまで放置、と思っていたのですが、やはり気になって見てみると50分足らずで停止している様子。センサー温度か何かの要因で自動停止したのでしょうか。もう一度撮影開始しましたが20分足らずでまた停止。寒いのでそれ以上は撮らずに撤収しました。

そのまま寝ればいいものを、撮ったら撮ったで写ってるかどうか気になって、4倍速目視でチェック。70分で4つか5つくらい確認できたのですが、さすがにこれは見逃しありそうだし、なんとか自動的に検出する方法はないかとその後調べてみました。

最初に試してみたのがこちら。地学の先生のブログ「高津科学」のエントリ。

Python + OpenCV で検出するもので、GUI付き。入力はそのままでは .mov ファイルを選択できませんが、ソースの fTyp を書き換えるか、Windows ならファイルダイアログでファイル名に *.* を入力して Enter で選択できるようになります。

試してみたのですが、自分の動画の場合はデフォルトの閾値では誤検知が多く、閾値を上げると明らかな流星を見落とすようになって、ちょうどいいパラメータが見つけられませんでした。フレーム差分から動体検知をしているようなのですが、ノイズが多いとうまくいかないっぽいのでしょうか。

次に見つけたのはこちら。アストロアーツの公式ブログのつのださんのエントリ。

こちらも Python + OpenCV ですが、直線検出で流星を検出するもの。さらに地上風景や雲などからの誤検知を防ぐ機能もあります。が、残念ながら静止画のみで動画は非対応。

検出方式はこちらの方が期待できそうな気がしたので、高津科学さんの方にこちらの検出方式を移植するか、逆にこちらのスクリプトに高津科学さんの動画読み込みを移植するか… 悩んでるうちに年が明けてしまったのですが、コマンドラインの方が好みなので後者にしました。

動画専用に退化させるのも忍びないので静止画対応も残しつつ動画対応を追加することに。*1 Python は昨年の春以来ご無沙汰で for 文の書き方すら忘れてる有様でしたが、なんとか実装。

動画のフレームは露出時間が短く、そのままでは直線検出ができないことが予想されたため、複数枚のフレームを比較明合成したものに対して検出するようにしました。また、地上風景や雲を消すための面積検出&塗りつぶしの処理がノイズに反応してるっぽいので、とりあえずその部分はコメントアウトしました。

しかし、それだけでは流星が全然検出できず。おかしいなと思い、一度動画(約10分毎に分割されたもの)の全フレームを比較明合成した画像を作ると、結構な数の流星が見えています。

ふたご座流星群の比較明合成画像 (2021/12/14 02:14-02:24)
ふたご座流星群の比較明合成画像 (2021/12/14 02:14-02:24)
Voigtlander Nokton 17.5mm F0.95 (F0.95) / Kenko-Tokina スカイメモS / OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II (ISO6400, FHD, Super Fine, 30p), 露出: 1/30秒 x フレームを比較明合成 / 自作スクリプト(Python 3.7.11 + OpenCV 3.4.2)で画像処理

輪郭検出と直線検出だけ抜き出したスクリプトに入力してパラメータを色々試したところ、以下のことがわかりました。

  • cv2.threshold() のパラメータの問題
  • cv2.HoughLinesP() のパラメータの問題
    • threshold が大きすぎる
    • minLineLength が大きすぎる
      • --line-threshold オプションより優先されるので同オプションに小さい値を指定しても意味がない。
    • maxLineGap が指定されていない
      • 動画だとフレームを比較明合成しても流星が細切れになるので直線が途切れるのをある程度許容しないといけない

cv2.threshold() のしきい値については背景レベルに合わせて適切な値を指定しないとノイズだらけになります。ノイズがあるとそこから大量の偽直線が検出されて使い物になりません。輝度の中央値を指定すればよさそうですが、周辺減光が大きい場合は中央部にノイズが残ってしまいます。

これは以下のようにして自動的に良さそうな値を得ることができました。

  1. 画面を 5x5 に分割して分割した各画像の中央値(median)の最大値 x を得る
  2. x をしきい値として輪郭画像を得る: cv2.threshold(image, x, 255, cv2.ADAPTIVE_THRESH_MEAN_C)
  3. 輪郭画像を 5x5 に分割し分割した各画像の平均値(mean)の最大値 y を得る
    1. y が 1.0 より大きいなら、x を 1 増やして 2 に戻る
    2. y が 1.0 以下になったらその時点の x を適切なしきい値とする

cv2.HoughLinesP() のパラメータはカメラの特性や焦点距離や流星の速度が関係するので自動調整は難しそう。結局トライアンドエラーでチューニングしました。結果はこんな感じです。

