Deep Sky Memories

横浜の空で撮影した星たちの思い出

一方向赤緯ガイドで馬頭星雲 (2018/12/30)

晦日イブの夜は先月のオートガイドの失敗のリベンジで馬頭星雲を撮りました。前回の失敗の原因がよくわからないままテスト的に撮影したのですが、最終的には「一方向赤緯ガイド」が功を奏しました。

月が出るまで撮れるだけ撮るということで、21:00過ぎに撮影を開始したのですが、案の定途中から赤緯ガイドが暴れ出します。±6〜8"の幅で蛇行運転。RMSエラーは±3"前後。一時的なものかもしれないと思いそのまま続けても改善せず、途中からガイドパラメータをいじったりしてみたのですが…

  • 積極性を上げる(85 → 95)
    • 大きくブレた時に修正しきれてないように見えたので。効果なし。
  • Max duration を上げる(2500 → 3500)
    • 修正量が足りてないように見えたので。効果なし。
  • ガイドカメラの露出を短くする(1.5s → 1.0s)
    • 修正が出遅れているのではないかと思って。途中まで良かったが最後大暴れ。
  • ガイド星を変える
    • 最初のガイド星がサチっていたので。でも赤経はガイドできてるし関係なかった。

ということでどれも効果なく合計8枚が無駄になりました。ここで初心に帰ってガイドアシスタントを起動。すると、概ね以下のような事を言われました。

赤緯軸を回して行って来てするグラフが出てきたのですが、行ったっきり全然戻らない状態。

ということは、PHD2 は赤緯方向のズレを戻そうとするもバックラッシュのせいで全然戻らないのでもっと強く修正をかけて、ギアが効いた時には戻し過ぎになる、ということを繰り返していたのでしょうか。

とにかく一方向赤緯ガイドをやってみようということで、ガイド星は北にドリフトするので赤緯ガイドモードは… North なの? South なの?

赤緯ガイドモードの南北がドリフトの方向を意味するのか修正する方向を意味するのかわからなかったので、とりあえず North に設定したところうまくいきました。後でマニュアルを見たら「星が北へとずれていくようなら、ガイドモードを south にします」と書いていたのですが…

とにかく一方向赤緯ガイドを開始してからは赤緯方向の揺れは±4"程度、RMSは±2"以内に収まり大きな蛇行はなくなりました。過修正気味の動きが気になって途中から積極性を50まで下げましたがあまり変わらない感じでした。馬頭星雲は既に子午線を超えていましたが、月の出までに5枚撮って撮影終了。

後でマニュアルを読むと赤緯ガイドアルゴリズムには「ローパス」または「ローパス2」を使うといいようです。過修正気味の動きは「レジストスイッチ」のままにしていたのが良くなかったのかも。

最後に一方向赤緯ガイドで撮った5枚をコンポジットしたのがこちら。

馬頭星雲 (2018/12/30 23:25)
馬頭星雲 (2018/12/30 23:25)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 x 5コマ 総露出時間 1時間15分 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1045mm 相当にトリミング

やはり5枚では若干ノイジーなので最初の蛇行運転の分のうち比較的マシな3枚を足して8枚をコンポジットしたのがこちら。

馬頭星雲 (2018/12/30 21:09)
馬頭星雲 (2018/12/30 21:09)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 x 8コマ 総露出時間 2時間 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 4.1.1, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1045mm 相当にトリミング

ガイドエラー、縮小画像だとほとんどわかりませんね… 等倍だと星が楕円になっているのがはっきりわかるのですが。

ということで、赤緯ガイドが暴れるのはどうやらバックラッシュのせいで、一方向赤緯ガイドが効果的ということがわかりました。

が、PHD2 のマニュアルを見ると極軸のズレを利用した一方向赤緯ガイドには以下のような注意点があるとのこと。

  • 極軸のズレが大きすぎると極の近くを撮影したときに視野が回転してしまう
  • 赤緯の修正方向が逆転する箇所があり、それは極軸のズレの方向によって異なる
  • ディザリングは「赤経(RA)のみ」で

ということでハマりどころもある感じ。当面これでしのぐとしても、いずれ赤道儀のギアを調整したほうがいいのか…

あとディザリングは赤経のみだといまいち縮緬ノイズが取り切れない感じ。マニュアルディザならディザ実行後にオートガイドOFF/ONすれば赤経のみじゃなくてもいいのかな?

