Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

眼視の日 (2018/7/21)

夕方薄雲が少し晴れてきたので日没後から月を撮ろうとしたのですがシーイングが最悪。いや、もっと悪いこともあるのかもしれないのですが、月面が水底にあるような見え方でピント合わせも困難。無理やり撮ってみたけれどこんな有様。

アルプス谷 (2018/7/21 20:01) (シーイング悪くて失敗)

高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, Lightroom Classic CC で画像処理

三回撮ってこれがベストでした。お話になりません。システムCで月面を撮ってコントラストが落ちないかテストしたかったのですが… 筒内気流かもと思って1時間以上待ちましたが全く良くなる気配がなく撮影は断念しました。

ちなみに最初 IR850nm フィルターを使おうとしたのですが、月面ですらゲインをかなり上げないと暗すぎるとわかってやめました。IRはシーイングの影響を受けにくいって話だったので試しに撮ってみればよかったかな。でもプレビューを見る限りやっぱりぐにゃぐにゃだったのでものには限度がありそう。

というわけでそのまま撤収してもよかったのですが、せっかくなので眼視で月と木星土星を見ました。いつものセレストロンズームアイピース24mm-8mmに加えて先日バローレンズ購入のついでに買ってみた IoSystemsInc SWA Plossel 3.2mm も試してみました。

が、結局、笠井FMC3枚玉2.5倍ショートバロー + ズームアイピース12mm (450倍) が一番よく見えました。木星は縞模様は南北赤道縞しか見えませんでしたがイオの影が見えましたし、土星カッシーニの間隙が見えました。火星も一応見ましたがこれはただの赤い円盤でした。

月面はもちろんクリアに見えました。プラトーからアルプス谷、アルプス山脈、カッシニ。アルフォンススからアルザッケル、直線壁。マギヌスとクラビウス。CMOSカメラで強拡大した映像ではボケボケだったのですが、450倍でもあまり気になりませんでした。

ズームを8mm (675倍)にするとコントラストが落ちてむしろ見づらくなり、カッシーニの間隙も見えなくなりました。バローレンズなしの SWA Plossel 3.2mm (675倍)も、やはり倍率が高すぎるのか、コントラストが低くぼやけたような見え方になって、カッシーニの間隙は見えませんでした。迫力はあるんですけどね…

675倍で見えが悪いのは正立プリズムの精度が悪いのかと思って直付けしてみましたがほぼ変わらず。プリズムに付いたホコリの影が見えいだけマシという程度でした。そもそもシーイングが悪くて高倍率に耐えられないとか?でもそれなら低い倍率で見えていたものが見えなくなるというのも変なので、やはり光学的なものなんでしょうね。

40分ほど堪能してから撤収しました。待っていればシーイングが落ち着いたりしたんですかね?でも空はうっすら霞んでいたし雲行きも怪しかったので待っていても仕方がなかったかな…

火星の地図を作ってみた

昨夜は撮影日和でしたが前の日の夜から寝ていないので大事をとってお休みしました。注意力が落ちている時に重いもの持って落としたりぶつけたりが怖かったので…

そんなわけでまた一昨日の火星ですが、6セット分 de-rotation & LRGB やってみました。

火星 (2018/7/20 01:18-01:45) (2000/5000 x 6 de-rotation IR+RGB)
火星 (2018/7/20 01:18-01:45) (2000/5000 x 6 de-rotation IR+RGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), L: IR 850nmパスフィルター 1.25", RGB: ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 x 6 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

ちょっとだけノイズが減っています。仕上げのノイズリダクションをちょっとだけ減らしましたが、強調処理を強くするとノイズが浮いてしまうので wavelet 処理はそのままです。

それはともかく、せっかく地表の模様が写ったので、どこがどこだか特定しようということで、WinJUPOS の Map computation 機能*1 を使って地図を作って、その上に見えている地形をプロットしてみました。

地形の位置と地名は『月刊 星ナビ』7月号付録の地図と Annotated Mars Map 2005 by D.Peach を参考にしました。

https://rna.sakura.ne.jp/share/2018-07-19-1622.7_1639.2-LRGB-wavelet_MAP-grid_1.jpg

ルナ湖
クリュセ平原
アキダリアの海
アラビア
太陽湖
マリネリス峡谷
オーロラ湾
真珠の湾
子午線の湾
サバ人の湾

写真の上にプロットするとこうなります。

火星 (2018/7/20 01:18-01:45) (MAP用)

WinJUPOS の Ephemerides 機能*2で作ったシミュレーション画像がこちら。

https://rna.sakura.ne.jp/share/2018-07-19-1631.0-Mars-NR.jpg

こうして見ると、あちこちよくわからない見え方になっていますね。アキダリアの海、子午線の湾、サバ人の湾あたりはシミュレーションと一致してますが… オーロラ湾の南あたりとか明るくなっているのはどうなっているのでしょう?ダストストームでしょうか?