比較明合成画像の流星検出
比較明合成画像の流星検出

これだとどの流星がいつ流れたのかはわからないので、つのださんのスクリプトをこれらのパラメータをコマンドラインで渡せるように改造して、また、検出結果を JSON 形式のファイルに出力するようにしました。

さらにその検出結果ファイルからダイジェスト版動画を生成するスクリプトも書きました。

その結果がこちら。スクリプトが生成した動画を ffmpeg で画質調整したものです。

流星検出のテスト
流星検出のテスト

約4秒に1個流星が流れる動画になっていますが、実際は約10分の間に8つの流星が流れています。

スクリプトでは流星の流れるフレームとその前後の2秒間のフレームを切り出してつなげた動画を生成しています。流星のマーカーとフレームのタイムスタンプも隅っこに描画しています。カメラの時計がどこまで正確かわからないのであくまで目安としてください。

スクリプトソースコードは近日中に公開します。

*1:かなりいじったのに静止画の方は一切テストできてないので、ソースコードの公開はちょっと待ってください…

ZWO EFWmini の光線漏れ問題

個体差なのか設計上の問題なのかわかりませんが、ZWO の電動フィルターホイール ZWO EFWmini、少なくとも僕の買った個体には光線漏れの問題があります。

ZWO EFWmini
ZWO EFWmini

写真左が EFW 本体ですが、ZWO のロゴの右の丸いモーター部分(NPM の文字が見える部分)とケースの隙間から光が漏れるようです。

経緯

光線漏れに気付いたのは12月4日の撮影が終わり夜が明けた5日の朝。スカイフラットを撮るため夜明けまで待ち、フラット撮影後撤収して、室内でダークを撮りました。

いつもは鏡筒にカメラを付けたまま対物レンズにキャップをはめて夜のうちにダークを撮ることが多いのですが、μ-180C のキャップは布製で、遮光性は全く期待できないものなので、カメラを取り外して EFW の対物側に付けた M42-M42 adapter (male to male) の先にTネジ用の金属製のねじ込みキャップを付けて撮影しました。このキャップは笠井の屈折用レデューサーに付属していたものです。

EFW も取り外してカメラ付属のプラスチック製キャップを付ける手もあったのですが、光線漏れが心配で金属製のねじ込みキャップの方が安心だろうと思ってそうしたわけです。

窓際にカメラを置いてゲイン最大(570)で15秒のダークを撮った時、1秒と2秒のダークに比べてあまりに明るいのに気付きました。最初は「さすがゲイン最大のダークノイズは違うなー」と思っていたのですが、ノイズと言うにはあまりに綺麗だしなんだか変です。

カメラは対物側を下に伏せて立てて置いてあったのですが、見るとカメラの背面側に窓から射した日光が当たっています。最初に思ったのはカメラの背面の冷却ファンの排気口から光線漏れしているのでは?ということ。もしそうなら、さすがにここは塞ぐわけにはいかないので厄介です。

とりあえずカメラに巻き付けフードを巻き付けてカメラ背面を日陰にしてみたのですが、ダークの明るさは全然変わりません。どういうこと?

防災用の銀色シートがあったのでカメラと EFW 全体をそれで緩く覆ってみました。きっちり包んでしまうと加熱してしまうので。この状態でダークを撮るとちゃんと暗くなりました。

どうやら EFW の方が怪しいということで、銀色シートを外して一番疑わしいモーター部分の隙間を手で塞いでみると暗いダークが撮れました。どうもここから光線漏れしてるらしい、ということで、とりあえずそこを塞いでダークを撮り、徹夜明けで眠かったので検証用の画像は改めて撮ろうと、その日はそのまま撤収しました。

検証

検証は12月29日の深夜に行いました。蛍光灯の点いた室内で前回と同様に背面を上にむけ照明が当たるように置いたカメラでダークを撮りました。

カメラは ZWO ASI294MM Pro、ゲイン450、センサー温度 0℃露出時間2分。何もせずに撮ったものと、モーター部に植毛紙を被せアルミ板で押さえてマスクして撮ったものを比較します。写真は Lightroom Classic で +2.15 の露出補正をしたものです。