M78, M100 (再処理)

年末ということで今年撮った天体写真を整理していたのですが、見返していまひとつ物足りないなーという仕上がりの写真を「DSO 写真の画像処理方法の変更」で試したRAW現像後にコンポジットする方法で再処理していました。

まず1月に撮ったM78。

M78 (2018/1/11 22:07)
M78 (2018/1/11 22:07)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 ED屈折用0.6xレデューサー (合成F3.6), LPS-D1 48mm / Kenko-Tokina スカイメモS, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 6分 x 14コマ 総露出時間 1時間24分 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1033mm 相当にトリミング

まだスカイメモSを使っていた時の写真です。「M78 (2018/1/11)」では「地味ですね…」と書きましたが、今回はトリミングを少し大きめにしてバーナードループの一部を画面に入れてみました。左上隅の赤い星雲です。新しい処理方法で発色が良くなったので赤がくっきり出ています。

M78本体も以前に比べて淡い部分をあぶり出せるようになりました。若干荒れ気味ですが… でも前回の記事での強調処理キツめバージョンよりはマシですね。前の処理方法だとこのへんの加減が難しかったのです。

もう一枚。2月に撮ったM100です。

M100 (2018/2/24 01:14)
M100 (2018/2/24 01:14)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 x 8コマ 総露出時間 2時間 / RStacker 0.6.4, DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 1915mm 相当にトリミング

SX2 を買って最初に撮った天体です。今回は右下に見える縦になった銀河 NGC4312 とのバランスを考えて縦の構図にトリミングしました。

肝心の M100 の写りはというと… 前回の「M100 (2018/2/23)」から代わり映えしませんね… RAW の背景の輝度は55%程度でそれほど悪くはないのですが、M100 自体が淡くて負けてしまっています。

RAW現像後コンポジットは強調処理の調整を追い込みやすくはなりますが、元の写りが悪ければいくら追い込んでも限界があります。

全体的にノイズが多いのも気になりますが15分露出だと8コマで総露出時間が2時間。これ以上は光害の影響を受けやすい高度のコマが混ざってしまうので2日以上かけてコマを増やすしかない?それよりももっと高感度で撮れるカメラに替えた方がいいかなあ…

AutoStakkert!3 のパラメータを試す

イケてない月面写真がなんでイケてないのか、なんとかイケてる風にできないか、と悩んでいます。シーイングが悪いからしょうがない、で済む話なのか、ということですね。

月面写真のスタックには AutoStakkert!3 (AS!3)を使っていますが、これが色々設定パラメータの多いソフトで、なるべくデフォルトをいじらず雰囲気で微調整しながら使ってきたのですが、各パラメータをいじるとどうなるかを試してみました。

今回調整するパラメータは以前から気になっていた以下の3つ。

  • Quality Estimator: Normal range: Local/Global
  • Reference Frame: Double Stack Reference: ON/OFF
  • AP Size: 24/48/104/200

ベースラインとなる画像はこの画像。

アルプス谷 (2018/12/15 20:31)
アルプス谷 (2018/12/15 20:31)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F36.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

15日に撮ったアルプス谷です。AS!3 の設定は以下の通り(強調は今回試す設定)。

  • Image Stabilization: Surface
    • Improved Tracking: OFF
  • Quality Estimator: Local
  • Reference Frame:
    • Double Stack Reference: OFF
    • Autosize (quality based): ON
  • AP Size: 48
  • Auto AP:
    • Min Bright 5

画像は RegiStax 6 のウェーブレット処理と Lightroom の階調と外観の調整が入った一通り仕上げた状態のもの。以下仕上げ処理は同じで AS!3 のパラメータのみ変えた画像を見ていきます。

Quality Estimator: Global

アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (QE Global)
アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (QE Global)

