Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

惑星撮影システムB案

先日の記事で部品が揃わなかったフリップミラーにカメラを2台付ける構成の惑星撮影システム(以下B案)ですが、調整用のリングの納期が不明で遅れていたところ残りのパーツを先に納品してもらって、一応形になりました。

追加のパーツはKYOEI-TOKYOで注文していたもので以下の通り。

商品名 価格(税込)
笠井トレーディング T2延長筒セット 7,020 円
ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" 2,900 円
ビクセン 42T→50.8AD 3,628 円
BORG [7317] 31.7ミリアイピースホルダー 2,448 円
BORG [7423] M42P0.75→M36.4/42P0.75AD 3,065 円

T2延長筒セットは今回まだ届いていません。BORG [7317], [7423] は既に直視側に取り付けているパーツと同じもので、ミラー側用です。IR/UVカットフィルターは、B案だとフィルターを取り付けられる 1.25" ノーズピースがカメラの先しかなくなるのでカメラの数だけ必要ということで追加購入しました。先日購入した 1.6x バローはフィルターを取り付けられるのですが、今使っている 2.5x バローには取り付けられないので。

さて、B案は前回のパーツと今回のパーツを組み合わせてこうなります。

惑星撮影システムB

バラすとこうなります。

惑星撮影システムB構成部品

パーツ構成は対物側から、

  • AstroStreet T2ネジ付き 2インチ31.7mm変換アダプター
    • 31.7mm スリーブに WilliamOptics 3枚玉 1.6倍バロー
  • ZWO ADC 1.25" 本体
  • ZWO ADC 1.25" アイピースホルダー (逆向きに取付)
  • ビクセン 42T→50.8AD
  • ビクセン フリップミラー
  • BORG [7423] M42P0.75→M36.4/42P0.75AD
  • BORG [7317] 31.7ミリアイピースホルダー

という構成です。

カメラから先は31.7mm(1.25インチ)スリーブによる取り付け部分を排除して、接続部分は42mm Tネジと50.8mm(2インチ)スリーブのみにしています。

バローレンズはレンズ部分のみを「T2ネジ付き 2インチ31.7mm変換アダプター」に挿して、1.25" ノーズピースを外した ADC 本体をスリーブ外周のTネジにねじ込んで接続します。いわゆる「外骨格」です。ここからフリップミラーまでは全てTネジによる接続です。

フリップミラーは50.8mmスリーブなので、Tネジとはビクセンの「42T→50.8AD」で接続します。このアダプターは本来フリップミラーのアイピース側のスリーブと交換して2インチ規格のアイピースを使用するためのものです。BORG のリングを2つ使っても接続できますが*1 こちらの方が安上がりなのでこれにしました。

「42T→50.8AD」と ADC の接続には両側Tオスネジのリングとして ADC 付属のアイピースホルダーを逆向きに取り付けて使用しています。普通に取り付けるとアダプターのTメスネジをアイピースホルダーのスリーブ外周のTオスネジにねじ込むことになるのですが、どちらにもストッパーがないので、スリーブ外周のネジが切ってある部分がアダプターのネジ部分を貫通してしまい固定できなくなってしまいます。アイピースホルダーの ADC にねじ込む側のTネジにはストッパーがついているので、逆向きに付けることで解決しました。

全体は26cmぐらいとコンパクトにまとまりました。ピントも来ます。が、バローレンズを笠井2.5倍ショートバローに交換するとピントが来ませんでした。どうもこの構成、バローレンズを選ぶようです。延長筒を付ければピントは来るのでしょうか…

夜は曇りだったので天体での試写はおあずけ。昼のうちに例の鉄塔で試写しました。昨日は気温が高く陽炎が出ていたせいか写りはよくありませんが、プレビューではもっとシャープに見えていたと思います。

惑星撮影システムB(1.6x)を使用して撮った鉄塔
惑星撮影システムB(1.6x)を使用して撮った鉄塔
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / ZWO ASI290MC / 露出 1/1620s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

太い部分の幅は800 pixelで、バローレンズなしの時の 1.91倍です。μ-180C で使えば f4125.6mm F22.92 になる予定。もう少し倍率が欲しい気がしますが同じ William Optics の2倍バローなら丁度いいかも?でも今の1.6倍の画質を確認してからにした方がいいかな…