EFWmini (モーター部にマスクなし)
EFWmini (モーター部にマスクなし)

EFWmini (モーター部をマスク)
EFWmini (モーター部をマスク)

うーん、パッと見だと違いはない?しかしヒストグラムを比べると明らかに山の位置が違います。

https://rna.sakura.ne.jp/share/EFW-masked-unmasked-loop.gif

ダメ押しで EFW を含むカメラ一式の背面全体をLED懐中電灯で照らしながら撮った画像がこちら。

EWFmini (モーター部にマスクなし & LEDライトを照射)
EWFmini (モーター部にマスクなし & LEDライトを照射)

EFWmini (モーター部をマスク & LEDライトを照射)
EFWmini (モーター部をマスク & LEDライトを照射)

これは明らかに違います。念のためヒストグラムも見てみます。

https://rna.sakura.ne.jp/share/EFW-masked-unmasked-beamed-loop.gif

ということでやはりモーター部分から光線漏れしていました。

対策

この光線漏れ、室内の蛍光灯でほとんど問題にならない程度の光線漏れですから、通常の天体撮影で問題になるものではないとは思います。しかし、僕のように市街地の駐車場や公園やマンションの廊下のような明るい照明が近くにある場所で撮影する場合は、鏡筒の角度によっては近くの照明からの光が隙間を直撃するリスクを無視できないため、何らかの対策が必要です。

実際、以前マウントアダプターの光線漏れで痛い目にあったことがあるので…

というわけで、対策はこうしました。

ZWO EFWmini の光線漏れ対策
ZWO EFWmini の光線漏れ対策

裏がシールになっている植毛紙を小さく切ったものを隙間なく並べて貼って、モーターとケースの隙間を塞ぎました。さらにその上から大きめに切った植毛紙を貼りました。こちらは裏側の中央部に薄い紙を貼ってあります。モーターの中心部に軸が出ているので、そこにシール面が触れないようにという工夫です。

これで遮光性は十分なようです。植毛紙を使ったのは特に意味はなく、たまたま手元にあったのがそれだったというだけで、黒くて十分な厚みがあるシールなら何でもいいと思います。

というわけでこれで一安心。

M35 (2021/12/30)

12月30日の夜には勾玉星雲とチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を撮りましたが、その合間に短めの露出時間でふたご座の散開星団 M35 を撮りました。

特別撮りたかったというわけではないのですが、赤緯が大きくベランダからはギリギリの対象なので、せっかく「二重赤緯体方式」*1にしてるのでついでに撮っておこうというわけです。モノクロ冷却カメラで星団はまだ撮っていなかったのでテスト的な意味もあります。

M35 は過去に2回撮影していて、今回が3回目です。

https://rna.hatenablog.com/entry/20180114/1515894300:ebmed

どちらもスカイメモS時代に撮ったもので、1回目は BLANCA-80EDT + 0.6x レデューサー(焦点距離288mm)、2回目はレデューサーなし(焦点距離480mm)で撮っています。カメラはどちらも OM-D E-M5 (1600万画素)。

今回は RedCat 51 (焦点距離250mm)と ASI294MM Pro (1170万画素)なので今までで一番低解像度で撮ることになります。モノクロでの LRGB 撮影で、ベイヤー配列センサーではないというアドバンテージはありますがどこまで写るか… 特に M35 のすぐそばの小さく密な散開星団 NGC2158 の写りが気になるところです。

M35 (2021/12/30 22:22)
M35 (2021/12/30 22:22)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter 31mm / Vixen SX2, 30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro (Binning 2, Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 L:1分 x 12コマ, RGB:1分 x 各4コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

LRGBを合わせた総露出時間は24分というお手軽撮影でしたが、想像以上によく撮れました。LRGB 合成でどうなるか心配だった星の色も綺麗に出ています。

M35 の右下のすぐそばにある黄色い小さな星粒の塊が NGC2158 です。M35 の星の青さとの対比が面白いです。等倍で見ると、さすがに480mmで撮った2回目と比べると解像度は落ちますが、微小な星々がしっかり解像しています。2回目の方が暗い星まで写っていますが、露出時間が短いし、焦点距離も短いのでやむなしでしょうか。

