Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

月面 (2018/11/15)

久しぶりなので近況を。ここ2ヶ月ほど体調が悪く天文活動がほとんどできず天文関係のサイトめぐりもずっとサボっていました。天文に限らず生産的な事がほとんどできない状態でブログを書くのも、ネタも書く気力もないという状況でした。そういえばまだ天文年鑑も買ってません。

先月の半ばに少し体調が回復した時に月面撮影、そして月が沈んでからは久しぶりにDSOのガイド撮影ということで馬頭星雲を狙ったのですが、結果から言うと失敗しました。

馬頭星雲の件は別のエントリに書くとして月面撮影について。11月15日は早めに帰宅できたので夕方からスタンバイ。月齢は7.8。南中高度が37度と低くシーイングもあまり良くなく、結果はイマイチでした…

まずヒギヌス谷周辺のモザイクです。

ヒギヌス谷、トリスネッカー谷 (2018/11/15 17:21) (ぶれの軽減)
ヒギヌス谷、トリスネッカー谷 (2018/11/15 17:21) (ぶれの軽減)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 x 4枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC, Lightroom Classic CC で画像処理

中央やや上の横倒しにした「く」の字型の谷がヒギヌス谷です。「く」の字の真ん中にある小さなクレーターがヒギヌス(直径6km)です。谷の中のでこぼこした部分も小さなクレーターだそうです。

左下の縦に何本か引っかき傷のように走っている谷がトリスネッカー谷です。細い谷ですがプレビューでも見えていました。

今回も Photoshop の「ぶれの軽減」フィルターを使っています。フィルター適用前はこちら。

ヒギヌス谷、トリスネッカー谷 (2018/11/15 17:21)

やはり右斜め上に流れる感じのブレがあるように見えます。動画でも像が陽炎のような揺れ方をしているのでそのせいなのかとは思うのですが、いつもブレの方向が同じなのが気になります。ひょっとして光軸がズレて像が歪んでいるだけだったり?

もう一か所撮りました。アルプス山脈周辺のモザイクです。

アルプス山脈周辺 (2018/11/15 17:27)
アルプス山脈周辺 (2018/11/15 17:27)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 x 6枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop CC, Lightroom Classic CC で画像処理

元々アルプス谷狙いだったのですが、アルプス谷はまだ西半分が夜明け前なので東側の周辺をまとめて撮ってみました。ちょっと変な構図ですが… これも「ぶれの軽減」フィルター処理済です。

左上の谷はアルプス谷、右上の大きなクレーターはアリストテレス(87km)、右下の大きめのクレーターはユードクソス(67km)、左下の中に二つ小クレーターが見えるクレーターがカッシニ(56km)です。

二枚ともモザイクなので少しはマシな感じですが、あい変わらずブレた感じの写りになってしまい不満です。何が悪いのか…

月面撮影の時は極軸をあまり正確に合わせないので動画撮影中結構写野がズレていくので、そのせいかと思い今回はアライメントもしっかり取ってみたのですがあまり代わり映えしません。

直焦では特に不満はなかったので、拡大光学系の不具合かとも思うのですが、ADCを除けば惑星撮影と同じ構成なのでそんなにマズいことにはなってないはず… 土星とか綺麗に撮れてたし。

とりあえず機会を見て光軸はチェックしておこうかなと思っています。

月面写真に Photoshop の「ぶれの軽減」フィルターを使ってみた

先日撮影した月面の拡大写真、シーイングに恵まれずいまいちキリッとしないという話をしていましたが、なんかこれ、ボケというよりはブレっぽいよなーと思い、ふと Photoshop CC の「ぶれの軽減」フィルターが使えないかと思い立って試してみました。

「ぶれの軽減」フィルターについては Adobe 公式のこちらを参照。

原理はよくわかりませんが、 motion deblurring でググると論文がたくさん出てくるのでそのどれかなんでしょう。Wiener deconvolution というのがメジャーっぽいんですが、そのあたりでしょうか?

以下フィルターの効果がわかるように、RegiStax の出力画像を before、それにフイルターをかけただけの画像を after とします。どちらも画質調整はせずにトリミングのみで掲載しています。撮影データについては各写真の元記事を参照。フィルターのパラメータはデフォルトあるいは自動で、フィルター画面を開いてそのまま [OK] しました。

まず「月面 (2018/9/28)」の「キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53)」の before:

キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53) (ぶれの軽減なし)
キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53) (ぶれの軽減なし)

after:

キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53) (ぶれの軽減あり)
キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53) (ぶれの軽減あり)

同じく「月面 (2018/9/28)」の「アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク)」の before:

アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク) (ぶれの軽減なし)
アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク) (ぶれの軽減なし)

after:

アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク) (ぶれの軽減あり)
アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク) (ぶれの軽減あり)