*1:2インチホルダーSS II と [7528]

WinJUPOS で De-rotaion して LRGB 合成

9日に木星が衝を迎えたということもあってか、巷では WinJUPOS の話題がちらほら。多機能で見るからに難しそうな気がして手を出していませんでしたが、LRGB 合成に使ってみようと先日試してみたところ、木星に関しては割とスムースに使えるとわかったので、自分用メモも兼ねて手順をまとめてみました。最低限のことしかわかってないので最低限のことしか書いていませんが…

目的

ここでは WinJUPOS の「De-rotation of R/G/B frames」という機能を使ってLRGB合成を行います。

LRGB合成は、カラーカメラで撮ったRGB画像(色情報の画像)と、カラーカメラに比べて解像度や感度に勝るモノクロカメラで撮ったL画像(輝度情報の画像)とを合成することで、解像度の高いカラー画像を得るための手法です。

LRGB合成をやる場合、通常はL画像用とRGB画像用の2回に分けて動画を撮影するのですが*1 木星のような自転の速い惑星を撮る場合、1分程度の動画撮影でも1回目と2回目で模様の位置が違うのがはっきりわかるくらいに自転してしまいます。これをそのまま合成してもブレたようになってしまって目的とする解像度の高い画像が得られません。

そこで WinJUPOS の De-rotation 機能を使います。この機能は自転による惑星の模様の移動量を計算して自転後の画像から自転前の画像(あるいはその逆)を生成するものです。この機能を応用してRGB画像をあたかもL画像と同時に撮影したかのような画像に変換した上で、L画像と合成するのが「De-rotation of R/G/B frames」機能です。

インストールと初期設定

ここからインストーラ(setup file)をダウンロードして実行します。画面の指示に従えば問題ないです。

インストール後 WinJUPOS を起動して以下の初期設定を行います。

  • メインメニューの [Program - Language]でインターフェースの言語を設定。英語、フランス語、ドイツ語から選択できます。日本語はありません。英語は苦手ですがフランス語とドイツ語は全くわからないので英語を選択しました…
  • メインメニューの [Program - Celestial body] から撮影した天体を選択します。今回は木星なので Jupiter を選択しました。
  • Jupiter を選択すると「Please choose the WinJUPOS data directory!」というダイアログが出て [OK] を押すと「WinJUPOS Preferences (Jupiter)」ダイアログが表示されます。惑星毎の作業環境設定ですが、何も考えず [OK] で閉じて問題ないと思います。

作業のおおまかな流れ

「De-rotation of R/G/B frames」機能によるLRGB合成は大まかに以下のような手順で作業します。

  • スタックしたL画像とRGB画像(どちらもwavelet処理をかける前の画像)を用意します。
  • 各画像について「Image measurment」機能で画像上の木星の位置や向きを計測して、結果を保存した ims ファイル(拡張子 .ims のファイル)を作成します。
  • 作成した ims ファイルを「De-rotation of R/G/B frames」機能で読み込んでLRGB合成画像を生成します。