よく見ると左下隅に赤い星雲が見切れています。こんなところに何かあったっけ?と調べてみると IC443 くらげ星雲でした。クラゲの傘の部分の端っこが写っていたのです。名前は聞いたことはありましたが、M35 のすぐそばとは知りませんでした。

くらげ星雲から右下に、M35 と同じくらい離れたところには NGC2174 モンキー星雲があって、縦位置でこの三つを写野に入れる構図が定番のようです。モンキー星雲もクローズアップの写真はみたことがあるのですが、このあたりの位置関係は把握していませんでした。

M35、くらげ星雲、モンキー星雲の3ショットは、RedCat 51 だと APS-C でギリギリ、フルサイズだとちょうどよい感じで、フォーサーズセンサーでは無理ですね。撮るなら4枚モザイクでしょうか。光害地で DSO のモザイク撮影は厳しいんですがどうしようかな…

M35 の方はほとんどカブリはありませんでした。やはりベランダの天井から距離が近すぎるとマズいようです。勾玉星雲が失敗だったので、M35 はちゃんと撮れてよかったです。

*1:参照:

μ-180C 直焦点でラッキーイメージング & 電子観望のテスト (2021/12/4)

昨年12月4日の夜に μ-180C 直焦点(18cm F12)でDSOを撮るテストをしました。惑星状星雲については以前ラッキーイメージングというか、どちらかというとノーガイドで撮るために数秒程度までの露出で撮影することはしていました。

しかしもっと淡い対象については諦めていました。使っていたカメラが惑星撮影用の非冷却タイプのCMOSカメラなので、あまりゲインを上げるとノイズが大きすぎて使い物にならないだろうと。

しかし今は感度も高くノイズも少ない冷却カメラがあります。これを使えばなんとかなるのでは?ということで、M1 かに星雲でテストしてみました。が、撮影の不手際で検証しきれず… しかし期待の持てそうな結果ではあったので、後日再チャレンジするために記録しておきます。

12月4日は夕方に金星を撮っていました。

天気はいいし、せっかくなので μ-180C で何か出来ないかと考えて、上に述べたようなことを考えてテストすることにしたわけです。

ASI294MM Pro の Bin 2 (11M pixel)で、ゲインを最大(570)に設定してかに星雲を導入。姿は一応見えるのでが惑星状星雲とは違ってかなり淡い… 無理かも、と思いつつ、Lを1秒露出、RGBを2秒露出、Hαは15秒と長めに設定して撮影。

確か22:00頃から撮影を開始して0:00頃にDSSで仮にスタックしてみたのですか、アライメントがほとんど機能しません。星をほとんど認識してくれず、かといって star detection threshold を下げるとノイズを拾ってめちゃくちゃになります。

よく見るとノーガイドでブレてると思っていた星像がどうもピンぼけっぽい。さらによく見ると微光星がドーナツ状に!完全にピンぼけです… 撮影を中断してピントを合わせ直してそこまで撮った約2000コマを捨てて再撮影。

1:00過ぎにはベランダの天井でケラれてる気がしてきたので1:23に撮影終了。再撮影分は、L 240コマ、RGB各120コマ、Hα60コマです。これを DSS で50%に選別してスタックしました。フラットは夜明け後に鏡筒を快晴の南の空に向けて撮ったスカイフラットです。

とりあえずLRGB(LとRにHαをブレンド)合成したのがこれです。

M1 かに星雲 (2021/12/5 00:46)
M1 かに星雲 (2021/12/5 00:46)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm & ZWO Ha Filter 31mm / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 Hα:15秒 x 120/240コマ L:1秒 x 120/240コマ RGB:2秒 x 各60/120コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

大きく写って迫力はあるのですが、ノイジーで解像感では 8cm F6 + ASI290MC で撮ったものに劣るような…

ただ、このノイズ感は露光不足によるショットノイズっぽいので、単純にコマ数が稼げてないのが原因と思われます。

LとHαをストレッチとノイズリダクションのみで仕上げたものがこちらです。クロップもしていないので周辺部のコマ収差の影響もわかります。

M1 かに星雲 (2021/12/5 00:46) (L, クロップなし)
M1 かに星雲 (2021/12/5 00:46) (L, クロップなし)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (L) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 1秒 x 120/240コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

