Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

テンモンGO 更新

天気は悪いし風邪引きで寝込んでいるしでやることがないので「テンモンGO」の図鑑を更新していました。

4月20日以降追加分は8つ。

M106 は失敗扱いにしてましたが、それなりに写ってるし、一応「捕まえた」ことにしておきました… その他 M8, M20, M4, M60, M59, M17, M16 も新しい写真で更新しています。

捕まえた数は 77 に。追加分は星団ばっかりですね。夏のメシエ天体は天の川に沿って分布している散開星団球状星団が多いのでしばらくそんな感じかも。それ以外だと新規は網状星雲くらいでしょうか。もっとも北アメリカ星雲とペリカン星雲はちゃんと撮り直したいし、M57 もレデューサーなしでもう少しクローズアップで狙ってみたいところ。

そんなわけでまだまだ続きます。

最遠の満月 (2017/6/9)

昨夜は満月。そして月が最遠、ということでいわゆる「スーパームーン」の逆、世間では「ミニマムムーン」などとも呼ぶようです。

ところで今月の満月は「ストロベリームーン」だ、低い満月で赤く見えるからだ、などというニュースが流布していましたが、南中高度が35度では赤く見えるほどじゃないし、月の出や月の入り近くの低い月ならいつだって赤っぽく見えるわけですし*1 そもそも今月が今年一番低い満月というわけでもないですし*2 なんなんだと思ったら、早い話がデマでした。

最近毎日欠かさず見ている天文リフレクションズさんの記事より。

「6月の低い満月が赤色だから・・」というもっともらしい理由付けの記事も見ますが、元々は北米でイチゴの収穫が行われるためだそうです。

何より、地平線近くの低い満月はいつ見ても赤いんですけど・・・馬鹿馬鹿しいのでリンクは貼りませんが、通販サイトも真っ青の刺激的な煽り記事が満載です。
【満月の愛称】ストロベリームーン?【先回り】 | 天文リフレクションズ編集部

そんなわけでストロベリームーンには興味はないのですが、最遠の満月には興味があります。同じ機材で撮って最近の満月(スーパームーン)と組み写真にすると面白いからです。

しかし昨夜はあいにくのくもりで月が全く見えず、無理だと思っていたのですが、23時頃ふとベランダに出ると大きな雲の切れ目ができていて、綺麗な月が浮かんでいます。あわてて望遠鏡を組み立ててピントを合わせて、と、ばたばたしているうちに西からどんどん雲が迫ってきて、結局1分弱しか撮影できませんでしたが、なんとか撮れました。

最遠の満月 (2017/6/9 23:31)
最遠の満月 (2017/6/9 23:31)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20
ISO 200, 1/80s
Lightroom CC で画像処理

実はいつもより黄色く写っていたのですが、おそらく雲のせい。上の写真では色温度を調整して普通の色に仕上げています。

満月と言っても月がよく見える夜中にぴったり満月になるとは限らなくて、写真に撮るとわずかに欠けていたりするものですが、今回は22:10に満月だったのでほとんど欠けていません。

あとは12月4日の最近の満月を撮れば大きさが比較できる組み写真ができます。というか、実は2014年にそういう写真を撮っていました。

最遠の満月(2014/1/16)と最近の満月(2014/8/11)
最遠の満月(2014/1/16)と最近の満月(2014/8/11)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 2x TELECONVERTER EC-20

この時と機材も同じですし、同じことを二度もやらなくてもという気もしますが、スーパームーンが話題になった夜にこういうのをドヤ顔で出したいなー、と思って…

*1:色合いは大気の状態に左右されますが。

*2:天文年鑑2017』によると、今年一番低い(視赤緯が最南の)満月は7月9日。

σクリッピング

先日の M11 の写真に飛行機の光跡が入ってコンポジット枚数減らした件、コメント欄で HIROPON さんからσクリッピングやるといいよと教えてもらったのでやってみました。

まず飛行機の光跡が入ったフレームというのがこれですね。

M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s
Lightroom CC で画像処理

これを含めた 8 枚でコンポジットした結果がこれです。

M11 (σクリッピング8枚コンポジット) (2017/6/3 01:49)
M11 (σクリッピング8枚コンポジット) (2017/6/3 01:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

色の付いた太い光跡がべったり付いていたのが嘘のように消えています。こんなに綺麗に消えるものなのですね。恒星ばかりで淡い部分のない写真なので6枚コンポジットと8枚コンポジットの差はほとんどわかりませんが…