Image measurment 機能

  • メインメニューの [Recording - Image measurement...] を選択して「Measurements of Jupiter images」画面を表示します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-01.PNG
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-02.PNG
  • [Imag.] タブを選択して [Open image (F7)] でL画像を選択します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-03.PNG
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-04.PNG
  • [Imag.] タブ上の入力欄に撮影データを入力します。*2
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-04.PNG
    • Date/UT: 撮影日時を世界時(UT)で入力します。グリニッジ標準時で問題ないと思います。日本の場合撮影日時から9時間引いた値を入力すればOKです。日付の方も変わることがあるので注意しましょう。また時刻の秒の部分はそのまま入力できず分の小数(30秒なら0.5分とか)で入力することになっているので計算して入力しましょう…
    • Geogr. longit.: 観測地の経度です。単位は度・分で入力します。よこはま動物園ズーラシアなら+139度32分です。*3
    • Geogr. latit.: 観測値の緯度です。単位は度・分で入力します。よこはま動物園ズーラシアなら+35度30分です。
  • [Adj.] タブを選択して [Channel (F9)] で Grey を選択します(L画像なので)
  • [Gamma (G)], [Contrast (C)], [Brightness (B)] あたりの設定は画面表示上の効果だけで後の画像処理には影響ないようです。必要なら見やすいように調整しましょう。
  • 木星の大きさと位置と向きを表す白い枠線が表示されていますが、通常画像の木星とは一致しないので、一致させるように調整します。木星の場合は [Outline frame - Automatic detection] で自動調整できます。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-07.PNG
  • 自動調整の結果が満足いかない場合は手動で調整します。調整は [Adj.] タブを選択した状態でキーボードから行います。
    • 矢印キー: 枠線を上下左右に平行移動します。
    • Page Up/Page Down キー: 枠線を拡大/縮小します。
    • N/P キー: 枠線を右/左に回転します。
    • Shiftキー: 他のキーと同時に押すこと調整量が微動になります。
  • 調整がうまくいったら [Save (F2)] で ims ファイルを保存します。ファイル名は撮影時刻を元にしたファイル名が自動的に付きますが必要に応じて変更します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-11.PNG
  • RGB画像についても同様の作業を行います。ただしカラー画像なので [Adj.] タブの [Channel (F9)] では Colour を選択します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-12.PNG
  • 作業が終わったら ims ファイルを保存します。これで ims ファイルを2つ作成しました。「Measurements of Jupiter images」画面は閉じて構いません。

De-rotation of R/G/B frames 機能

  • メインメニューの [Tools - De-rotation of R/G/B frames...] を選択して「De-rotation of R/G/B frames」画面を表示します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-14.PNG
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-15.PNG
  • Red channel の入力欄の3つ右の [...] ボタンを押して先ほど作成したRGB画像の ims ファイルを選択します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-16.PNG
  • Green channel, Blue Channel でも同様にして同じ ims ファイルを選択します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-17.PNG
  • Luminescence ではL画像の ims ファイルを選択します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-18.PNG
  • 必要に応じて Quadratic image size を調整します。デフォルトだと合成結果が木星が画像いっぱいに写る大きさにトリミングされるので、衛星を含めたい場合などは大きめのサイズを設定します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-19.PNG
  • [Image orientation] で結果画像で木星の向きを北を上にする(North at top)か南を上ににするか(South at top)選択できます。デフォルトは South at top です。
  • [Compile image (F12)] を押すと合成を開始します。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-20.PNG
  • LRGB画像が保存され、表示されます。
    https://rna.sakura.ne.jp/share/WinJUPOS-01/WinJUPOS-21.PNG

仕上げ

あとはLRGB画像を Registax 等で処理してできあがり。

木星 (LRGB合成画像をwavelet処理) (2018/5/4 21:38)
木星 (LRGB合成画像をwavelet処理) (2018/5/4 21:38)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L:ZWO ASI290MM, RGB:ZWO ASI290MC / L,RGB:露出 1/60s x 1250コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 10.3.9, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC, Lightroom Classic CC で画像処理

L画像(wavelet処理済)はこちら。

木星 (L画像をwavelet処理) (2018/5/4 21:38)

RGB画像(wavelet処理済)はこちら。

木星 (RGB画像をwavelet処理) (2018/5/4 21:41)

L画像の画質がいまいちなのでわかりにくいですが、LRGB画像はRGB画像と比べて少しくっきりした感じになっています。大赤斑の位置から De-rotation の効果もわかります。

*1:ビームスプリッターを使って同時露光する方法もありますが…

*2:ここの入力欄は入力しようとするとなぜか勝手に日本語IMEがONになってしまって、いちいちOFFにしないといけません。どうにかなりませんかね、これ…

*3:個人情報保護のためにダミーの値を入力しています。ズーラシアに住んでいるわけではありません…

William Optics 1.6倍バロー

フリップミラーにカメラ2台を付ける構成の惑星撮影システム、うまくいく保証はないものの、やる方向で部品集めをはじめました。が、GW 直前に発注したので部品がまだ揃いません。とりあえず届いたのはアストロストリートで注文した以下の部品。

商品名 価格(税込)
WilliamOptics 3枚玉 1.6倍バロー 6,171円
AstroStreet T2ネジ付き 2インチ31.7mm変換アダプター 3,780円

とりあえず1.6倍バローを予定の使い方に近い方法で試し撮りをするために、こうしました。

惑星撮影用パーツ(仮)