Lは結構撮れているように見えますが等倍で見るとボソボソになっていて露光不足を感じます。なにしろF12で総露出時間がたったの2分ですからね… それでも16.5等の「かにパルサー」がちゃんと写っています。逆に言うと星雲の部分はもっと暗いわけですが。

ちなみに240コマ全部スタックすると若干ノイズは改善されましたが、星像も若干肥大する感じ。やはり選別は必要でコマ数をもっともっと稼がないと厳しそう。

μ-180C の周辺部の描写ですが、やはり放射状に星像が伸びてますね。スポットダイアグラムから想像したほどではないのですが、コマ収差で淡く拡がった部分がレベル補正でバックグラウンドノイズもろとも消えて見えなくなっているだけでしょうか?

中心部2/3ほどは使える感じですが、左上だけ星像の伸びが大きいのが気になります。

M1 かに星雲 (2021/12/5 00:46) (Hα, クロップなし)
M1 かに星雲 (2021/12/5 00:46) (Hα, クロップなし)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO Ha Filter 31mm / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 15秒 x 60/120コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

Hαは露出をかけただけのことはあってボソボソ感はだいぶマシなのですが、レベルを切り詰めると背景のノイズが結構浮いてきます。右やや上の端にアンプグローっぽい形も見えるのでダークノイズが取りきれてない?

焦点距離2160mmをノーガイドで15秒なので、使い物にならないことも覚悟していたんですが、結構まともに写っています。星像がもっと肥大するかと思っていました。

Lに写っていた微光星でHαに写ってないものが結構あります。スペクトルの違いなのか、単にガイドエラーで暗い星が十分重ならなくて消えてるだけなのか。かにパルサーも見当たりません。中性子星ってHα出ない気がするのですが、そのせい?

ということで不完全燃焼になってしまいましたが、コマ数を稼いで総露出時間を伸ばせばなんとかなりそうな気配です。今後またチャレンジしようと思います。

M1 を撮った後、朝にスカイフラットを撮るため機材は撤収せずそのままにしていたのですが、せっかくなので夜が明けるまで Hα であちこち電子観望していました。

最初に見たのがばら星雲。Hαで30秒露出。中心部のガスの流れが見えています。

電子観望: ばら星雲中心部 (2021/12/5 01:49)
電子観望: ばら星雲中心部 (2021/12/5 01:49)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO Ha Filter 31mm / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0 露出: 30秒 / iPhone 12 mini で画面を撮影

結構見えるじゃん、と思って馬頭星雲も見てみました。

電子観望: 馬頭星雲 (2021/12/5 02:04)
電子観望: 馬頭星雲 (2021/12/5 02:04)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO Ha Filter 31mm / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0 露出: 30秒 / iPhone 12 mini で画面を撮影

ノイズはひどいですが、はっきり見えます。さすがにノーガイド30秒はちょっとブレてますね。

次にトールの兜星雲。これは適当に Stellarium で見つけた星雲を導入していたような。あ、これがトールの兜か、とびっくりした記憶があります。せっかくなので残しておくか、とここからライブスタックで画像を保存しました。

Livestack: NGC2359 トールの兜星雲 (2021/12/5 02:27)
Livestack: NGC2359 トールの兜星雲 (2021/12/5 02:27)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO Ha Filter 31mm / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 8秒 x 26コマ (Livestack) / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022 で画像処理

DSS は fits → tiff 変換に使用しているだけです。

春の銀河が見えてくる頃だったので銀河も見てみました。ここからは R フィルター使用です。

Livestack: NGC2903 (2021/12/5 03:02)
Livestack: NGC2903 (2021/12/5 03:02)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (R) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 2秒 x 256コマ (Livestack) / Photoshop 2022 で画像処理

NGC2903です。ダーク、フラットなしにしては結構写ってる?でも2秒露出でも全部スタックするとブレてしまいますね。あと、縮緬ノイズが結構出てます。

しし座三つ子銀河の M65, M66, NGC3628 も撮りました。

Livestack: M66 (2021/12/5 03:16)
Livestack: M66 (2021/12/5 03:16)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (R) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 2秒 x 256コマ (Livestack) / Photoshop 2022 で画像処理

Livestack: M65 (2021/12/5 03:28)
Livestack: M65 (2021/12/5 03:28)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (R) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 2秒 x 273コマ (Livestack) / Photoshop 2022 で画像処理

Livestack: NGC3628 (2021/12/5 03:44) (rawframesを処理)
Livestack: NGC3628 (2021/12/5 03:44) (rawframesを処理)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (R?) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 ?秒 x 213コマ (Livestack) / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022 で画像処理

明るい銀河はそこそこ写ります。露出をもっとかけてフレームを選別してスタックすればそこそこけいそう?

