Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

火星の地図 (2018/7/31)

7月31日に撮影した写真を元に WinJUPOS で火星の地図を作りました。

火星地図 (2018/7/31 22:00-25:00)
火星地図 (2018/7/31 22:00-25:00)

アラビア
大シルチス
インディス平原
ユートピア平原
チュレニーの海
キンメリア人の海
ヘラス盆地
エリダニア

前回は Cylindrical projection で高緯度地方の面積が狭くなっていましたが、今回は Lambert equal-area cyl. projection (ランベルト正積円筒図法)にしています。

元になった火星の連続写真を再掲します。どの地形がどこにあるか確認してみると楽しめます。

火星の自転 (2018/7/31)

地球で同じ時刻に見た時の火星の中央経度は東へと(マイナス方向に)ずれていきます。これからも撮影を続けていけば上の地図の右端の部分、さらに左端から右方向へと地図が埋まっていくはずです。

ただし火星の南中時刻がどんどん早くなっていくので観測可能な時間が減ってきます。7月31日の南中時刻は23:32でしたが、8月15日には22:18に、8月31日には21:11になります。氏直径は最接近時と比べると8月15日は3%程度ですが、8月31日には14%も小さくなります。

今はちょっと燃え尽き気味ですが、もう少し頑張って心置きなく火星を見送れるようにしたいです。

火星の自転 (2018/7/31)

7月31日の火星の連続写真をやっと仕上げました。22:00〜25:00 まで約30分毎に撮影した7枚の連続写真です。flickr のアルバムにまとめましたのでよかったら見てください。前半がカラー版、後半がIR+RGB版です。

火星の自転 (2018/7/31)

JavaScript のアニメーションにもしてみました。

カラー版:


IR+RGB 版:


正面にあったキンメリア人の海が通りすぎていってヘラス盆地や大シルチスが現れます。

微妙に傾いてたりするコマがありますがご容赦ください… これでも何度か image measurement をやりなおしています。木星のように水平の基準になる模様がないので苦労します。

撮影のたびに ADC の角度調整のために撮影システム全体を回転して、カメラも回転させているので、image measurement も1コマ毎に調整しています。システム全体を回転しなくてもプリズム部分だけうまいこと回転させればよかったのかな?

大接近の火星 (2018/7/31)

7月31日、またまた具合が悪くて休んでいたのですが、夕方から快晴ということで、またまた無理を押して惑星撮影。火星が昇るまで木星も撮りましたが、その後は火星に集中。21:30頃から約30分毎に8セット(1セットは RGB x 2, L x 4, RGB x 2 の8本)撮影。SSD もいっぱいになったので深夜01:30に撤収しました。

とりあえず火星の LRGB を1つ仕上げたので速報的に掲載しておきます。今回も L は IR (850nm)です。

火星 (2018/7/31 23:30-23:43) (2000/5000 x 4 de-rotation, LRGB(IR+RGB))
火星 (2018/7/31 23:30-23:43) (2000/5000 x 4 de-rotation, LRGB(IR+RGB))
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), L: IR 850nmパスフィルター 1.25", RGB: ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 x 4 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

今回はカメラの取り付けを慎重にやったのですが、リムの二重化はあまり改善せず… ある程度は仕方がないとは思っているのですが、南極冠が不自然になってしまうのは辛いところです。

左下の妙に光っている部分はヘラス盆地です。ヘラス盆地が赤外では妙に明るいと話題でしたが、本当に明るいですね。なんだか不思議。

RGB はこんな感じです。これでもかなりコントラストを上げて模様を強調しています。

火星 (2018/7/31 23:30-23:43) (2000/5000 x 4 de-rotation)
火星 (2018/7/31 23:30-23:43) (2000/5000 x 4 de-rotation)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 x 4 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

こっちの方が南極冠や北極の白い雲?が写っていて綺麗ですよね。L いらなかったかも…

撤収前に眼視でも見てみました。600倍くらいで見ても極冠は微妙に見えてる気がするのですが、表面の模様はさっぱりでした。というか飛蚊症?のアレが邪魔で識別不可能…

30分ごとに撮影したのはまた火星の自転のアニメーションをやろうと思ってのことですが、全部 de-rotation や LRGB やると処理が大変そう… ゆっくりやっていこうと思います。