部品はこういう構成です。

IMG_6706

左(対物側)から、AstroStreet T2ネジ付き 2インチ31.7mm変換アダプター(1.6倍バロー装着済)、ZWO ADC 本体 + 1.25" アイピースホルダー、ZWO ADC 1.25" ノーズピース(A)、ビクセン フリップミラーのアイピースホルダー(B)、CMOSカメラ、です。

本来は A と B の部分は Tネジ2インチホルダー変換リングとフリップミラーが入ります。光路長を少しでも近づけるために A, B を入れています。

繋いだ写真でカメラのノーズピースが根元まで挿さっていないのは根元まで挿すとピントが来なかったからです… ドローチューブを最大に伸ばしてもダメでした。本番ではもっと光路長が長いので問題ない、かな?

1.6倍バローレンズはここに取り付けています。

IMG_6707

このバローレンズ、本来は双眼装置の31.7mmバレルの先端にねじ込むもので 31.7mm よりも少し細身のようで、アイピーススリーブに付けると片方に寄ってしまうので、周りに粘着テープを巻いて挿しています。

IMG_6708

IR/UVカットフィルターはバローレンズ先端に取り付けました。

この構成のキモはT2ネジ付き 2インチ31.7mm変換アダプターを使うことでADCとバローレンズの接続がいわゆる「外骨格」になることです。HIROPON さんは M57 の外骨格ですが、こちらは M42 (Tネジ)の外骨格です。フリップミラーの接続にはもうひと工夫する予定ですが、それはまたいずれ。

さて、テスト撮影は夕方行ったので被写体は星ではなくて数km先の鉄塔です。

1.6x バローレンズを使用して撮った鉄塔
1.6x バローレンズを使用して撮った鉄塔
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), William Optics 3枚玉1.6倍バロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / ZWO ASI290MC / 露出 1/8s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

こちらはバローレンズなしの直焦点。IR/UVカットフィルターを付け忘れたので色調が変です。

直焦点で撮った鉄塔
直焦点で撮った鉄塔
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), ZWO ADC 1.25" / ZWO ASI290MC / 露出 1/15s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

鉄塔の太い部分の幅を比べるとバローありでは697 pixel、なしでは418 pixelで、倍率は1.667倍でした。定格より少し増えた程度です。元々双眼装置用なので定格で想定している光路長が長いのでしょう。これは本番でカメラをもう少し離しても2倍いかないかも。

前述したようにこの構成ではドローチューブを最大(7cm)に伸ばしてもピントがギリギリ来なかったですが、これ μ-180C で本当にピントが来るんでしょうか? 焦点位置を最内にしてもピントが来ないなら延長筒が必要になるはず。一応Tネジの延長筒も注文していますが、それで足りるかなぁ…

延長するのもバローレンズの前(対物側を)がいいか、後ろ(カメラ側)がいいか… 対物側の延長は2インチの延長になりそうですが、できればネジのほうがいいですね。すると μ-180C の接眼部のネジ規格が気になりますが情報がありません。天文ガイドのレビュー記事には市販の接眼部が取り付けられるとあるのですが、具体的な規格は書いてありませんでした。

なんかリング沼にはまりそうな勢いですが、なるようになれ、の気分です…

木星、土星、火星、月面モザイク (2018/5/4)

昨夜は21時40くらいまでが大赤斑の見頃*1 ということで、20:30頃からベランダに機材を設置して無事撮影。

木星 (RGB画像) (2018/5/4 21:35)
木星 (RGB画像) (2018/5/4 21:35)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1250コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

これがベストでした。いまいちシャキっとしてないのは空の透明度が悪かったせいでしょうか。時折雲が出てこれを撮った後イオの通過を待っていたらずっと雲が出て夜中まで待たされました。

実はこれはLRGBのRGBなんですが、やはりカメラ挿し替え方式だと2分以上かかってしまって木星の自転に間に合わず、LRGB合成してもブレた感じになってしまってRGBだけの方がよかったという結果に。

木星 (LRGB合成画像) (2018/5/4 21:33, 21:35)
木星 (LRGB合成画像) (2018/5/4 21:33, 21:35)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L:ZWO ASI290MM, RGB:ZWO ASI290MC / L,RGB:露出 1/60s x 1250コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC, Lightroom Classic CC で画像処理

