6月13日夜の木星は今の所今期ベストの写りで、昨年のベストと比べても悪くはないといったところで、暇さえあれば13日の写真を見てニヤニヤする毎日だったのですが…
でも、他の人の写真をながめていると、同クラスの機材でもまだ上が目指せるみたいなんですよね。それがシーイングの差なのか光学系の差なのか画像処理の差なのかわからなくてもやもやしています。
たとえばホシミスト3013さんの6月12日夜の写真。セレストロン Edge HD800 (口径203mm)によるものなんですが、ディテールの描写が全然違います。
元画像を見ると北赤道縞のモヤモヤとか細かいところまで解像しているし、北赤道縞から伸びたフェストゥーンもシャープに解像しています。比べると僕の写真はピンぼけのよう。
シーイングの差でしょうか?今季最高とのことでしたし稀に見る好シーイングだったとか?でも、6月5日夜の写真を見ても十分解像してるんですよね。年に一回あるかないかレベルのシーイングじゃなくてもこのくらいは写るってことですよね。
口径の差なのかなー。でも2cm程度の差でここまで違うものなのか?と、思っていたら、ALPO-Japan でよく見かける鈴木邦彦さんの撮影機材が 19cm ニュートンじゃないですか。しかも観測地は横浜で、僕が撮影したのと同じ時間に撮った写真がありました。
13:59.8 UT の写真がベストシーイングのようですが、やっぱり僕の写真と比べるとワンランク上の解像感です。これが口径1cmの差、とは思えませんねぇ… 同じ横浜での撮影ということで、シーイングだってそこまで差はなさそうですし…
ALPO-Japan の常連で20cm級の使い手と言うと Christofer Mauricio Baez Jimenez さんもそうです。使用機材は Orion Skyquest XT8 Plus (203mm ニュートン)。撮影時刻が近い写真だと2019/06/13 03:04.4 UT の写真がありますが、やっぱりよく解像しています。撮影地はドミニカ共和国のサントドミンゴ。他の日の写真も似たような良い写りなのでシーイングのいい土地柄なんでしょうか。
こうして見ると僕の腕ではまだ μ-180C の性能を十分引き出せてない気がするんですよね。一体何が違うのか…
画像処理の差?と思って、いろいろやってみましたが、
- AutoStakkert! 3 の AP Size を色々変えて試してみたけど、96 〜 112 あたりがベストらしく、ほとんど改善の余地なし。
- 1.5x Drizzle かけたら RegiStax 6 の wavelet 処理がやりやすくなったりしないかと思ったけど、特に改善せず。
- de-rotation を4セットから8セットに増やしてノイズを減らして wavelet 処理を強めにかけてみたけど、解像感は改善しないし、明るい部分が白飛びしたのでボツに。
ということで、画像処理の問題じゃなさそう。
では光学系の問題?たとえば撮影システムのどこかでケラレが発生していて口径を活かしきれてない状態になっている、とか。気になってあぷらなーとさんの記事を参考に計算してみたのですが…
今のシステムだとADCの開口部がボトルネックになるのですが、直径7mmくらいでも木星の写りには影響が出ない計算。実際には20mm程度あるので全然余裕。
他に考えられるのがバローレンズの収差とか、光軸がズレているとか。以前焦点内外像を撮ったのですが、バローレンズによる拡大像は確かに緩いんですよね。
2箇所ある2インチスリーブ接続部、特にフリップミラーの接続部あたりのガタが影響してる気がするのですが、それ以前に収差が大きい気も… 元の写りが悪いのでは LRGB 撮影やっても意味ないので、フリップミラー外してみてもいいかも?フリップミラーやめたら 2.5x バローレンズも適正な拡大率で使えるのでそっちも試してみたいですね。
もう一つ考えられるのは、そもそもピントが合ってないという可能性…
ノイジーかつ歪みながら揺れる木星面でのピント合わせは困難で、合焦ノブを指先の感覚でギリギリ調整できる回転角までは追い込めてないのが現状です。合焦位置から2, 3捻りくらいしてもピントのズレが視認できない感じ。
試し撮りをくり返して追い込めばいいのかもしれませんが、スタックに時間がかかりますし、シーイングがよほど安定していないとシーイングの変化の影響の方が大きいので追い込みきれない気がするんですよね。
むしろ恒星で FWHM Meassurement とか使って追い込んだほうが正確なんですかね。以前試してみた時はシーイングの影響でグラフの山が掴みどころのない感じになって追い込みきれなかったんですけど、シーイングが良ければ大丈夫なのかなぁ…
そんなわけで悶々とする毎日です。