NGC3628 は操作ミスで Livestack 結果が保存できてなくて自動保存されていた rawframes を DSS でスタックしました。PNG の rawfarames しか残っていなかったので撮影データがわかりません。たぶん他と同じ2秒露出だと思います。

M100 も撮りましたが、これも rawframes を DSS で処理したのですが、star detection threshold が難しくて頑張って調整しても368コマのうち20コマしかスタックできませんでした。写野に明るい星が少ないのも影響しているかも。

Livestack: M100 (2021/12/5 04:00) (rawframesを処理)
Livestack: M100 (2021/12/5 04:00) (rawframesを処理)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (R?) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 ?秒 x 20/368コマ (Livestack) / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022 で画像処理

これは全然ダメですね。こういうことがあるとなると、数十コマ試し撮りしてスタックして撮るかどうか決めないと、全部無駄になっちゃう可能性ありますね… ただ、DSS が弾いた画像見ても弾かなかった画像と大差ないものも結構あって、スコアの差もわずかで、なんで弾いてるのか謎。スコアのしきい値とかどこかで設定できるのかな?

最後に球状星団 M3 です。これもDSSに結構弾かれてしまいました。

Livestack: M3 (2021/12/5 05:44) (rawframesを処理)
Livestack: M3 (2021/12/5 05:44) (rawframesを処理)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO LRGB Filter 31mm (R?) / Vixen SX2 / ZWO ASI294MM Pro (Gain 570, -10℃), SharpCap 4.0.8418.0, 露出 ?秒 x 9/42コマ (Livestack) / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022 で画像処理

周辺減光の形が他と違うように見えるのは、例によってベランダの天井からの照り返しによるカブリじゃないかと思います。

こちらは弾かれた画像は結構ブレていたので仕方がないかなという感じ。

というわけで、μ-180C 直焦点でもラッキーイメージングできるかも?という感触は得ましたが、コマ数むちゃくちゃ撮らなきゃいけない(ディスク容量が大変)のと、縮緬ノイズ対策どうしようというのと、スタックがうまくいかないことがある点は気がかり。また余裕がある時に色々試してみようと思います。

IC405 勾玉星雲(失敗) ベランダの天井に負けました (2021/12/30)

12月30日は夕方にレナード彗星を撮った後、夜からは「二重赤緯体方式」で3つの天体を撮りました。最初に IC405 勾玉星雲(曲玉星雲とも)、次に M35、最後にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星です。

勾玉星雲は大晦日にHαだけ仮に処理して勝利を確信していたのですが、年が明けてから LRGB を処理して崩れ落ちました…

まずは撮影の記録から。29日のテストで二重赤緯体方式で載せた RedCat 51 なら、20時過ぎから22時過ぎまではベランダの壁に邪魔されずに勾玉星雲を撮れることがわかっていました。

レナード彗星撮影後、画像処理して19:21に速報をツイートした後、ドリフトアライメントで極軸を合わせてHαでピントを合わせた後、勾玉星雲を導入し、東側の IC417 と IC410 が一緒入るように構図を決めて、20:40頃からHαの撮影開始。

少し出遅れたのでHαだけで終わるかなと思っていましたが、Hαの写りが良さそうなので欲が出て残り少ない時間でLRGBも撮影。Hαは2分露出24コマでしたが、LRGBは1分露出を各8コマとしました。さすがに短すぎるかとは思ったものの、とりあえずのカラー化ができればと。

どこでベランダの天井にぶつかるかわからなかったので、Bだけ1コマも撮れませんでしたみたいな事態を回避するためL,R,G,Bの順番で3コマずつ撮影を繰り返しました。各8コマの予定だったので最後は2コマずつ。