プラトー (2018/10/1)」の「プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク)」の before:

プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク) (ぶれの軽減なし)
プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク) (ぶれの軽減なし)

after:

プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク) (ぶれの軽減あり)
プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク) (ぶれの軽減あり)

最後に「月面いろいろ (2018/10/1)」から「ティコ (2018/10/2 04:43)」の before:

ティコ (2018/10/2 04:43) (ブレの軽減なし)
ティコ (2018/10/2 04:43) (ブレの軽減なし)

after:

ティコ (2018/10/2 04:43) (ブレの軽減あり)
ティコ (2018/10/2 04:43) (ブレの軽減あり)

どうでしょう? 結構すごくないですか!? 個人的には初めて RegiStax 使った時みたいな感動があったんですが…

でも RegiStax で頑張ったら最初から after みたいな画像にならないか? と思って頑張って RegiStax いじって再現できないか試してみたのですが、ダメでした。やっぱりブレの成分をなんとかできないとダメなのかな?

しかしこういうフィルター使うのはアリなんでしょうか? やっぱりアルゴリズムが気になります。deconvolution の一種なら特に問題ないような気はするのですが、万一ニューラルネットを使ったAIお絵描き的な処理が入っていたらちょっと避けたいところです。まあ、それはなさそうですが。

ちなみにこのフイルター、むっちゃ重いです。Core i5 6600 3.3GHz (4コア4スレッド)で Full-HD サイズの画像の処理に5分近くかかります。パラメーターを試行錯誤してみたいところですが、プレビューもむっちゃ重くて色々試すのは大変そうです。

でもデフォルト設定でもこれだけ効果あるのだから今後も使っていこうかなぁ…

月面いろいろ (2018/10/1)

10月1日深夜に撮った月面の残りです。北から順に。

北極付近 (2018/10/2 04:34)
北極付近 (2018/10/2 04:34)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 10.6ms x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

氷の海のさらに北、月の北極付近です。特に目立った地形があるわけではないのですが、月の地平線(月平線?)が見えていると、月上空を飛んでいるような臨場感が出てくるのが面白くて撮ってみました。左下の大きめのクレーターがフィロラウス(70km)、右下の端に見えている一回り小さなクレーターがアナクサゴラス(50km)です。

エラトステネス (2018/10/2 4:46)
エラトステネス (2018/10/2 4:46)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

エラトステネス(58km)はアペニン山脈の南西の端の先にある丸くくっきりしたクレーターです。中央丘が少し北に伸びて12時を指す時計の針のようにも見えます。写野外になりますが、南西にはコペルニクス(93km)があります。エラトステネスの名前の由来はもちろん「エラトステネスの篩」で有名なエラトステネスです。

ティコ (2018/10/2 04:43)
ティコ (2018/10/2 04:43)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 11.6ms x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

ティコ(85km)は満月の頃に月面の南半球を覆う巨大な光条が輝くあのクレーターです。光条の長さは2000km以上にもなりますが、このくらいの月齢(22.1)だと全く見えないのが不思議です。名前の由来はもちろん16世紀の天文学者ティコ・ブラーエ

クラビウス (2018/10/2 04:38)
クラビウス (2018/10/2 04:38)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 11.6ms x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

クラビウス(231km((Wikipedia Clavius (crater)より。225km とする文献も。)))はティコの南にあるクレーターで、月の表側では2番目に大きい巨大なクレーターです。内部のクレーターが、南東から北西へと綺麗に弧を描いて並んでだんだん小さくなっているのが印象的です。

ちなみに以前「グラビウス」と書いていましたが間違いで、「クラビウス(Clavius)」が正しいです。書籍の月面に書いてあった文字に地形の凹凸が重なって濁点に見えてしまって間違えました…

クラビウスは7月23日にも撮っていて「あまり納得がいかない」写りだったのですが、今回は… あまり変わりませんね。もっとキリッとした写りにならないもんですかね。やっぱりシーイングが良くないとどうにもならないのかなぁ…

プラトー (2018/10/1)

台風一過の10月1日は体調が最悪で夕方から夜中まで寝ていました。昼頃には日没後火星を撮って月の出の前までにらせん星雲を撮ってそのあと月を撮る、みたいなことを考えてたんですが… 日没頃にはまだ風も強かったのでどっちみち火星とらせん星雲はダメだったでしょうけど。

深夜3時頃に目がさめてベランダに出ると快晴の夜空に月が高く昇っていました。日の出は5:35で、機材設置と温度順応に1時間かけるとしても1時間くらいは撮影できそう。シリウスが瞬いていてシーイングは悪そうだったのですがせっかくの天気なので月面撮影を強行。