*1:メインメニューの [Analysis - Map computation...]

*2:メインメニューの [Tools - Ephemerides...]

火星を de-rotation & LRGB(IR+RGB) (2018/7/19)

昨夜の火星の写真ですが、3セット分を WinJUPOS で de-rotation スタック & LRGB 合成してみました。

火星 (2018/7/20 01:35-01:50) (2000/5000 x 3 de-rotation IR+RGB)
火星 (2018/7/20 01:35-01:50) (2000/5000 x 3 de-rotation IR+RGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), L: IR 850nmパスフィルター 1.25", RGB: ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, WinJUPOS 10.3.9, Lightroom Classic CC で画像処理

WinJUPOS の LRGB 合成だと北極の白い雲もブレンドされていい感じです。

Image Measurement で南北方向を決めるのに難儀しましたが、連続して撮影した画像を連続表示して自転の向きを脳内に叩き込んでそれに合わせました。もっと機械的にやれないかなぁこういうの。

前回よりも明るめに仕上げてみました。というか、早朝に画像を仕上げるとなぜか暗めの仕上がりになりがちで要注意です…

火星のLRGB(IR+RGB)撮影 (2018/7/19)

7月19日は体調が悪く朝から夜中までほとんど寝ていました。夕方コンビニにでかけた時は曇りだったので期待はしてなかったのですが、夜中の12時頃にベランダに出ると薄雲がちながら晴れていて火星が煌々と輝いていたので撮影することに。

今回は、LRGB撮影でL画像をIR(赤外線)で撮るテストです。先日エレクトリックシープでアダプターリングを買った時に一緒にZWO IR 850nmパスフィルターを買っていたのです。もう少し普通の撮影に慣れてからと思っていたのですが、★多摩の星空さんのブログエントリ「★彡 火星 UT: 2018-07-15; IR撮影に切り替えてみた」に触発されて試してみることにしました。

相変わらず火星面は模様が薄くこれでピントを合わせる自信がなかったので土星の輪でピント合わせ。IRフィルターで像が暗くなってかなりゲインを上げないと土星が見えません。ちょっと不安になりましたが、火星に向けてみるとゲインを386まで上げると1/60秒で撮れました。

シーイングはまずまず、ただし時折強風にあおられてブレてしまうという条件での撮影でしたが、結果は…

火星 (2018/7/20 01:49-01:50) (LRGB)
火星 (2018/7/20 01:49-01:50) (LRGB)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), L: IR 850nmパスフィルター 1.25", RGB: ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理したものをLRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC, Lightroom Classic CC で画像処理

これは今期ベストの写りなのでは?噂のマリネリス峡谷もかなりはっきり見えます。

とはいえもう少しキレがあれば… ピントが甘いんですかね?ちなみに光軸は購入後一度も調整していません。そのへんも確認した方がよい?

LRGB 合成は例によって Photoshop で手作業です。8セットほど撮ったので後で de-rotation スタックも試してみようと思います。

IRのL画像はこんな感じです。

火星 (2018/7/20 01:49) (IR850nm)
火星 (2018/7/20 01:49) (IR850nm)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), IR 850nmパスフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

RGBはこんな感じ。

火星 (2018/7/20 01:50)
火星 (2018/7/20 01:50)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

RGB画像だと北極に白い雲が出ているのがわかります。こういうのはIRでは写らないみたいですね。

ところでLと比べてRGBの方がわずかに像が大きいような気がするのですが… ビクセンのフリップミラーの光路長がミラー側と直視側で合ってないとか?それともIRでは火星の大気の層が見えなくなって小さく見えてるだけ?

土星の de-rotation がうまくいきません

7月15日に撮った土星なのですが、3本分のスタック画像を WinJUPOS で de-rotation してみたのですが、うまくいきません。こんなふうになりました。

土星 (2018/7/15 21:41-21:53) (21:47, 3x de-rotation 失敗)
土星 (2018/7/15 21:41-21:53) (21:47, 3x de-rotation 失敗)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / 露出 1/30s x 1500/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation スタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 10.3.9, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

木星の縁が手前にかかった輪を突き破るように描かれてしまいます。Image Measurement でフレームが合ってないのかと思ってフレームのサイズを調整して何度か試しましたがほとんど改善されませんでした。

みなさんどうしているのでしょう?