Rを撮った時点では気付かなかったのですが、Bを撮った時点で星像がピンぼけなのに気付きました。微光星の光に芯がなく星像も肥大しています。ピントはHαで合わせたきりだったのですが、Lでピントを合わせるとここまではならないので再調整は不要と思っていました。Hαで合焦するとBはLで合焦した中間位置からの倍ぐらいズレるはずなのでその差が表れたということでしょうか。

しかしとにかく時間がないので、そのまま撮影を続行して22:00過ぎにベランダの天井が見えてきて撮影終了。プレビューを見る限りは各8コマ撮れたつもりでしたが、後で画像をストレッチするとRのラスト1コマとG,Bのラスト2コマは天井が写り込んでいてボツに。

最初に処理したHαを仕上げたものはこんな感じになりました。

IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) (Ha) (失敗)
IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) (Ha) (失敗)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO Ha Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro(Binning 2, Hα:Gain 300, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 2分 x 24コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

なかなかいいのでは?勾玉星雲の頭の部分のトゲトゲしたディテールがかっこいい!でも、勾玉星雲の左斜め上のあたりってこんなにモクモクしてたっけ?それともカブリ?まあ、なんとか処理できるでしょ。というのが最初の感想でした。

そして今日、RGBを処理したのですが…

IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) (RGB) (失敗)
IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) (RGB) (失敗)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro(Binning 2, Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 R: 1分 x 7コマ, GB: 1分 x 6コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

星雲なんも写ってへん… いや、微かに写ってはいるか?ていうか、上から真ん中までせり出してる赤いのは何!?

いくらなんでも曲玉星雲より明るい赤い星雲がこんなところにあるわけないので何らかのカブリなんでしょうけど、なぜ赤いのか。ベランダの天井は白いので天井からの照り返しにしても不自然なような…

とはいえ、この後撮ったチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星でも、同じ機材で撮ったかもめ星雲でもこんなカブリはでていないので、ベランダの天井以外に要因は思い当たりません。*1

σクリップでスタックしているのでたまたま強烈な迷光を拾ったコマの影響というわけではありません。実際Rのコマを確認するとどのコマにもそれらしきカブリがありました。GとBにも同じ位置にカブリはありますがRに比べると僅かです。

このRは捨てるしかないな、とRチャンネルをHαに差し替えてみました。

IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) (HaGB) (失敗)
IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) (HaGB) (失敗)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter & ZWO Ha Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro(Binning 2, Hα:Gain 300 RGB:Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 Hα: 2分 x 24コマ, R: 1分 x 7コマ, GB: 1分 x 6コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

今度は黄色っぽいカブリが… 黄色ということはRとGにカブリ成分があるということで、Hαにもカブリが少し乗ってたってことですね。

しかし単純に天井からの照り返しならもっと平行なグラデーションになると思うのですが、なぜこんな形になっているのでしょう。フードや鏡筒の内面に反射したものが写っている?

フードは植毛紙を内側に貼った巻き付けフードで10cm以上延長してあるのでフォーサーズサイズの外側はケラれてるはずなんですが、それでもある程度は入射光があるのでパーツからの反射はありうるかも。

もうこの時点で萎え萎えでふて寝してたんですが、一応最後まで仕上げたのがこちら。輝度成分はL+Hα。円形フィルターとか使ってかなりデタラメなカブリ補正をしています。

IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) ((Ha+L)HaGB) (失敗)
IC405 勾玉星雲 (2021/12/30 21:01) ((Ha+L)HaGB) (失敗)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter & ZWO Ha Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro(Binning 2, Hα:Gain 300 LRGB:Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 Hα: 2分 x 24コマ, L: 1分 x 8コマ, R: 1分 x 7コマ, GB: 1分 x 6コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

なんとなくそれっぽくなってますが、星雲の明るさは全く不正確なので、これは失敗です。残念。

ただ、おそらくベランダの天井がなければ問題なさそうではあるので野外で撮影すればちゃんと撮れそう… でも、天井の照り返し程度でここまでカブるのなら公園のLED照明がフードの内側を直射したらヤバいのでは?どこかもっと暗い場所を探さないといけないかも…

*1:EFWmini の光線漏れもこの時点では既に対策済です。

IC2177 かもめ星雲 (2022/1/1)