案の定シーイングはいまいちだったのですがそこそこ見れる写真は撮れました。5枚撮りましたが、ここではそのうち一枚を。

プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク)
プラトー (2018/10/2 04:29-04:31 2枚モザイク)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 x 2枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

プラトー(109km)です。周辺の地形も見応えがあるので2枚モザイクで写野を広めにとりました。プラトーの北(上)に広がるのは氷の海、南西(左下)に見える山脈はテネリッフェ山脈、南(下)に見える山はピコ山、北東(やや右上)に見える谷はプラトー谷です。

プラトーと言えば内部の小クレーターが見えるかどうかが話題になりますが、上の写真ではうっすらと5つ写っているのが見えます。眼視だと「口径20cmクラスの望遠鏡で良シーイングに恵まれると、内部に4つのクレーターが確認できます」(白尾元理『月の地形ウォッチングガイド』p144)とのことなので、いまいちなシーイングでこれだけ写れば御の字でしょうか?

ところで「プラトー」という名前はギリシャの哲学者プラトンに由来するのですが、なんで「プラトン」じゃなくて「プラトー」なんでしょうね?と思ったら、どうも最近では「プラトン」表記が多いようです。

セッピーナさんのブログ『セッピーナの趣味の天文計算』の記事「「プラトン」か「プラトー」か? - 月のクレーターのこと: 」によると、『天文年鑑』では1995年頃から、他の書籍では2011年頃から「プラトン」表記になっているとのこと。ちなみに手元の高橋実『月面ガイドブック』(1974, 誠文堂新光社)では「プラトー」でした。Wikipedia は最初から「プラトン (クレーター)」になっていて、特に表記について議論があった形跡は見当たりません。

しかし、プラトーの欧文表記(?)は Plato なんですよね。そもそもなんでプラトンが Plato なんでしょう?げたのにれのやさんのブログ『げたにれの “日日是言語学”』の記事「英語の 「プラトン」 には、なぜ、n がないのか?」やラテン語たんのつぶやきのまとめ「英語でプラトンはPlatoですが…?」によると、英語の Plato はラテン語由来で、古典ギリシャ語から古典ラテン語に伝わった際に「プラトン」から n が落ちて「プラトー」に変化したとのことです。

ということはラテン語の発音に合わせるなら「プラトー」が正解?でも人名の日本語訳に合わせるなら「プラトン」が正解?まあ、ネットで見かける天文家の皆さんはだいたい「プラトー」って言ってる気がするので僕も「プラトー」にしておきますが、検索のことを考えると併記するのがいいのかも。

月面 (2018/9/28)

昨夜は帰宅後疲れて寝てしまって、目がさめたのが深夜。火星はもう撮れない時間だったのでまた月面を撮りました。シーイングは時折大きく乱れるものの、落ち着いている時はそこそこいい感じで、27日よりはずっとマシでした。結構頻繁に雲が流れてきて、雲が出ている間にスタック処理をしたりして落ち着かない撮影でした。

今回もシステムCから ADC を外した構成で撮っています。写真は一応北が上ですがカメラが30度ほど右に傾いたまま撮ってしまったのでちょっと違和感あるかも…

以下、撮影順とは異なりますが、北から順に。

クレーター名に続くカッコ内はクレーターの直径です。位置関係を表す東西南北は月面上での方向です。写真上では右が東、左が西です。空の東西と逆なので混乱しますが、月面上に日本列島を置いた様子を思い浮かべるとわかりやすいと思います。

まずアリストテレス

アリストテレス (2018/9/29 02:01)
アリストテレス (2018/9/29 02:01)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アリストテレス(87km)はアルプス谷の東にあるクレーター。東にある小さなクレーターミッチェル(30km)に少し重なる形で隣接しています。小さなクレーターの近くに後から大きなクレーターができると小さい方のクレーターは破壊されてしまうのが普通で、ミッチェルのように形がしっかり残っているのは珍しいそうです。*1

次はポシドニウス。

ポシドニウス (2018/9/29 00:50)
ポシドニウス (2018/9/29 00:50)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 11.5ms x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

ポシドニウス(95km)は晴れの海の東の縁にある二重構造のクレーターです。内部には引っかき傷のような谷が複数走っています。ポシドニウスの東に南北に弧を描いて走る比較的大きな谷は G.ボンド谷です。谷のすぐ東にあるクレーターが G.ボンド(20km)です。*2

次はアリアデウス谷。

アリアデウス谷 (2018/9/29 01:21)
アリアデウス谷 (2018/9/29 01:21)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

アリアデウス谷は静かの海の西の端から蒸気の海の南東の端を東西に走る長さ250km、幅4〜5kmの大きな谷です。谷の東の端の少し南にある双子のクレーターがアリアデウス(11km)です。谷の中央部では谷の幅の分ぐらい南北に谷が食い違っているのがわかります。谷の南西の大きなクレーターはアグリッパ(44km)です。