火星 (2018/7/15)

7月15日の夜は木星を撮った後、土星と火星も撮りました。土星はまた今度にして火星の写真。この日は画像処理でマリネリス峡谷が確認できるとのこと。

なのでいつもより強めの強調処理をかけてみました。

火星 (2018/7/16 00:02)
火星 (2018/7/16 00:02)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 2000/5000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

疲れていたのでカラーカメラで撮りました… ダストストームはだいぶ晴れてきたのか、地表の模様もかなり浮き上がってきていますが、『星ナビ』7月号付録のシミュレーション画像ともだいぶ違うし、どこがどこなのかいまいちよくわからない感じです。

で、マリネリス峡谷ってこれでしょうか?

マリネリス峡谷?
マリネリス峡谷?

位置的には合っているのでそんな気がしてきました。

あともう一つ気になったのは南極に妙に明るい部分ができていること。これは何なんでしょうね?というかむしろ周りがダストのせいで暗くなっているだけ?

木星のLRGB撮影 (2018/7/15)

7月15日は夕方から金星を撮ろうと思ってベランダに機材を出したのですが、機材を組み立てている間に、昼間の快晴の空が嘘のようにどんよりと曇りだしてひと雨降りそうな気配さえしてきたので、一度機材をバラして退避。結局金星は撮れませんでした。とはいえ17時ごろなら南向きのベランダからギリギリ撮れそうということがわかっただけでも収穫…

結局雨は降らず、薄雲がちの空ながら木星も輝いていたので19時過ぎに再度機材を出して木星を撮りました。今回はシステムCにカメラを2台付けてLRGB撮影に挑戦です。

モノクロカメラ(ASI290MM)を直視側、カラーカメラ(ASI290MC)をミラー側に取り付けて、2台のカメラはそれぞれUSB3のリピーターケーブルを経由して室内のPCに接続。SharpCapは1個だけ起動して、撮影のたびにカメラを切り替えます。LとRGBの撮影間隔は30秒弱。撮影中に少しずつ木星が流れるのでROIの位置合わせに少し手間取りました。

シーイングはあまり良くなく時折像が大きくぼける状態で、あまり写りは期待できませんでしたがテストと割り切って撮影しました。結果はこうなりました。

木星 (2018/7/15 20:48-20:55)(20:51, manual LRGB(Lx3, RGBx3 de-rotation))
木星 (2018/7/15 20:48-20:55)(20:51, manual LRGB(Lx3, RGBx3 de-rotation))
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F40.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L: ZWO ASI290MM, RGB: ZWO ASI290MC / L, RGB: 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 x 3 を de-rotation スタック処理したものを LRGB合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, WinJUPOS 10.3.9, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC, Lightroom Classic CC で画像処理

いまいち解像度が足りない感じですが、シーイングも良くなかったしこんなものでしょうか。7月8日に撮影した時にあった大赤斑の左上(北西)のつけまつ毛がはがれたみたいな特徴的な模様はなくなっています。

北赤道縞に切れ目のようなものができていますが、これも7月8日にはありませんでした。8cmで撮っていた頃はわかりませんでしたが、木星の模様って結構速いサイクルで変化していくものなんですね。

上の写真は L と RGB をそれぞれ3本撮って WinJUPOS で de-rotation したものを Photoshop で手動 LRGB 合成しました(RGB の lab カラー画像の L を差し替える方式)。L と RGB の撮影間隔が短く、模様のズレがわずかだったのでそのまま重ねました。

わざわざ手動で LRGB 合成したのは、WinJUPOS の LRGB 合成だと大赤斑が不自然に小さくなってしまったからです。こんなふうに。

木星 (2018/7/15 20:48-20:55)(20:51, LRGB by WinJUPOS (Lx3, RGBx3 de-rotation))
木星 (2018/7/15 20:48-20:55)(20:51, LRGB by WinJUPOS (Lx3, RGBx3 de-rotation))

L と RGB はこれです。

木星 (2018/7/15 20:48-20:53) (20:51, 3x de-rotation)
木星 (2018/7/15 20:48-20:53) (20:51, 3x de-rotation)

木星 (2018/7/15 20:49-20:55) (20:52, 3x de-rotation)
木星 (2018/7/15 20:49-20:55) (20:52, 3x de-rotation)

Image measurement のフレーム合わせがうまくいってなかったんでしょうか?フレームは、L画像は自動だと少し斜めになっていたので角度を調整、RGB画像は自動だとなぜか90度回転してしまってダメだったので L と同じフレームを角度だけ調整して使いました。角度がズレるだけでこんなふうになるかなぁ…

この日はこの後土星と火星も撮りましたがそれは後ほど。