Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

M27 亜鈴状星雲 (2017/7/14)

昨夜は帰りが遅くて帰宅した時には月が出てしまっていたのですが、せっかくの星空なのでこのところ撮りたいと思っていた M27 亜鈴状星雲を撮りました。DSOの撮影は6週間ぶりです。

自宅ベランダからの撮影で、例によって PHD2 のドリフトアライメントで極軸合わせをしていたのですが、風が強めでガイド星が揺れまくり。

今夜はダメかなと思いつつもなんとか極軸だけは合わせて、アルタイルから北に辿って M27 を導入した頃には風が止んできました。しかし導入時に極軸がズレてしまったようで、撮影を始めるとガイド星が南に流れていってしまいます。

いつものようにその場で極軸調整をしようとするのですが、水平方向の微調整がうまくいかずいったりきたりの往復ビンタ状態。もう投げ出したくなってきたのですが、こういう時は調整ネジの当たるピンが緩んでいるのでは?*1 と思って機材を全バラし。

案の定ピンが緩んでいたので素手でキツく締め直してから組み立てなおしました。極軸合わせからやり直しで結局1時間のロス。でも極軸はちゃんと合いました。風もすっかり止んでここからは順調かと思ったら…

ということでまた極軸調整。今度はスムースに微調整できて撮影再開、と思ったら写野にマンションの天上が入ってきて撮影中止…

結局4枚しか撮れませんでした。しかも1枚は若干ガイドが流れ気味。最低8枚が目標なので失敗ですが、勘を取り戻す意味もあるのでフラットとダークもいつも通り撮影。でも気が抜けていたのかダークを5分✕4枚撮るはずが、なぜかインターバルタイマーのレリーズボタンをロックしたまま撮影してしまって20分✕1枚で撮ってしまい撮り直したり…*2

4枚コンポジットでダーク4枚ならノイズは44%しか減りませんが*3ものは試しでコンポジットしてみました。

M27 (2017/7/15 01:01)
M27 (2017/7/15 01:01)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 4枚
DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1150mm 相当にトリミング

縮小画像なら意外と見れる程度には仕上がりました。昨年20秒露出で撮ったものよりはずっといいです。途中であきらめなくてよかったです。

今回は光害カットフィルターを使ったのですが、そのせいかどうも中心部の青いガスの発色がよくありません。上の写真ではブルーのトーンカーブの中間調を少し持ち上げて強調していますがそれでもあっさり目。かといってフィルターを使わないと赤い部分の発色が悪くなってしまうのですが。

今回は色々踏んだり蹴ったりの撮影でしたが、そもそもマトモな赤道儀があればこんな苦労しなくて済むんですよね… でも置く場所とかお金のこととか考えると色々悩ましいです。

*1:参照: M104 ソンブレロ銀河 (2017/3/21)

*2:実際には8分露出になっていた。E-M5 のバルブは露出時間制限があるため。この制限はメニュー設定で30分まで伸ばせる

*3:参照:ライトフレームとダークフレームどっちを増やす?

太陽 (2017/7/14)

久しぶりに大きめの黒点(2665黒点群)が出ているということで久しぶりに太陽を撮りました。

太陽 (2017/7/14 09:37)
太陽 (2017/7/14 09:37)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20 + Kenko PRO ND-100000 77mm
ISO 200, 1/1250s
Lightroom CC で画像処理

大きな黒点は2665黒点群の黒点です。その左上にまばらに散らばっている小さい黒点たちは2666黒点群です。太陽の右端近くにできた新しい黒点も見えています。

撮影には2012年の金環食の時に買った ND100000 フィルターを使いました。手持ちの望遠レンズ用で、サイズは 77mm。ちなみに金環食は結局天気が悪くて撮れませんでした… *1

77mm のフィルターは BLANCA-80EDT のフードの先にはねじ込めませんが、HAKUBA の 77mm 用ラバーフードを望遠鏡のフードの内側にはめ込んで、そこにフィルターを取り付けています。*2

2665黒点群の一番大きな黒点は、これでも地球が二つほど入る大きさなのですが、2014年に出現した巨大な黒点が忘れられず、ついつい物足りないなーなどと思ってしまいます。

太陽 (2014/10/24 10:24)
太陽 (2014/10/24 10:24)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20 + Kenko PRO ND-100000 77mm
ISO 200, 1/1250s

このくらいデカいのがまた出ないかなーと思いつつ宇宙天気ニュースをチェックする毎日です。

*1:ですが、あきらめて乗った通勤電車の途中駅のホームでみんな空を見上げていたので慌てて降りて日食グラスをかざして空を見上げると雲の隙間から金環食が見ることができました。

*2:ラバーフードはぴったりはまって簡単には抜けませんが、念の為粘着テープで固定しています。

土星の衛星 (2017/7/7)

昨日は久しぶりの星空だったのですが満月も近いので DSO の撮影はおあずけ。何もしないのももったいないと思って、今が見頃の土星を見ていました。

望遠鏡(BLANCA-80EDT)が惑星向きでないこともあって惑星撮影用の機材を揃えていなくて、土星そのものはろくな写真が撮れないのですが、土星の衛星を撮ってみました。