これは悪化してますね… いわゆる継ぎ目破綻らしきぶよぶよした模様があちこちに発生しています。

「Quality Estimator」は動画からスタックに使うフレームを選別する際のフレームの品質を評価する方法を決めるパラメータです。今回は3000フレーム中1000フレームをスタックしますが、この時、AS!3 は評価値の高い方から順に1000フレームを選びます。

「Normal range」の「Local」は alignment point (AP) の周辺を見て評価、「Global」はフレーム全体を見て評価、ということで、「Global」の方が視野が広いってことだからいいんじゃないの?と思ったのですが…

Analyse を実行すると動画のフレームは評価値順にソートされますが、*1 「Global」で Analyse 後に動画を再生すると明らかにぼやけたフレームがちょいちょい最初の方に混じってるので、評価に失敗しているのがわかります。

Double Stack Reference: ON

アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (RF Double Stack)
アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (RF Double Stack)

これは違いがほとんどわかりませんね。良くなったとも悪くなったとも言い難い…

「Double Stack Reference」は AutoStakkert! 2 の「Last Stack is Reference」に相当するものだと思いますが、これは AP を揃える位置の基準となるフレームに、一度スタックした画像を使うというオプションです。

なのでこれを有効にすると2回スタックを実行するため処理時間が長くなってしまうのですが、この様子だとその価値はなさそうだなと…

AP Size: 24

アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (AP Size 24)
アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (AP Size 24)

なんじゃこりゃあ!?明らかに悪化してますね。細かい破綻が全面に広がっています。

「AP Size」は Alignment Point のサイズです(そのまんま)。AS!3 は Alignment Point の範囲を見てフレーム間で同じ場所を探して位置を合わせてスタックするのですが、一般に「AP Size」が小さすぎると追いきれなくて破綻してしまうようです。

小さい方がディテールを追いかけて正確にスタックしてくれるかと思ったのですがそうじゃないんですね。

AP Size: 104

アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (AP Size 104)
アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (AP Size 104)

おっ、これはいいですよ?アルプス谷の東の端の周辺のザラザラしたところが浮かび上がってきました。

全体を見るとベースライン(AP Size 48)に比べてディテールが落ちているようにも見えますが、よく見るとベースラインの画像のディテールだと思っていたところ、継ぎ目破綻っぽいのが結構ありますね…

AP Size: 200

アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (AP Size 200)
アルプス谷 (2018/12/15 20:31) (AP Size 200)

AP Size: 104 が良かったので、ひょっとしてもっと大きい方が良いのでは?と思ってやってみましたが、ちょっとぼやけてしまいました。それでもベースラインよりは良いですね。

まとめ

  • 「Quality Estimator」の「Global」は悪化
  • 「Double Stack Reference」は効果なし
  • 「AP Size」は大きめが吉

AP Size の最適値はたぶん拡大率やシンチレーションの揺れ具合でも変わってくると思いますが小さすぎるよりは大きすぎる方がマシ、という傾向はありそうです。

でも一番大事なのは「元がダメなら何やってもダメ」ということですかね… AP Size: 104 でもボケボケですよね。ここからさらに追い込んでもあまり期待できなさそう。日本の冬のシーイングではこんなものなのかなぁ…

*1:フレームビューウィンドウ左上の Frames のラベルをクリックすると時系列順と切り替えられます。

μ-180C の焦点内外像

12月15日に μ-180C の光軸チェックのために恒星で焦点内外像を撮ってみました。と、言ってもいまいちよくわかってなくて、とりあえずピントの合った位置の前後を撮ればいいだろうと思って撮ったものなので、見てもよくわからない…

どっちが外でどっちが内なのかもよくわからないんですが、μ-180C のピントノブには回転方向に OUT/IN の表示があるので、以下、合焦位置からピントノブを OUT の方向に回したのが「焦点外像」IN の方向に回したのが「焦点内像」だと思って話を進めます。なんか逆な気もしなくもない… どうなんだろう…