σクリッピング処理は DeepSkyStacker の Stacking Parameters の Light タブで Kappa-Sigma clipping を選択して、後はいつもと同じ設定でスタックしました。パラメータの Kappa と Number of iterations はデフォルト値のままです。

http://rna.sakura.ne.jp/share/DSS-Kappa-Sigma-clipping.png

σクリッピングというのは、要するにスタックするフレームの中にピクセル値が外れ値(全フレームの平均値からかけ離れた値)になっているフレームがある場合、その場所ではそのフレームをコンポジット処理から除外する、つまり、そこだけ部分的にコンポジット枚数を減らす、というものです。上の写真だと飛行機のランプが通った場所は7枚コンポジットになるわけです。

DSS のパラメータの Kappa はピクセル値を外れ値として扱う際の閾値を決めるパラメータで、これが 2.0 ならピクセル値の標準偏差の2倍以上離れた値が外れ値として扱われます。

DSS のパラメータの Number of iterations は、外れ値を除外した残りのフレームの中からさらに外れ値を検出して除外する処理を何回繰り返すかを指定するものです。これが 5 なら最大5回まで繰り返すということです。

複数のフレームに外れピクセルがあってそれが同じ位置で重なっている場合、一部のフレームのピクセル値に平均値が引っ張られて1回のσクリッピングでは暗めの外れピクセル閾値以下になって除外されず残ってしまうことがあり得ます。σクリッピング処理を繰り返すことでそういうピクセルも除外できる… ってことでいいのかな?

処理時間が余計にかかるはずですが、コンポジット枚数が少ないせいか実際にはあまり気になりませんでした。とはいえ、ステライメージの FAQ には「「加算平均(σクリッピング)」は非常に処理が重くなりますので、明らかに突発ノイズがないとわかっていれば普通の加算平均で処理することをおすすめします」とあるので普段使いにはしない方がいいみたいです。

M6 を Butterfly Cluster って言うけど…

昨夜撮った散開星団の一つ M6 は英語圏では Butterfly Cluster と呼ぶそうで、しかしどのへんが蝶なのかなーと疑問に思っていたのですが、ひょっとしてこうですか?

http://rna.sakura.ne.jp/share/M6-Butterfly-Cluster.jpg

M6, M7, M11 (2017/6/2)

昨夜は夜中からベランダで天体撮影。せっかくの晴天ですが、上弦の月が沈むのが 00:50 頃、天文薄明が 2:50 頃ということで月のない夜空は2時間しかありません。月明かりがあってもなんとかなりそうな天体ということで月没前から散開星団を撮っていました。

さそり座のしっぽの先にある M6 と M7、そしてたて座の M11 です。本命は月没後に撮る M11 です。月没前に撮った M6 と M7 は南中高度が20度と低く光害に埋もれそうで敬遠してきた天体ですが、ダメ元で撮ってみました。

M6 (2017/6/2 23:09)
M6 (2017/6/2 23:09)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

M6 は白っぽい大粒の星が散らばった星団ですが、1個だけオレンジ色の明るい星が混ざっているのがおしゃれです。が、この星(BM Sco)は距離が約788光年*1 と M6 の1600光年よりずっと近い星なので散開星団の一員ではない別の星のようです。

M7 (2017/6/3 00:18)
M7 (2017/6/3 00:18)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

M7 は M6 よりもさらに星の粒が明るく大きく散らばった星団です。藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』では「最も美しい星団の一つ」として激推しされています。

夏休みにはあちこちで天体観望会が開かれますが,星のことをぜんぜん知らない人には25倍くらいの低倍率でこの星団を見せるにかぎります.視野の中で点滅する無数の星の美しさに思わず声も出ないほど感激されることうけあいです.
藤井旭『全天 星雲星団ガイドブック』p130

うーん、写真だとそこまでには見えないような… 眼視だとまた違うのでしょうか。そういえばオートガイダーの映像では散らばった星たちの瞬く様子が綺麗でした。

M6 も M7 も、本当は背景に天の川の星がもっとあるはずなのですが、光害のカブリを画像処理で消すと光害に埋もれた天の川の淡い部分も一緒に消えてしまって少し寂しい感じになってしまいました。特に M7 は向かいのマンションの部屋の灯りが迷光になってカブリがひどかったので…*2

M11 も天の川の中の星団ですが、こちらは十分高度があってそこそこにぎやかな絵になりました。

M11 (2017/6/3 01:49)
M11 (2017/6/3 01:49)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.11, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 840mm 相当にトリミング

同じ散開星団でも M11 は粒の小さな星が密集していて見ごたえがあります。散開星団の中では最も密集度が高く、星団内の恒星の間隔は1光年以下だそうです。*3

ちなみにコンポジットが6枚ですが、これは途中で飛行機が横切って使えないカットが出たからです。こんなふうに。

M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
M11 (飛行機が横切って失敗) (2017/6/3 02:17)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s
Lightroom CC で画像処理

