Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

一方向赤緯ガイドで馬頭星雲 (2018/12/30)

晦日イブの夜は先月のオートガイドの失敗のリベンジで馬頭星雲を撮りました。前回の失敗の原因がよくわからないままテスト的に撮影したのですが、最終的には「一方向赤緯ガイド」が功を奏しました。

月が出るまで撮れるだけ撮るということで、21:00過ぎに撮影を開始したのですが、案の定途中から赤緯ガイドが暴れ出します。±6〜8"の幅で蛇行運転。RMSエラーは±3"前後。一時的なものかもしれないと思いそのまま続けても改善せず、途中からガイドパラメータをいじったりしてみたのですが…

  • 積極性を上げる(85 → 95)
    • 大きくブレた時に修正しきれてないように見えたので。効果なし。
  • Max duration を上げる(2500 → 3500)
    • 修正量が足りてないように見えたので。効果なし。
  • ガイドカメラの露出を短くする(1.5s → 1.0s)
    • 修正が出遅れているのではないかと思って。途中まで良かったが最後大暴れ。
  • ガイド星を変える
    • 最初のガイド星がサチっていたので。でも赤経はガイドできてるし関係なかった。

ということでどれも効果なく合計8枚が無駄になりました。ここで初心に帰ってガイドアシスタントを起動。すると、概ね以下のような事を言われました。

赤緯軸を回して行って来てするグラフが出てきたのですが、行ったっきり全然戻らない状態。

ということは、PHD2 は赤緯方向のズレを戻そうとするもバックラッシュのせいで全然戻らないのでもっと強く修正をかけて、ギアが効いた時には戻し過ぎになる、ということを繰り返していたのでしょうか。

とにかく一方向赤緯ガイドをやってみようということで、ガイド星は北にドリフトするので赤緯ガイドモードは… North なの? South なの?

赤緯ガイドモードの南北がドリフトの方向を意味するのか修正する方向を意味するのかわからなかったので、とりあえず North に設定したところうまくいきました。後でマニュアルを見たら「星が北へとずれていくようなら、ガイドモードを south にします」と書いていたのですが…

とにかく一方向赤緯ガイドを開始してからは赤緯方向の揺れは±4"程度、RMSは±2"以内に収まり大きな蛇行はなくなりました。過修正気味の動きが気になって途中から積極性を50まで下げましたがあまり変わらない感じでした。馬頭星雲は既に子午線を超えていましたが、月の出までに5枚撮って撮影終了。

後でマニュアルを読むと赤緯ガイドアルゴリズムには「ローパス」または「ローパス2」を使うといいようです。過修正気味の動きは「レジストスイッチ」のままにしていたのが良くなかったのかも。

最後に一方向赤緯ガイドで撮った5枚をコンポジットしたのがこちら。

馬頭星雲 (2018/12/30 23:25)
馬頭星雲 (2018/12/30 23:25)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 x 5コマ 総露出時間 1時間15分 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1045mm 相当にトリミング

やはり5枚では若干ノイジーなので最初の蛇行運転の分のうち比較的マシな3枚を足して8枚をコンポジットしたのがこちら。

馬頭星雲 (2018/12/30 21:09)
馬頭星雲 (2018/12/30 21:09)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 x 8コマ 総露出時間 2時間 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1045mm 相当にトリミング

ガイドエラー、縮小画像だとほとんどわかりませんね… 等倍だと星が楕円になっているのがはっきりわかるのですが。

ということで、赤緯ガイドが暴れるのはどうやらバックラッシュのせいで、一方向赤緯ガイドが効果的ということがわかりました。

が、PHD2 のマニュアルを見ると極軸のズレを利用した一方向赤緯ガイドには以下のような注意点があるとのこと。

  • 極軸のズレが大きすぎると極の近くを撮影したときに視野が回転してしまう
  • 赤緯の修正方向が逆転する箇所があり、それは極軸のズレの方向によって異なる
  • ディザリングは「赤経(RA)のみ」で

ということでハマりどころもある感じ。当面これでしのぐとしても、いずれ赤道儀のギアを調整したほうがいいのか…

あとディザリングは赤経のみだといまいち縮緬ノイズが取り切れない感じ。マニュアルディザならディザ実行後にオートガイドOFF/ONすれば赤経のみじゃなくてもいいのかな?