8セット撮りましたが、最初の4セットは不覚にも ADC のプリズムの角度を間違えて逆に横方向に色分散を作ってしまうという失態をやらかしてしまいました。ADC のフレームの向きは水準器で水平をとっていたのですが、二枚のプリズムを対称に開くのができていなくてかなり傾いた状態になっていました。RGB Align でごまかしてますが、解像度は落ちてるはず…

色々ありましたが、最終的にはかなり良い条件で最接近(大接近)の火星を撮ることができて満足です。

木星のLRGB画像に偽の模様

昨夜の木星のLRGB画像、よく見ると偽の模様ができていました。WinJUPOS の de-rotation of R/G/B frames を使って合成したのですが、L画像、RGB画像と比べると明らかに不自然な部分があります。

問題の LRGB 画像を再掲。

木星 (2018/7/29 19:52-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation (19:59) LRGB)
木星 (2018/7/29 19:52-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation (19:59) LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 6 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

RGB 画像がこちら。

木星 (2018/7/29 19:53-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation) (RGB)
木星 (2018/7/29 19:53-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation) (RGB)

L 画像がこちら。

木星 (2018/7/29 19:52-20:06) (1500/3000 x6 de-rotation) (L)
木星 (2018/7/29 19:52-20:06) (1500/3000 x6 de-rotation) (L)

LRGB では北赤道縞の中央部と、そこから赤道帯に斜めに伸びる青い模様(festoon)の境目に青黒い境界線ができているのですが、RGB や L を見てもそれらしき模様が見えません。また、LRGB では北赤道縞の黄色みを帯びた部分と北熱帯の白い部分の間に暗く細い縞が見えますが、これも L や RGB では見えません。

どうも色と濃度に急な変化のある境界線部分が必要以上に強調されてしまっているようです。おそらく L と RGB が微妙に合ってないせいだと思いますが、手動で LRGB 合成(RGB の lab 画像の L を L 画像と挿し替え)してもこうはならないんですよね。

木星 (2018/7/29 19:52-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation (19:59) manual LRGB)
木星 (2018/7/29 19:52-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation (19:59) manual LRGB)

RGB は de-rotation してない分少しズレているのですがこちらの方が自然です。

何が原因なんですかね?みなさん LRGB 合成はどうしてるんでしょう?

木星、土星、火星 (2018/7/29)

28日の皆既月食の撮影は台風でキャンセル、というか元々条件が厳しいのであきらめていましたが… 台風一過の29日も夜半から雨の予報だったので天体撮影の予定はなかったのですが、夕方を過ぎると深夜まで降らない予報に変わって、目の前の空は快晴、ということで、日没後から22時過ぎまで撮影していました。

まず木星です。シーイングは細かいさざなみのような揺らぎがあるものの大きくぼけるような乱れは少なく、久々に解像感のある写りになりました。

木星 (2018/7/29 19:52-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation (19:59) LRGB)
木星 (2018/7/29 19:52-20:07) (1500/3000 x6 de-rotation (19:59) LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 6 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

大赤斑は見えませんでしたが、複雑にうねっている北赤道縞がナイスです。

次は土星です。毎回これといって変化がないのですが、火星を撮る前のピントの確認も兼ねて撮っていますが…

土星 (2018/7/29 20:42-20:44) (1500/3000 LRGB)
土星 (2018/7/29 20:42-20:44) (1500/3000 LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/30s x 1500/3000コマをスタック処理したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

北極の近く(北緯65度くらい)の縞に明るい部分が見えていますが、これは3月末に発見された嵐でしょうか?*1

ちなみに今回も de-rotation がうまくいかなかったので、1セット分をLRGB合成しています。

最後に火星ですが、L画像(IR850nm)だけリムの二重化が激しくて南極冠がつぶれてしまったので LRGB 合成はやめて、L と RGB をそれぞれ載せます。

火星 (2018/7/29 21:51-22:14) (IR850nm, 2000/5000 x 6 de-rotation)
火星 (2018/7/29 21:51-22:14) (IR850nm, 2000/5000 x 6 de-rotation)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), IR 850nmパスフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 x 6 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