次はキリルスとテオフィルス。

キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53)
キリルス、ティオフィルス (2018/9/29 00:53)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

神酒の海の北西の端にある二つの大きなクレーター。写真左がキリルス(98km)、右がティオフィルス(110km)です。重なり方からわかるようにキリルスの方が古いクレーターです。くたびれた感じのキリルスに対してティオフィルスはリムもクッキリしていて中央丘も立派です。

最後はアルタイの崖。写真は8枚のモザイク合成です。

アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク)
アルタイの崖 (2018/9/29 01:49-01:57 8枚モザイク)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 x 8枚をモザイク合成 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Image Composite Editor 2.0.3.0, Lightroom Classic CC で画像処理

アルタイの崖は高さ1〜3km、長さ480kmの長大な崖です。崖の北端の東にある大きなクレーターはカタリナ(104km)、崖の南端のすぐ南にあるクレーターはピッコロミニ(87km)です。

地形のデータについては、白尾元理『月の地形ウォッチングガイド』iOSアプリ Moon Globe を参考にしました。

さて、27日に比べればずっと良く撮れているし、今まで μ-180C で撮った月面の中でもベストに近い写りなのですが、まだ少しぼやけた感じですね… 8枚モザイクでもまだ少しブレた感じが残っています。もう少しキリッとした写りを期待しているのですが… 拡大しすぎなんでしょうか?それとももっと好シーイングに恵まれないとダメ?

あるいはピントが追い込めていないとか?ピント合わせは合焦機構の精度以前にピントの山がつかみづらくて苦労します。土星なんかだとカッシーニの隙間がクッキリ見えるかどうかが基準になるのですが、月面の地形は少々ピントがズレていてもなんとなくクッキリ見えてしまうので… 細かい地形まで頭に叩き込んでおかないとダメなのかも。

そういえば光軸調整を一度もやってないのですが、やったほうがいいのかな?μ-180C は光軸がズレにくいとは聞きますが。ちなみにファインダーも今まで一度も調整していませんが全然問題なく使えています。

そんなわけで月が出てる間は月面撮影またがんばろうと思います。火星もあと一回くらいは撮りたいかな… でも台風でまたしばらく天体撮影はお休み。今年は台風多すぎ!

*1:参考: 白尾元理『月の地形ウォッチングガイド』p20

*2:月の谷の名前はたいてい近くにあるクレーターの名前に由来します。

ヘラクレスとアトラス (2018/9/27)

前のエントリに書いたように、27日の夜は月を撮っていました。が、シーイングが悪くて満足いく結果は得られませんでした。

欠け際が危機の海の西の端にかかっていたのでオニール橋付近を撮っていたのですが悪シーイングでブレてしまい何が写ってるのかよくわからない写真になってしまいボツに。何枚か撮りましたが、唯一そこそこ見れる写りだったのがこれです。

ヘラクレスとアトラス (2018/9/27 23:54)
ヘラクレスとアトラス (2018/9/27 23:54)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F?), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/125s x 1500/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

月面をあちこち流していて目に付いた二つ並んだクレーター。左がヘラクレス、右がアトラスです。ヘラクレスの内部は小クレーターがある以外は平坦ですが、アトラスの内部は山あり谷ありの起伏に富んだ地形です。

今回はシステムCから ADC を外した構成で撮っています。倍率を少し落としたいのと、ゴーストの原因にならないかと思って ADC を外しました。正確な倍率は不明ですが今度火星か土星を撮って計算してみようと思います。しかし ADC って月面撮影でも付けた方がいいんですかね?

μ-180C での月面撮影は直焦点以外はいまだに満足のいく結果が得られていません。なんか惑星よりも難しい気がするのですが…

9月27日22:48頃の流星

9月27日の夜は久々に晴れたので月でも撮ろうとベランダで準備をしていると、南の空高くを流星らしきものが横切るのを見ました。

22時48分頃、ペガサスの四辺形のあたりを(と言っても空が明るくてペガサスの四辺形自体は見えてなかったのでだいたいの位置ですが)西から東へ比較的ゆっくり、でも ISS よりは少し速いくらいの速度で、すーっと流れていって、突然三つくらいに砕けて消えました。

観測地は横浜市北西部。空を見上げた時に既に流れていて流れ始めからは見れていないのですが、消えるまで2秒くらいでした。色はオレンジ色、明るさは火星よりも明るくて-2〜-3等くらいでしょうか?

これ、誰か見た人いますか? Twitter で「流星」で検索しても芸能人ばかりヒットしてしまうのですが、「火球」で検索するとそれらしき報告がありました。

これかなぁ?高度が低いのですが、場所が八王子あたりで横浜から北に離れたところから見ているのでつじつまは合う?