L画像はこれです。

木星 (L画像) (2018/5/4 21:33)
木星 (L画像) (2018/5/4 21:33)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1250コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

このあとはずっと雲が出てもう撤収かと思っていたのですが、0時過ぎに雲が晴れてイオの通過に間に合いました。あいかわらず影は写ってもイオ本体は見えないのですが…

木星とイオの影 (2018/5/5 00:07)
木星とイオの影 (2018/5/5 00:07)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 1250コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

木星を撮った後は久しぶりに、そして ASI290MM では初めて、月面のモザイク撮影をやってみました。

月 (2018/5/5 02:18-02:43)
月 (2018/5/5 02:18-02:43)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1000コマをスタック処理 x 16枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC, Photoshop CC で画像処理

ピクセル等倍では 4900 x 4900 pixel なのでリンク先の flickr の拡大画像も縮小画像です。縮小画像だとそれなりですが、ピクセル等倍で見るとカメラの解像度を活かしきれてない緩い感じの仕上がりです。

シーイングがいまいちだったせいでしょうか。動画の容量 63.6GB でこれかー、という残念さはあります。シーイングを見極めてダメな時はすっぱりあきらめるスキルも必要ですね。とりあえずシーイング、数字で言えるようになりたい…

月面写真は今回も AS!3 の Sharpened 出力*2 を使っています。Registax もやってみたのですが、明るさが違うコマが一つ出てきたのと、画像の中にうっすら暗い横線が入ったコマが複数出てきたのでボツにしました。

暗い横線は最初センサーのノイズかと思いましたが AS!3 の出力には見当たりません。Registax で大きな画像を処理していると、スクロールの境目に似たようなノイズが出ることがあって、再度 Do All すると消えるんですけど、消えずに残ることがあるんですかね?

月を撮った後は土星と火星を撮りました。今回はモノクロでも撮ってみました。

土星はモノクロセンサーの高感度を生かして1/60sで撮ってみたのですが、特にかわりばえしない感じです。カッシーニの間隙はやはり全周は写りません。

土星 (2018/5/5 03:05)
土星 (2018/5/5 03:05)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

火星はカラーより表面の模様が見やすいのですが、カラーで撮ったものをモノクロに変換しても見やすくなるので、単に眼の性質の問題かも。

火星 (2018/5/5 03:10)

笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

土星と火星はカラーでも撮ってみました。やっぱり火星は赤くなくては。

土星 (2018/5/5 03:15)
土星 (2018/5/5 03:15)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/30s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

火星 (2018/5/5 03:23)
火星 (2018/5/5 03:23)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー (合成F17.6), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/125s x 1000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

火星の南極(下)あたりの白っぽく見えるのは極冠でしょうか?

ASI290MM で惑星を撮るのは木星が2回目、土星と火星は初めてですが、8cm の解像度とF17.6の明るいF値ではモノクロで撮る優位性ってあまりないように思いました。LRGBもあまり意味なさそう。そのへんは μ-180C が届いてからのお楽しみかな…

*1:iOSアプリ JupiterMoons でチェックしました。

*2:ファイル名に _conv が付くやつ。

木星を再処理

昨日は4月28日深夜に撮った木星の写真を再処理していました。初めて大赤斑をはっきり捉えた興奮から少し醒めて改めて写真を見てみると、ちょっと強調処理がコテコテだなぁ、と思ってもう少し薄味に仕上げてみました。

木星 (2018/4/29 02:00)
木星 (2018/4/29 02:00)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー, ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 2000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

このくらいがいいかな?太い縞の部分の濃淡と褐色の色味がわかるように、細い縞は強調しすぎず淡く仕上がるようにしたつもりです。あと、少し明るめに仕上げました、というか明るく仕上げただけのようにも見えますが、RegiStax の調整は丸々やり直しています。

こちらが前回のパラメーター。

https://rna.sakura.ne.jp/share/Registax-180428.PNG

こちらが今回のパラメーター。

https://rna.sakura.ne.jp/share/Registax-180502.PNG

Waveletscheme が Dyadic だったのを Linear に変更しています。Linear の方が派手な強調がやりにくいかわりに細かく調整できる気がします。Layer 1 では強調処理をせずむしろ Denoise を上げてぼかしています。元画像が 1.5x Drizzle なのですが、Layer 1 に強調をかけると Drizzle 由来と思われる格子状のパターンが浮いてくるからです。