火星 (2018/7/29 21:53-22:15) (2000/5000 x 6 de-rotation)
火星 (2018/7/29 21:53-22:15) (2000/5000 x 6 de-rotation)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

左(西)の縁に広がった黒い部分が大シルチス、中央左の黒い部分がチュレニーの海、その下の明るい部分がヘラス盆地、中央右に広がる複雑な形の黒い部分がキンメリア人の海、でしょうか。

ダストストームの影響はまだあるようで、カラーカメラのプレビュー映像では模様はほとんど見えません。かなり強い強調処理をかけてやっとこの程度です。ただしIRのプレビュー映像ではチュレニーの海、キンメリア人の海がそこそこはっきり見えました。

しかし L だけリムの二重化が激しくなったのはなんなんでしょうね。土星では問題なかったので、フィルター交換の後カメラがスリーブにちゃんと挿さってなくてピントがズレていたんでしょうか。

プレビュー映像でも何かおかしいとは思っていたので、ちゃんと確認すべきでした。深夜から雨が降ると思って焦っていたのでそこまで気が回りませんでした。結局雨は降らなかったのですが…

木星 (2018/7/26)

今日もまた体調不良で家にいたので早い時間に木星を撮影しました。夕方には曇っていたので今日はナシかと思っていたのですが、19時過ぎから晴れてきたので。

20時半頃まで木星を撮影して次に土星を撮る準備をしていたらだんだん雲が出てきてしまいには月が全く見えなくなるまで曇ってしまいました。22時前まで待ちましたが晴れる気配がないので撤収しました。が、赤道儀を片付けるあたりで雲が切れてきたのですが… でももう一度機材を組み立てる気力はなかったのでそのまま撤収しました…

今回もLRGB撮影をしたのですが、シーイングが悪くて6セットのうち5セットはいまいちぼやけた感じ。最後の1セットは比較的よかったのでその1セットだけでLRGB合成してみました。RegiStax で denoise を強めにかけて仕上げています。

木星 (2018/7/26 20:22-20:23) (1500/3000 LRGB)
木星 (2018/7/26 20:22-20:23) (1500/3000 LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

7月23日に見えていた爪みたいな渦は消えてしまったのかこっちを向いていないだけなのかわかりませんが見当たりません。

一応6セット分の de-rotation もやってみましたが、少しぼやけた感じになってしまいました。

木星 (2018/7/26 20:) (1500/3000 x6 de-rotation (20:14) LRGB)
木星 (2018/7/26 20:) (1500/3000 x6 de-rotation (20:14) LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 6 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

左側の縁が明るくなっているのは de-rotation の副作用です。LD value を下げてみたのですが改善せず。フレームが合ってないのでしょうか。

自動設定があまり信用できないので手動で合わせているのですが、なかなかコツがつかめません。スタックしただけの画像だとぼやけて境界線がわからないので wavelet 処理した画像を仮置きして合わせているのですが、それではだめなんですかね?

木星 (2018/7/23) を再処理

7月23日の木星のLRGB撮影は全部で9セット撮りました。24日のエントリでは3セット分を de-rotation したのですが、まだノイズが目立つので6セット分 de-rotation して仕上げてみました。

木星 (2018/7/23 20:09-20:27) (1500/3000 x 6 de-rotation (20:17) LRGB)
木星 (2018/7/23 20:09-20:27) (1500/3000 x 6 de-rotation (20:17) LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 6 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

だいぶつるつるになりました。解像感もあまり変わらない感じです。これなら手間をかける価値はありそう。逆にこれ以上スタックしなくてもよさそうな感じです。6セットの動画のサイズは26.4GB。感覚が麻痺してきたのかさほど問題ではない気がしてきました…