あらためましてあけましてどうもです。元日の夜は去年の積み残しを消化すべくブログ執筆を頑張ろうと思っていたのですが、夕方にベランダに出てみると快晴。まさかと思い SCW を見ると深夜まで雲ひとつない快晴が続きそう。新月期の休日に快晴、という状況をスルーできず正月早々ベランダ天体撮影に勤しみました。

ターゲットは今まで2回撮って2回とも満足できる結果が出せなかった IC2177 かもめ星雲です。


以前は「わし星雲」とも書きましたが、最近は M16 との名前かぶりを避けて海外の Seagull Nebula の訳で「かもめ星雲」と呼ばれることが多いのでそれに合わせます。

今まで無改造のデジカメ(OM-D E-M5)で撃沈してきたのは、ただでさえ Hαの感度が低いのに、かもめ星雲は馬頭星雲などと比べてもかなり淡く、しかも比較的低空で光害の影響を受けやすいため無理に強調処理するといろんなノイズを拾ってダメになってしまうからです。

そこで今回はモノクロ冷却カメラで Hα + LRGB という鉄板の布陣で臨みました。

22:00撮影開始の計画で20:30から準備を始めましたが、構図を追い込んでさあ撮ろうかという段階で巻き付けフードを付け忘れていることに気付いてフードの取り付け、構図の再調整、となって、撮影開始は5分ほど遅れました。

最初に Hα をたっぷり時間をかけて撮り、それから R, L, G, B の順番で撮りました。以前*1 Hαで合わせたピントのまま撮影したところ、B がかなりピンぼけになっていたことがあったのでHαの後は一度Lでピントを合わせ直しました。

構図をずらさずに写野内の星で合わせようとしたのですが、SharpCap のバーティノフマスク支援機能がなかなか反応せず、ゲインを調整して反応しても、数値だけ見て追い込んだつもりが撮って見ると実際にはボケボケで、慌てて再調整という一幕も。ちゃんと回折像を目視で確認しないとダメですね。

RedCat のピントリングはスムースには程遠い出来なので苦労しました。普通に回すと微調整のつもりが「カクッ」て動いてダメなんですよね。うちの個体だけなのかな?両手の手のひらでリングを包み込むように握り込んで、握力で微妙にズラすようにすると微調整できます。

というわけでまたロスタイムがありましたが、なんとかLRGBも予定枚数撮れて1時過ぎに撮影終了。足りないダークだけ撮ってフラットは12月30日のものを流用しました。

結果は…

IC2177 かもめ星雲 (2022/1/2 00:20:19)
IC2177 かもめ星雲 (2022/1/2 00:20:19)
William Optics RedCat 51 (D51mm f250mm F4.9 屈折) + ZWO LRGB Filter & ZWO Ha Filter / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 2.6.10 による自動ガイド / ZWO ASI294MM Pro(Binning 2, Hα:Gain 300 LRGB:Gain 150, -10℃), SharpCap 4.0.8334.0, 露出 Hα: 4分 x 16コマ, L: 2分 x 12コマ, RGB: 2分 x 各8コマ / DeepSkyStacker 4.2.6, Photoshop 2022, Lightroom Classic で画像処理

カラーバランスは再考の余地ありですが、とりあえずこれで。これなら撮れたと言っていいのではないでしょうか。RとLにHαをブレンド、というかどちらもHαメインでR,Lを50%加算しています。

星雲のディテール描写はもちろん Hα のおかげです。たっぷり1時間露出をかけた甲斐がありました。冬の天の川の微光星たちもクッキリ写っていて賑やかです。ガイドが終盤を除き絶好調(RMSエラー DEC/RA 共に±1秒以下)だったのが効いていると思います。


しかし「かもめ」の頭、意外とイカつくてかっこいいですよね。仮面ライダーのマスクみたいな… というか、撮影中横位置で見ていたせいで、鳥というよりはなんだかヒーローっぽく見えてしまって。ガッチャマンみたいな?

EAシリーズα 科学忍者隊ガッチャマン FILE(NEKO MOOK) (NEKO MOOK EAシリーズα)
科学忍者隊ガッチャマンのリーダー「大鷲の健
(『EAシリーズα 科学忍者隊ガッチャマン FILE』表紙より)

って、あれ?やっぱりカモメじゃなくてワシのイメージ?

*1:まだ記事を上げていませんが、12月30日の夜の勾玉星雲の撮影です。