元画像のスタックもやりなおしています。5000コマ撮影したうち前回は2000コマをスタックしましたが、今回は1250コマ(25%)をスタックしました。僅かですが細部のコントラストが上がっています。元々光量が十分だったためか、ノイズは思ったほど増えていませんでした。

色調や階調などネットでみなさんが公開している写真を参考にしながら落とし所を探っていますが、まだまだ迷っています。そもそも眼視でここまでの解像度で観察したことがないので眼視のイメージに近づけるということもできません。自分的に気持ちいい仕上がりになればそれでよい、とは思うものの自分なりの「気持ちよさ」が見つかるまでもう少し時間がかかりそうです。

天体写真の上下について

僕がブログに掲載している月や惑星の写真について、なぜ向きが逆さまなのか?と思っている方も多いと思います。理由は色々あるのですが、僕は月や惑星については意図的に天体の北極が上になるような構図にしています。

月については日本の天文雑誌では南が上に、アメリカの天文雑誌では北が上になる構図が標準で、また惑星科学の分野では1960年代から北を上にするのが標準的だそうです。*1 惑星については日本の「月惑星研究会」は「南が上」が原則ですが、*2 海外では「北が上」も「南が上」もあるそうです。*3 実際に AstroBin で作品を検索すると木星は「北が上」が多いのですが、土星は「南が上」もかなりある印象です。

NASA が公開している探査機やハッブル宇宙望遠鏡による惑星の写真は「北が上」のようですね。木星の写真は大赤斑が下になる構図です。*4 僕が木星の写真を「北が上」の構図にしているのは、子供の頃に見たボイジャー1号・2号が撮った写真のイメージが強いからというのも理由の一つです。

しかし一番の理由は、「北が上」は正立像だからということです。*5 僕にとって天体写真というのは、見上げた空をズームアップした写真というイメージで、星景、星野、DSO、月、惑星、全ては一つの空の上でつながっているという感覚があるのです。その感覚からすると全ての対象で正立像なのが自然に感じるわけです。

望遠鏡で見た時のイメージに合わせるというのも一理あるのですが、僕の場合は地上用を兼ねて買った正立天頂プリズムを天体でも使っていますし、カメラのライブビューによる電視も正立像なんですよね。

この話題、以前 HIROPON (id:hp2)さんともお話したのですが、同じ惑星でも内惑星については「北が上」にする人もいるそうで、内惑星は満ち欠けするため太陽との位置関係を意識してしまうので倒立像に違和感を感じてしまうのかもしれないという話になりました。*6

星野写真や DSO の写真は「北が上」(天の北極が上)が標準的です。北半球に住んでいると多くの天体の向きは南中時の正立像と一致するので、僕もこの慣習に従っています。しかし、北天の天体では「北が上」だと倒立像になるのですが…

ここは迷いつつも M81 と M82 の写真などでは結局「北が上」にしています。天球上で上下を決めると必ず上下が決められない部分、すなわち「極」が出てきて、それを天頂にするか天の北極(または南極)にするかということなのですが、天頂は緯度によって変わりますし、統一するなら天の北極(または南極)にするのが合理的なのでしょう。

しかしなぜ天の南極ではなくて天の北極が上なのか、という問題は残ります。地図が「北が上」に書かれる関係で星図も「北が上」になり、星図と一致する構図がわかりやすいと考えられたのでしょうか?もっとも地図が「北が上」なのもここ数百年でできた慣習だそうです。

BBC の記事 "Maps have ‘north’ at the top, but it could’ve been different" によると、メルカトルの世界地図(1569)以前は太陽が昇る東が上の地図が多かったそうです。メルカトルが地図の上を北にしたのは人口も土地も多い北半球の方が重要だったからであろうということです。要は北半球に住むマジョリティーの身勝手で決まったということでしょうか。

そういえば月や惑星も南天の星座も南半球の観測者から見ると「南が上」が正立像ですし、普遍的に「自然な」向きというのはありえないので、上下を統一するというのなら恣意的にならざるを得ません。そもそも宇宙に上も下もないのです。

結局何が正しいという根拠はないのだから習慣に従うのがよい、とも言えますが、月や惑星についてはその習慣も揺らいでいるというのが現状です。日本で活動しているなら日本の習慣に、と言ってもネットで活動する場合はどうでしょう?AstroBin にアップロードする場合は?