厚木基地方面から飛んできたような… 米軍機でしょうか?こんな深夜になんなんでしょうね…

*1:1600光年とする資料もあるのですが、Universe Guide「BM Scorpii - HD160371 - HIP86527」によるとヒッパルコス星表の2007年版で年周視差のデータが改定されてそれまで約1530光年だったのが約788光年になったとのこと。

*2:M7 の撮影では途中で向かいのマンションの屋上の避雷針に隠れてしまい撮影を中断するトラブルもありました。市街地で低空の天体を撮るのは色々大変です。

*3:AstroArts「メシエ天体ガイド:M10

M60, M59, M17 (2017/5/22)

月曜は体調が悪くずっと家で休んでいたのですが、夜空が晴れていたのでついついベランダに出てだらだらと天体撮影をしていました。結果はイマイチだったのですが、お蔵入りにするのももったいないのでブログに載せます。

この日は風が強い日でした。夜中までには風が止むかと我慢していたのですが、結局最後まで風に悩まされました。ガイドグラフの乱れに心も乱されて、撮影中に他の用事をすることもできませんでした…

22時頃から深夜にかけては春の銀河で撮りそびれていたものをということで、おとめ座の M60 と M59 のツーショットを撮っていました。どちらも楕円銀河なので絵的には地味ですが…

M60, M59 (2017/5/22 21:58)
M60, M59 (2017/5/22 21:58)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 10枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.08, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1150mm 相当にトリミング

風でブレが出ているせいでぼやけ気味の写りなのですが、楕円銀河だとあまり気になりませんね…

左のまるっこいのが M60、右の少し縦長の小さいのが M59 です。M60 は「子持ち」ですぐ近くに NGC4647 があります。M60 の右上に見える小さな銀河がそれです。これは渦巻銀河なのですが写真では小さすぎて渦巻きには見えませんね… 二つの銀河は単に同じ方向に見えているのではなく、実際に近い距離(と言っても1000万光年とか)にあり、重力の相互作用も始まりつつあるのだそうです。*1

深夜からはへび座の散光星雲 M16 通称「わし星雲」を撮りました。散光星雲と言いましたが、本来は「わし星雲」に重なっている散開星団の方が M16 だったのだとか。

撮影中は間欠的に強く吹く風に悩まされ、と言っても強風というわけではなくふわっと吹く心地よい風なのですが、それでも望遠鏡は大いに揺れて、ピークは±12秒以上、RMSエラーは±4秒といつもの半分以下の精度。極軸の方はバッチリ調整できただけに残念です。

ということで10枚撮ったうちの比較的マシな6枚をコンポジットして仕上げました…

M16 (2017/5/23 00:14)
M16 (2017/5/23 00:14)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 6枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.08, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1150mm 相当にトリミング

だいぶぼやけてはいますが星雲の中心部にある暗黒星雲「象の鼻」あるいは「創造の柱」*2 もわかります。このあたりは昨年の写真ではほとんどわからなかったので、まあ、撮ってよかったかな、と。

しかし、ワシの羽根の部分はうっすらとしか写らないというか、光害に埋もれてしまってここまであぶり出すのがやっとというか… 横浜の空ではこのあたりが限界でしょうか。でも、この日の空はうっすら霞がかかっていたような気もして、空の透明度がよければもう少しはイケるかも?また撮ってみたいと思います。

M17 オメガ星雲, M18 (2017/5/20)

公園での撮影は散々でしたが、気を取り直して帰宅後すぐベランダに望遠鏡を設置。今度は極軸合わせも比較的スムースにできて 30 分後にはいて座の散光星雲 M17 (オメガ星雲)と 散開星団 M18 の撮影を開始。

導入は土星からいて座μ星、そこから試し撮りしながら北に辿っていくとすぐでした。撮影も今度はガイドも比較的安定していてトラブルなく撮れました。

M17, M18 (2017/5/21 00:14)
M17, M18 (2017/5/21 00:14)
OLYMPUS OM-D E-M5, 笠井 BLANCA-80EDT (8cm F6) + 0.6x レデューサー + LPS-D1
ISO 200, 300s x 8枚
DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.08, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1150mm 相当にトリミング

左上の赤い星雲が M17 で、右下の地味な星のかたまりが M18 なんですが、M18 地味過ぎますね… ツーショットにしたけどいまひとつバランスが悪いかも。

M17 はさすがに昨年の 20 秒露出の写真よりは格段によく写っています。淡い部分はまだちょっと露出不足感はありますが、背景のカブリがひどくて(元画像での濃度は 75% とか)なかなか炙り出せません。横浜の空だとこれが限界かなぁ…