ターゲットの恒星はアルデバラン。撮影と画像処理は、まず ZWO ASI290MM で月や惑星を撮る時のように 3000 フレームの動画撮影、1000 フレームを AutoStackkert3!(AS!3)でスタック、RegiStackx 6 (RS6)でウェーブレット処理、最後に Lightroom で露出補正、という手順で行いました。

AS!3 では惑星モードでアラインメントポイントは中心1点のみという設定でスタック、RS6 では月面写真用の設定で処理しています。

まず直焦点。

M-180C 直焦点 焦点外像
M-180C 直焦点 焦点外像

M-180C 直焦点 焦点像
M-180C 直焦点 焦点像

M-180C 直焦点 焦点内像
M-180C 直焦点 焦点内像

焦点像は回折リングらしきものが見えるように Lightroom で+5段の露出補正をかけています。

光軸がズレていたら同心円状のパターンが偏心して写る、ぐらいの認識なんですが、それらしき現象は見当たらず… 光軸合ってるんですかね?ていうかもっと焦点からズラして副鏡の影を撮るべきだったのかな?

ところで焦点像、μ-180C 特有の3本の副鏡スポーク由来の6本の光芒がもっと出るかと思ったらなぜか十字方向の太い光条が出ていますが… いわゆるサッポロポテト現象?*1

月面撮影の時と同じ構成(2倍バローレンズ使用)で撮ったのがこちら。

M-180C 2x 焦点外像
M-180C 2x 焦点外像

M-180C 2x 焦点像
M-180C 2x 焦点像

M-180C 2x 焦点内像
M-180C 2x 焦点内像

これは焦点像の回折リング?が偏心してるような… ビクセンのフリップミラーを挟んでいるのですが、2インチスリーブとの間に結構ガタが出ているのでそのせい?

惑星の場合は導入のためにも LRGB 撮影のためにもフリップミラーなしでは辛いんですが、月面撮影は LRGB やらないし導入もファインダーで十分だからフリップミラーやめるかなー。光路長が長くなるせいで拡大率も大きすぎるし(ADCなしの構成で3.03倍)、その分収差も余計に出るはずなので。

とはいえ、星像の歪みは今までの月面写真のブレたような像の説明がつくほどではないと思うんですが… やっぱりシーイングに恵まれてないのが一番なんでしょうか。

*1:センサーの画素の並びが回折格子のように機能して、センサーに反射した光がフィルターに反射して迷光になった時に格子状のパターンが出る現象。あぷらなーとさんの記事を参照。

月面 (2018/12/15)

15日は光軸チェック用に焦点内外像を撮影したついでに月面を少し撮影しました。また同じような場所なのですが…

まず μ-180C の直焦点で撮影したもの。

アルプス山脈周辺 (2018/12/15 19:39)
アルプス山脈周辺 (2018/12/15 19:39)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1.26ms x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

ヒギヌス谷周辺 (2018/12/15 19:46)
ヒギヌス谷周辺 (2018/12/15 19:46)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1.26ms x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

ブレてる感じはしないのですがいまいち眠い感じですね…

アルプス谷だけバローレンズ(システムC without ADC)で拡大して撮影しました。

アルプス谷 (1) (2018/12/15 20:28)
アルプス谷 (1) (2018/12/15 20:28)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F36.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

これはピンぼけ?実は今回は恒星を使った焦点内外像の撮影の最後に恒星を使ってピント合わせをしています。SharpCap の FWHM Measurement でかなり追い込んだつもりでしたが、月のピント合わせるのに恒星使って大丈夫なんですかね、被写界深度的に…

と思って、月面を目で見てピントを合わせ直したのがこちら。

アルプス谷 (2) (2018/12/15 20:31)
アルプス谷 (2) (2018/12/15 20:31)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F36.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 3.0.14, RegiStax 6.1.0.8, Lightroom Classic CC で画像処理

こちらの方が若干コントラストが上がっているような… と言ってもシーイングも同じではないのでなんとも言えませんが。

そのシーイングですが、動画を上げてみました。こんな感じです。

アルプス谷 (2018/12/15 20:31)
アルプス谷 (動画) (2018/12/15 20:31)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F36.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM / 露出 1/60s / TMEPGEnc Video Mastering Works 5 で画像処理

未だにシーイングの良し悪しがよくわかってません。このくらいのシーイングならこの写りで仕方がないんですかね?