と、いくら考えてもきりがないので僕は自分が気持ちいい構図でやっていこうと思います。天体写真の場合、見えないものを見る手段として写真を撮っているという面があり、それは他人に見せる表現である以前に、自分が「見る」ことの一部なのですから。

*1:参照: 白尾元理『月の地形ウォッチングガイド』p43

*2:参照: ALPO-Japan - 画像等の報告と利用のルール

*3:参照: 天体写真の構図 - Starry Urban Sky

*4:参照: Jupiter | NASA

*5:北天の天体の場合、南半球から見た場合については後述。

*6:参照: https://twitter.com/hiropon_hp2/status/833277385797611523

バローレンズの拡大率

現在の惑星撮影機材はこんな感じです。

惑星撮影用のパーツ (2018/4/26)

ビクセン フリップミラー、笠井 2.5xバロー、ZWO ADC、ZWO ASI290MC と必要なものを普通に繋いだだけです。望遠鏡の接眼部からカメラまでの全長は25cmくらいになっています。

少しだけ工夫したのはフリップミラーの31.7mmスリーブの筒を短いもの(BORG [7423] + [7317])に交換したところ。今の8cm屈折だとここを短くしてもドローチューブの繰り出しが増えるだけで全体が短くなるわけではないのですが、μ-180C だとピントは主鏡移動方式なので実際短くできますし、μ-180C では合焦位置を後方に引き出すとバッフルによるケラレが発生して口径を生かし切れないという話があって、*1 なるべく短くしたいな、と。

バローレンズとカメラの間に ADC が入っているので拡大率が定格とは違っているはずです。実際に撮った木星の像の大きさから拡大率を計算してみます。

いつもやっている 1.5x Drizzle をかけない素の写真を使います。

木星 (2018/4/28 02:00) (drizzleなし)
木星 (2018/4/28 02:00)

写真上の木星の赤道方向のサイズは114ピクセル。ASI290MC のピクセルサイズは2.9μmなので、焦点面での木星像の赤道方向の直径は 114 * 2.9 = 330.6 μm = 0.336 mm です。

木星の直径(赤道面)は 142984 km、*2 木星までの距離(地心距離)は 4.42074 AU *3 で、1AU = 149597870.7 km なので 598391482.8 km です。

以上から焦点距離を求めるとこうなります。

木星の直径 : 木星像の直径 = 木星までの距離 : 焦点距離
142984 : 0.336 = 598391482.8 : 焦点距離
焦点距離 = 0.336 * 598391482.8 / 142984 = 1406.168 mm

直焦点の焦点距離は480mmなので、バローレンズの拡大率は2.93倍となります。合成F値は17.58です。180mm F12の μ-180C では F35.16 になるはずですが、*4 暗すぎですかね?拡大率の低いバローレンズ買ったほうがいいかな…

バローレンズとADCをフリップミラーの手前に置く構成も考えていて、HIROPON さんの記事を参考に繋がるパーツの組み合わせも考えたのですが、これをやるとバローレンズからカメラまでの距離がさらに伸びてしまい拡大率が上がって暗くなってしまいます。

また、ピントが出るのかという問題もあります。HIROPON さんの場合、合焦位置を探して延長筒等で調整するうちに全長が50cm近いシステムになってしまったとか。50cm だとベランダでは窓にぶつかってしまう可能性があるので、全長は40cm以内にしたいのです。

倍率については WilliamOptics の双眼装置用の1.6倍バローあたりをうまく使えばなんとかなるかもしれません。が、そもそも定格以上の拡大率ではバローレンズの色収差も大きくなるとも聞きます。

というわけで今日は半日そんなことばっかり考えていました…

*1:参照: Star Watching - 180mm telescope -

*2:木星 - Wikipedia より。

*3:iステラの表示より。

*4:【ミューロン180C実写画像】3月27日の月面 - スターベース東京のブログ によると、ピント位置が外にくると焦点距離が長くなるとのことなのでF値がもっと大きくなるかも。