土星の衛星 (2017/7/7 21:22)

OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
ISO 200, 4s
Lightroom CC, Photoshop CC で画像処理

F12で4秒露出。これで星が流れずに撮れるのは赤道儀を買ってよかったことの一つです。

タイタンの左下の星は恒星です。7月1日にタイタンが恒星(GSC6247.351)を隠す恒星食がありましたが、この星がそれだと思います。食は天気が悪くて見れませんでしたが… HIROPONさんにコメント欄でこれは別の星で GSC6247.491 であると教えてもらいました。今 Stellarium で確認したところ星の名前はわかりませんでしたが確かに違う星でした。よく確かめずに適当な事を書いてすみませんでした。

狙っていたわけではないのですが、エンケラドゥスがちょうど土星から一番離れたタイミングだったのでギリギリ写りました。あとイアペトゥスが写っています。これは初めて見ました。

天文年鑑2017』によると、土星の衛星の明るさはこんな感じです。

衛星 平均等級
タイタン 8.4
レア 9.6
テティス 10.2
ディオネ 10.4
エンケラドゥス 11.8
イアペトゥス 10.2〜11.9
ミマス 12.8
ヒペリオン 14.4

この8つの衛星については Sky&Telescopeのアプリ SaturnMoons で簡単に配置が確認できます。

ミマスは滲んだ土星の輪の光に埋もれて識別できず、ヒペリオンは暗すぎて確認できませんでした。

今の機材では暗い衛星を写すのはこの辺が限界なので、次は連続写真で衛星が回ってる様子とか撮ってみたいですね。

つらい

6月9日の満月の撮影は別として、丸1ヶ月ずっと天体撮影ができなくて弱ってます。

6月19日の夜は晴れていたのでベランダに機材をセッティングしたのですが、風が強くてガイドが乱れまくり、風が止むのを待っているうちに雲がひろがってしまい結局何も撮らずに終わりました。

7月1日の月面Xは雲で何も見えないので諦めてファミレスに出かけたら、帰りに雲が切れてたぶん10分くらい月が見えてたようなのですが、帰宅した頃にはまた雲に覆われて何も見えなくなってました。

今日は夕方まで晴れ間が見える天気でしたが夜は雲が出て雨でした。写真は日が沈む前に望遠レンズで撮った月です。

月 (2017/7/5 18:12)
月 (2017/7/5 18:12)
OLYMPUS OM-D E-M5, ZUIKO DIGITAL 35-100mm F2.0 + 2x TELECONVERTER EC-20 (200mm)
ISO 200, 1/500s
Lightroom CC で画像処理

このところ気力も体力もすっかり萎えていて昼の月みたいにぼんやりしています。上の写真は Lightroom で明瞭度とかシャープネス上げたりトーンカーブもいじってるのでそんなにぼんやりしていませんが。

スカイメモSでの限界もだいぶ見えてきたので、そろそろまともな赤道儀欲しいなーとぼんやりと思ってはいるのですが、部屋を大掃除しないと置く場所もないしなーとか外に持ち出すの今以上に大変になるよなーとか思ってるうちに気持ちも萎えてしまって具体的な購入計画は何も立ってません。

予算は20万円前後で考えていて、Vixen の SX2 か、iOptron の iEQ30 PRO か、とは前々から思ってはいるのですが踏みきれず。SX2 は STAR BOOK TEN を付けると25万円を越えるのが辛いし、iEQ30 は少しバランスが崩れるだけで脱調する癖があるそうで使いこなせるのかどうか…

テンモンGO 更新

天気は悪いし風邪引きで寝込んでいるしでやることがないので「テンモンGO」の図鑑を更新していました。

4月20日以降追加分は8つ。

M106 は失敗扱いにしてましたが、それなりに写ってるし、一応「捕まえた」ことにしておきました… その他 M8, M20, M4, M60, M59, M17, M16 も新しい写真で更新しています。

捕まえた数は 77 に。追加分は星団ばっかりですね。夏のメシエ天体は天の川に沿って分布している散開星団球状星団が多いのでしばらくそんな感じかも。それ以外だと新規は網状星雲くらいでしょうか。もっとも北アメリカ星雲とペリカン星雲はちゃんと撮り直したいし、M57 もレデューサーなしでもう少しクローズアップで狙ってみたいところ。

そんなわけでまだまだ続きます。

最遠の満月 (2017/6/9)

昨夜は満月。そして月が最遠、ということでいわゆる「スーパームーン」の逆、世間では「ミニマムムーン」などとも呼ぶようです。

ところで今月の満月は「ストロベリームーン」だ、低い満月で赤く見えるからだ、などというニュースが流布していましたが、南中高度が35度では赤く見えるほどじゃないし、月の出や月の入り近くの低い月ならいつだって赤っぽく見えるわけですし*1 そもそも今月が今年一番低い満月というわけでもないですし*2 なんなんだと思ったら、早い話がデマでした。