アルプス谷の崖のエッジはもっとキレがあって欲しいし、谷の中の細い谷もなんとか写って欲しいのだけど、口径 18cm じゃ高望みなんでしょうか…

先月オートガイドに失敗した件

先日のエントリで触れた馬頭星雲の撮影に失敗した件、忘れないうちに記録に残しておきます。

11月15日は 8cm F6 直焦点で馬頭星雲を撮影するつもりでした。PHD2 のガイドアルゴリズムの設定は以下の通り。

赤経:

赤緯:

  • アルゴリズム: レジストスイッチ
    • 積極性: 100
    • 最小移動検知量: 0.20 ピクセル
    • 大きな変位に対する高速切り替え: ON
  • Use backlash comp: OFF
  • 赤緯ガイドモード: Auto

月を撮影した後だったのですか STARBOOK 10 は一度電源を切って「極軸を合わせた赤道儀」に設定してから撮影しています。

この日は15分露出で8枚撮影する予定でしたが、1枚目の撮影で12分を過ぎた頃、突然赤緯方向のガイドが怪しくなりました。ガイド星がマイナス側(南側)にズレていって、大きなガイドパルスが出ているにも関わらずガイド星が戻りません。我慢して最後まで露光しましたが結果は…

オートガイド失敗(突然DECが暴れる) (2018/11/16 00:54)
オートガイド失敗(突然DECが暴れる) (2018/11/16 00:54)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), LPS-D1 48mm / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 15分 / DeepSkyStacker 3.3.2, FlatAide Pro 1.0.28, Lightroom CC で画像処理, 中央部を等倍切り出し

ガイドグラフを PHD2 Log Viewer で見てみました。

https://rna.sakura.ne.jp/share/PHD2-log-20181115-01a.png

縦軸の目盛間隔2.5秒です。赤緯方向のブレは7.5秒近くまで達しています。当時は気づかなかったのですが、赤経方向もおかしいですね。マイナス側(西側?)に引っ張られている感じです。

ケーブルが引っかかったのかと思いましたが、撮影完了後に確認したところ特に異常は見当たりませんでした。風もほぼ無風で突風が吹くような天候ではなく、風のせいでもなさそうです。

ガイド鏡にも異常がないことを確認して結局原因はよくわからないのですが、たぶんケーブルだろう、ベランダに出た時は既に引っかかりが解消した後だったのかもしれないと思いつつ、そのまま撮影を続行することにしました。

が、赤緯のガイドが大暴れ。1分周期ぐらいでプラス側マイナス側を行ったり来たりしてしかも振れ幅がだんだん大きくなり、3分後には10秒を超えたのでガイドを中止しました。PHD2 側の不調かもしれないと思い、もう一度ガイドを開始しましたが振れ幅の発散はないものの±5秒を超える大きな揺れが続いてまた中止。

ギアの不調かもと思い、試しにコントローラーのボタンで赤緯軸を南北に回してみてからガイドを開始すると最初こそ揺れたもののその後は安定。そのまま2枚目の撮影を開始。今度は15分間ほぼパーフェクトにガイドしてくれました。RMS赤経±1.24秒、赤緯±1.15秒。最初の揺れも含めてなので実際はもっと良かったはずです。

が、念の為撮影した画像を確認すると…

オートガイド失敗(ガイドは完璧なのに星像が流れる) (2018/11/16 01:32)
オートガイド失敗(ガイドは完璧なのに星像が流れる) (2018/11/16 01:32)

なんで!?わけがわかりません。

冷静に考えるとガイド鏡か撮影鏡のどちらかが撓んだのでしょうが、ガイド鏡は十分小型軽量でそれ自体が撓むようなことはありません。ガイド鏡は撮影鏡の接眼部にあるファインダー台座に取り付けられていますが、取り付け部分はしっかり固定されているのを確認しました。

