Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

M8 干潟星雲 (2019/5/11)

5月11日土曜日は深夜から晴れの予報ということで20:30頃からベランダに機材を設置。薄雲に邪魔されながらドリフトアライメントで極軸を合わせ。今回のターゲットは M8 干潟星雲。定番ですが 8cm F6 直焦では撮ったことがなかったので。

一昨年にレデューサー使用(フルサイズ換算 f576mm)で撮ったことがあったのですが、その時は中心部が白飛びしていたので、今回は多段階露光 + HDR で撮影です。

2分露出8コマ、4分露出8コマ、後は12分露出で撮れるだけ撮る、という計画でしたが、23:30に撮った2分露出の試し撮りでは低空の光害カブリがひどく背景輝度が50%に。これでは12分どころか4分でも真っ白になってしまうのですが、この時はまだ M8 の高度が15度ということで、高度が上がるのを待ちます。

0:00 に高度が20度近くに上がったところで撮影開始。4分8コマの撮影が完了した0:50頃には4分露出で背景輝度50%に。この分だと12分は厳しいと思い、さらに高度が上がるのを持って1:00から8分露出で撮影開始。

8分露出の背景輝度は67.5%で許容範囲。そこから8分露出を撮れるだけ撮りました。薄明の始まる3:00までに12コマは撮れる予定でしたが、後述するようにオートガイドの不調で結局7枚しか使えるコマがなく、結果はちょっとザラザラの仕上がりになってしまいました。

M8 (2019/5/12 01:02) (HDR) (2)
M8 (2019/5/12 01:02) (HDR) (2)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + ASI290MM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 2分 x 8コマ, 4分 x 8コマ, 8分 x 7コマ 総露出時間 1時間44分 / DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1100mm 相当にトリミング

干潟模様はもうすこしコントラストを上げた方がよかったでしょうか。ハイライトを飛ばさないように仕上げたら若干眠い仕上がりに。HDR 合成は以前の M42 と同様に DeepSkyStacker の Entropy Weighted Average(HDR) コンポジットの出力をトーンカーブ調整したものです。

低空の対象ということで背景のカブリがキツくてレベル補正でコントラストを上げると暗部のノイズが目立ってしまうんですよね。淡い部分ももっとあぶり出したかったのですが背景が汚くなるのでやめました。光害地で無改造デジカメでの撮影だとこんなものですかねぇ。縛りプレイの結果としてはまあ満足かな…

今回もガイドに悩まされました。

まず、キャリブレーション時に South Step が動かない件。ガイドケーブルもガイドカメラも替えて、端子も綿棒でよく掃除したのですがダメです。が、オートガイド中に SB-10 の矢印ボタンの LED を確認するとちゃんと南側も点滅しています。なので Guide South 信号線の断線とかじゃなさそうです。だとしたらやっぱり赤緯軸駆動系のバックラッシュがひどいとか?でも前々回まではキャリブレーションは普通にできていたので謎です。

オートガイドは前半は好調だったのですが後半は赤緯ガイドの蛇行運転がひどくて長時間露出に耐えず、8分露出は12コマの予定が7コマしか使えませんでした。と言ってもRMSエラー2秒前後なので、いつもなら許容範囲なのですが、今回はシンチレーションが小さかったせいか赤経RMSエラーが1秒弱に収まって、結果星像が縦長になってしまってボツにせざるを得ませんでした。

一方向赤緯ガイドに切り替えようかとも思ったのですが、ドリフト方向がよくわからず Auto のままで振動がおさまるのを待っていたのですが結局時間切れ。前半が好調だっただけに何が悪いんだかよくわかりません。

撮影前の待ち時間にも色々試したのですが、

  • ガイドカメラが悪いのでは?
    • 高解像度低ノイズの ASI290MM だとガイド精度は上がるが、蛇行する時は蛇行する。
  • シンチレーションの影響では?
    • ガイドカメラの露出時間を伸ばしてもガイドエラーは減らず、蛇行する時は蛇行する。
  • 「積極性」が高すぎるのでは?
    • 赤緯が大きくズレる時は数秒で大きくズレるので積極性を落とすと手遅れになりそうで怖い。
  • バックラッシュ補正をかけるのは?
    • あまり効いてないような…

ということでよくわかりません。

シンチレーションと言えば、この夜はかなりシーイングがよかったようで、ドリフトアライメント中のガイド星のゆらぎが極端に少なくて、ターゲット表示が半径1秒角におさまるほどでした。時間があれば惑星撮影もしたかったのですが、結局薄明まで M8 を撮影していたのでできませんでした。もったいなかったかなー…