最近毎日欠かさず見ている天文リフレクションズさんの記事より。

「6月の低い満月が赤色だから・・」というもっともらしい理由付けの記事も見ますが、元々は北米でイチゴの収穫が行われるためだそうです。

何より、地平線近くの低い満月はいつ見ても赤いんですけど・・・馬鹿馬鹿しいのでリンクは貼りませんが、通販サイトも真っ青の刺激的な煽り記事が満載です。
【満月の愛称】ストロベリームーン?【先回り】 | 天文リフレクションズ編集部

そんなわけでストロベリームーンには興味はないのですが、最遠の満月には興味があります。同じ機材で撮って最近の満月(スーパームーン)と組み写真にすると面白いからです。

しかし昨夜はあいにくのくもりで月が全く見えず、無理だと思っていたのですが、23時頃ふとベランダに出ると大きな雲の切れ目ができていて、綺麗な月が浮かんでいます。あわてて望遠鏡を組み立ててピントを合わせて、と、ばたばたしているうちに西からどんどん雲が迫ってきて、結局1分弱しか撮影できませんでしたが、なんとか撮れました。

最遠の満月 (2017/6/9 23:31)
最遠の満月 (2017/6/9 23:31)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
ISO 200, 1/80s
Lightroom CC で画像処理

実はいつもより黄色く写っていたのですが、おそらく雲のせい。上の写真では色温度を調整して普通の色に仕上げています。

満月と言っても月がよく見える夜中にぴったり満月になるとは限らなくて、写真に撮るとわずかに欠けていたりするものですが、今回は22:10に満月だったのでほとんど欠けていません。

あとは12月4日の最近の満月を撮れば大きさが比較できる組み写真ができます。というか、実は2014年にそういう写真を撮っていました。

最遠の満月(2014/1/16)と最近の満月(2014/8/11)
最遠の満月(2014/1/16)と最近の満月(2014/8/11)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20

この時と機材も同じですし、同じことを二度もやらなくてもという気もしますが、スーパームーンが話題になった夜にこういうのをドヤ顔で出したいなー、と思って…

*1:色合いは大気の状態に左右されますが。

*2:天文年鑑2017』によると、今年一番低い(視赤緯が最南の)満月は7月9日。

σクリッピング

先日の M11 の写真に飛行機の光跡が入ってコンポジット枚数減らした件、コメント欄で HIROPON さんからσクリッピングやるといいよと教えてもらったのでやってみました。

まず飛行機の光跡が入ったフレームというのがこれですね。

M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s
Lightroom CC で画像処理

これを含めた 8 枚でコンポジットした結果がこれです。

M11 (σクリッピング8枚コンポジット) (2017/6/3 01:49)
M11 (σクリッピング8枚コンポジット) (2017/6/3 01:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

色の付いた太い光跡がべったり付いていたのが嘘のように消えています。こんなに綺麗に消えるものなのですね。恒星ばかりで淡い部分のない写真なので6枚コンポジットと8枚コンポジットの差はほとんどわかりませんが…

σクリッピング処理は DeepSkyStacker の Stacking Parameters の Light タブで Kappa-Sigma clipping を選択して、後はいつもと同じ設定でスタックしました。パラメータの Kappa と Number of iterations はデフォルト値のままです。

http://rna.sakura.ne.jp/share/DSS-Kappa-Sigma-clipping.png

σクリッピングというのは、要するにスタックするフレームの中にピクセル値が外れ値(全フレームの平均値からかけ離れた値)になっているフレームがある場合、その場所ではそのフレームをコンポジット処理から除外する、つまり、そこだけ部分的にコンポジット枚数を減らす、というものです。上の写真だと飛行機のランプが通った場所は7枚コンポジットになるわけです。

DSS のパラメータの Kappa はピクセル値を外れ値として扱う際の閾値を決めるパラメータで、これが 2.0 ならピクセル値の標準偏差の2倍以上離れた値が外れ値として扱われます。

DSS のパラメータの Number of iterations は、外れ値を除外した残りのフレームの中からさらに外れ値を検出して除外する処理を何回繰り返すかを指定するものです。これが 5 なら最大5回まで繰り返すということです。

複数のフレームに外れピクセルがあってそれが同じ位置で重なっている場合、一部のフレームのピクセル値に平均値が引っ張られて1回のσクリッピングでは暗めの外れピクセル閾値以下になって除外されず残ってしまうことがあり得ます。σクリッピング処理を繰り返すことでそういうピクセルも除外できる… ってことでいいのかな?

処理時間が余計にかかるはずですが、コンポジット枚数が少ないせいか実際にはあまり気になりませんでした。とはいえ、ステライメージの FAQ には「「加算平均(σクリッピング)」は非常に処理が重くなりますので、明らかに突発ノイズがないとわかっていれば普通の加算平均で処理することをおすすめします」とあるので普段使いにはしない方がいいみたいです。