不安なのは撮影鏡の BLANCA-80EDT の特徴である鏡筒直付けの三脚座の撓みですが、ここが撓むとガイド鏡と鏡筒が一緒になって揺れるはずなので撮影した像が揺れるならガイドも揺れるはずです。やはり特徴的な回転式の接眼部も、回転する側にファインダー台座があるため、やはりここが揺れるならガイド鏡も一緒に揺れるはずです。

原因がさっぱりわからないのでここで心が折れてこの日の撮影は中止して撤収しました。

後から色々考えましたが、正直よくわかりません。理屈の上では問題発生後確認しそびれた接眼部のドローチューブか直焦アダプタの接続周りが怪しいのですが、撤収してバラした後では真相は闇の中です。

こんなことは今までなかったのでどうしたらいいのか困っています。一時的な現象ならいいのですが、13日のウィルタネン彗星の撮影でもガイドが安定しなかったし… しかし SX2 にしてから DSO 撮影はトラブル続きです。つらい。

ウィルタネン彗星(再処理)

一昨日撮ったウィルタネン彗星を再処理しました。と言っても Lightroom で色々いじっただけ。

46P ウィルタネン彗星 (2018/12/13 23:25-23:58)
46P ウィルタネン彗星 (2018/12/13 23:25-23:58)
笠井 BLANCA-80EDT (D80mm f480mm F6 屈折), 笠井 0.6倍レデューサー (合成F3.6) / Vixen SX2, D30mm f130mm ガイド鏡 + QHY5L-IIM + PHD2 による自動ガイド/ OLYMPUS OM-D E-M5 (ISO200, RAW) / 露出 1分 x 32コマを彗星核基準でコンポジット 総露出時間 32分 / DeepSkyStacker 3.3.2, Lightroom CC で画像処理, フルサイズ換算 800mm 相当にトリミング

彩度アゲアゲで彗星の緑色を強調しています。

前回 DeepSkyStacker (DSS)のRAW現像処理で色が薄くなるのを避けようと「DSO 写真の画像処理方法の変更」の方法を使うと彗星核基準のスタックがうまくいかなかった件、たぶん理由がわかりました。

DSS のファイルリストを見ると Date/Time の値が写真を撮った時刻ではなく Lightroom から TIFF を書き出した時刻になっていました。DSS は彗星核の位置を指定した複数の画像の撮影時刻から彗星の軌道を計算することで、全コマで彗星核の位置を指定しなくても彗星核基準でコンポジットできるらしいので、画像の Date/Time が無茶苦茶になっていると位置合わせも無茶苦茶になってしまうのではないでしょうか?

しかし TIFF の書き出しでは RAW のメタデータは全部含めるよう指定して、実際書き出した TIFFメタデータには撮影時刻が含まれているのですが…

DSS がメタデータを見てないのかと思ってファイルシステム上のファイル更新日時やファイル作成日時を変更して再度読み込ませてみたのですが Date/Time は書き出し時刻のまま変わらず。どうやらTIFFファイルのメタデータに「ファイル変更日時」というのがあって、そちらに書き出し時刻が書き込まれているようで、DSS はそれを見ているっぽい?

メタデータの「ファイル変更日時」は Lightroom からは変更できず、変更できるツールもなかなか見当たらないので諦めました…

さて、今日のウィルタネン彗星ですが、アルデバランより北に移動しているので月没後の深夜にはベランダの天井にぶつかりそうなので撮影は諦めました。というか、日没後から μ-180C の光軸確認と月面撮影で機材をベランダに出していたのですが、夜半に雲が出てきので撤収してしまいました。

でも、月没頃に空を見るとすっかり晴れていて… しょうがないので 5cm 8倍ファインダーで眼視で見えないか試してみましたが、プレアデス星団を目印にしてそれらしき場所を見てもそれらしき星は見当たらず。

何度も目を凝らしてみると何かがあるような気がしないでもないのですが気のせいとしか思えない、といった感じです。4等台と言われる割にはかなり淡くて見えにくいとの噂ですが横浜の明るい空では厳しいでしょうか?